プロ野球 現役ドラフト ドラフト1位3人ら13人移籍成立【一覧】

プロ野球で各球団の現役選手をほかの球団が指名して移籍できるようにする「現役ドラフト」が9日行われ、いずれもドラフト1位で入団したDeNAの上茶谷大河投手がソフトバンクに、ロッテの平沢大河選手が西武に、広島の矢崎拓也投手はヤクルトへの移籍が決まるなど、13人の移籍が成立しました。
今回で3回目となった現役ドラフトで初めて2巡目も実施されました。

移籍が成立した13人全員を一覧で紹介するとともに、選手のコメントもお伝えしています。

【移籍が決まった選手一覧】選手コメント

ことしの現役ドラフトで移籍が決まった選手です。
()内は移籍前の所属

▽第1巡目

巨人 田中瑛斗投手(日本ハム)

日本ハムから巨人への移籍が決まった田中瑛斗投手は球団を通じて「ファイターズには7年間お世話になって、なかなかチームの力にはなれなかったですが、ファンのみなさまの温かい声援がうれしかったです。新たな球団でしっかり結果を出し、ファイターズファンに新天地で活躍する姿を見せて恩返ししたいです」とコメントしました。

ヤクルト 矢崎拓也投手(広島)

2017年にドラフト1位で広島に入団し、昨シーズンはリリーフとして54試合に登板して24セーブをあげた矢崎投手はヤクルトに移籍が決まりました。

広島からヤクルトに移籍する矢崎拓也投手は「突然のことで驚いていますが、良い転機として受け止めたいと思います。これからは指名していただいたヤクルトの勝利に貢献できるよう、ベストを尽くしたいと思います」とコメントしています。

DeNA 浜地真澄投手(阪神)

阪神からDeNAに移籍が決まった浜地真澄投手は「タイガースというチームがすごく好きでしたし、離れることへの寂しさはありますが、野球を続けることができることに感謝したい。DeNAは日本一になり、競争も激しいチームですので、その競争に割って入ることができるように、新たな気持ちでまた頑張っていきたい」とコメントしています。

中日 伊藤茉央投手(楽天)

楽天から中日に移籍する伊藤茉央投手は「驚きましたけど、ここ2年間を振り返っても思うような結果が出なかったので、逆にチャンスととらえています。ドラゴンズではどんどん自分をアピールして、思いきりやるだけだと思っています。イーグルスでは2年間という短い時間でしたが、たくさん応援していただいて、東北の温かさを感じましたし、東北の人間として、東北はやはりいいところだと感じることができたので、本当に感謝しかありません。応援してくださるファンの皆さんのためにも、名古屋に行っても頑張ります」と球団を通じてコメントを出しました。

阪神 畠世周投手(巨人)

巨人から阪神への移籍が決まった畠世周投手は球団を通じて「ジャイアンツに在籍した8年間、監督やコーチ、チームメートに恵まれ、かけがえのない時間を過ごすことができました。何よりファンの皆様には、どんな時でも温かく声援を送っていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。怪我が多くリハビリでくじけそうになった自分に『待っているから』と、とてもありがたい言葉をかけていただいたことは忘れません。お世話になったジャイアンツの皆様に恩返しができるよう、阪神の力になれるよう、目いっぱい腕を振っていきます」などとコメントしています。

広島 山足達也選手(オリックス)

オリックスから広島に移籍が決まった山足達也選手は「良いときも悪いときもいつも温かく応援してくださったオリックスファンの皆さん、皆さんとともに3連覇を達成できたことは自分自身にとっても大きな財産となりました。皆さんの大きな声援はずっと忘れません。これからはカープの一員となります。カープファンの皆さんに“山足”という名前を覚えてもらい、認めてもらえるように精いっぱい頑張りますのでよろしくお願いします」とコメントしています。

日本ハム 吉田賢吾選手(ソフトバンク)

日本ハムに移籍することになったソフトバンクの2年目、吉田賢吾選手は「すごく急だったので気持ちの整理もついていないがプラスに捉えるしかない。こういうきっかけがチャンスだと思う」と話しました。

日本ハムには去年同じ現役ドラフトで水谷瞬選手が移籍しましたが、チームの印象については「雰囲気がとてもよく、同世代の選手が活躍している。先日、水谷選手と会ったが、話を聞いているだけでもわくわくする球団だと思った」と話しました。

そして「この2年間は思ったようにいかなかったことも多く、来年が勝負だとわかっていたので、野球人生最後だと思ってやっていきたい」と意気込みを示しました。

楽天 柴田大地投手(ヤクルト)

ヤクルトから楽天への移籍が決まった柴田大地投手は球団を通じて「スワローズで目立った活躍ができませんでしたが、この機会は自分にとってもすごくチャンスだと思って、新天地では心機一転頑張ります。3年間と短かったですが、関係者のみなさま、裏方さん、監督コーチ、そしてなによりファンの皆様に本当に感謝しています。今まで本当にありがとうございます」などとコメントしています。

西武 平沢大河選手(ロッテ)

2016年に仙台育英高校からドラフト1位でロッテに入団し通算で135本のヒットを打っている平沢選手は西武に移籍が決まりました。

ロッテから西武への移籍が決まった平沢大河選手は球団を通じて「9年間、本当にお世話になりました。いい事もあれば悔しい事もありました。いろいろなことがありましたが、そのすべてが今の僕にとって大切な思い出です。ファンの皆様にはいつも叱咤激励をしていただき、背中を押していただきました。新天地で心機一転、頑張ります。同じパ・リーグということもあり、対戦が楽しみですし、ZOZOマリンスタジアムで試合をするのも楽しみです。結果を出して頑張ることで今まで支えてくださった皆様に恩返しがしたいと思います」などとコメントしています。

ロッテ 石垣雅海選手(中日)

中日からロッテに移籍する石垣雅海選手は球団を通して「8年間育てていただいた球団・ファンの皆様には本当に感謝しています。ファンの方に応援していただいたことが、1番の励みでした。結果で恩返しできなかったことが心残りです。入団した頃の気持ちを忘れず、これからも頑張っていきたいと思います」とコメントしています。

オリックス 本田圭佑投手(西武)

西武からオリックスへの移籍が決まった本田圭佑投手は球団を通じて「入団後、チームに貢献できない期間が長かったにも関わらず、9年間もライオンズで過ごすことができて感謝の気持ちでいっぱいです。ライオンズでプレーすることで恩返しができると思っていたので、それができないことは残念です。新しい環境でプレーする機会を与えてもらったことは、自分の野球人生にとってプラスになることばかりだと思います。しっかりベストを尽くして、チームに貢献し、獲得して良かったと思ってもらえる活躍をしたいと思います」などとコメントしています。

ソフトバンク 上茶谷大河投手(DeNA)

2019年に東洋大からドラフト1位でDeNAに入団した上茶谷投手はソフトバンクに移籍することになりました。

上茶谷投手はプロ6年目の28歳。1年目から主に先発として25試合に登板し7勝6敗の成績を挙げましたが、その後は成績を伸ばせず、今シーズンはリリーフとして18試合に登板したものの防御率4.37でした。

DeNAからソフトバンクへの移籍が決まった上茶谷大河投手は球団を通じて「ベイスターズでの6年間、多くの方々にサポートしていただき本当に感謝しています。チームメートと過ごした時間はかけがえのない僕の財産です。ファンの皆さま、私は横浜スタジアムが本当に大好きで、地鳴りのような大声援には背中を押してもらえました。新天地で活躍する姿をお見せできるように頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました」などとコメントしています。

◇初めて2巡目も実施

今回の現役ドラフトでは3回目の開催で初めて2巡目が行われました。

▽第2巡目

広島 鈴木健矢投手(日本ハム)

日本ハムから広島への移籍が決まった鈴木健矢投手は「突然のことでびっくりしていますが、ファイターズでの5年間でさまざまな経験をさせてもらいました。その中でもエスコンフィールド北海道での初勝利は一番の思い出です。これからは違うリーグになりますが、ファイターズでの経験を生かして、日本シリーズで戦えるように頑張ります」とコメントしました。

日本プロ野球選手会 森忠仁事務局長「2巡目での移籍 半歩前進」

2巡目は1巡目を終えたあとに希望した球団のみで実施され1巡目の最後に指名した球団が今度は最初に指名する権利を持ちます。そして1巡目同様、指名された球団が次に指名する権利を得られることになっていますが、2巡目の場合、指名の順番が来たところで棄権することもできる仕組みとなっています。

今回、NPBは2巡目に参加した球団数を明らかにしておらず、日本ハムは広島からの指名を受けたあと次にほかの球団の選手を指名する権利を持っていましたが結果的に指名を行わず、2巡目は1人の移籍のみで終了する形となりました。

日本プロ野球選手会の森忠仁事務局長は「2巡目での移籍があったことは半歩前進だ」と移籍の活性化を目指して導入された現役ドラフトで初めて2巡目が行われたことを評価していました。そのうえで「ここ2年で現役ドラフトで移籍して活躍した選手もいるので、ファンの注目度も高くなっている。球団がどういう感覚を持っているか、選手から意見も聞いていきたい」と話していました。

現役ドラフトとは

「現役ドラフト」は出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させることで新たな活躍の場を与えようとおととし導入された制度で、各球団がリストアップした現役選手をほかの球団が指名することで移籍できるようにします。

3回目となったことしの現役ドラフトは9日午後1時からオンラインで非公開で行われ、あわせて13人が指名されて移籍が成立し、終了後、NPB=日本野球機構から公表されました。

◆現役ドラフトのルール

各球団は来シーズン契約を結ぶ見込みの「保留選手名簿」の中から現役ドラフトにかける選手を2人以上リストアップします。
リストアップの対象外となる選手は
▽外国人選手
▽複数年契約を結んでいる選手
▽FA=フリーエージェントの権利を持っている選手と過去に行使した選手
▽育成選手です。

また、年俸5000万円以上の選手は対象外ですが、1人に限って5000万円以上1億円未満の選手をリストアップできて、その場合は5000万円未満の選手を追加し3人以上をリストアップしなければいけません。
指名の流れ
リストアップされた選手は事前にNPB=日本野球機構を通じてほかの球団に示され、当日、各球団はリストをもとに獲得を希望する選手を現役ドラフト会議の議長に伝えます。

それを集計し、他球団からの指名が1番多かった選手の所属する球団が最初に指名できます。

そして、選手を指名された球団は次に指名する権利を得られる仕組みとなっていて、原則としてこの流れを繰り返します。

新人のドラフト会議のように入札形式は取られないため、指名選手は競合しません

どの球団も必ず1人が出て、1人が入る仕組みになっています。

なお2巡目は希望した球団だけで行われ、1巡目と逆の順番で進みます。

初の開催となったおととしと2回目の去年はいずれも1巡目のみ行われ、2巡目は行われませんでした。

◆現役ドラフトで移籍後 新天地で活躍した選手も

現役ドラフトで移籍後に新天地で活躍する選手も続々と生まれています。

阪神 大竹耕太郎投手

おととしの現役ドラフトでソフトバンクから阪神に移籍した大竹耕太郎投手は、移籍までの2年、勝ち星がありませんでしたが、昨シーズン自己最多の12勝を挙げてチームの日本一に大きく貢献したほか、今シーズンも11勝と2年連続のふた桁勝利をマークしました。

中日 細川成也選手

おととしの現役ドラフトでDeNAから中日に移籍した外野手の細川成也選手は、プロ入りから移籍前まで6年間でホームランの数は通算6本でしたが、昨シーズン、チームトップの24本を打ちました。

今シーズンは打率2割9分2厘、ホームラン23本、67打点の成績で打線を引っ張り、現役ドラフトで移籍した選手では初めてとなるベストナインにも選ばれました。

日本ハム 水谷瞬選手

去年の現役ドラフトでソフトバンクから日本ハムに移籍した外野手の水谷瞬選手はプロ6年目となった今シーズン、公式戦デビューを果たしました。

97試合に出場し、打率2割8分7厘、ホームラン9本、39打点をマークし、交流戦では、歴代最高となる打率4割3分8厘を記録して、MVP=最優秀選手に選ばれました。

そしてチームの2位躍進に貢献しただけでなく、4本の先頭打者ホームランを打ち、記憶にも残る活躍を見せました。

DeNA 佐々木千隼投手

ロッテにドラフト1位で入団し去年の現役ドラフトでDeNAに移籍した佐々木千隼投手は、プロ7年目の昨シーズン2試合の登板でしたが、移籍1年目の今シーズン、DeNAではリリーフとして28試合に登板し防御率1.95と安定したピッチングをみせました。

また、クライマックスシリーズや日本シリーズでも好投しチームの26年ぶりの日本一に貢献しました。

一方で、移籍後も出場機会を得られずに戦力外になるケースもあり、明暗が大きく分かれる結果になっています。

《過去2回の現役ドラフトで移籍した選手一覧》

()内は移籍前の所属球団

第2回 2023年実施

▽阪神 漆原大晟投手(オリックス)
▽広島 内間拓馬投手(楽天)
▽DeNA 佐々木千隼投手(ロッテ)
▽巨人 馬場皐輔投手(阪神)
▽ヤクルト 北村拓己選手(巨人)
▽中日 梅野雄吾投手(ヤクルト)
▽オリックス 鈴木博志投手(中日)
▽ロッテ 愛斗選手(西武)
▽ソフトバンク 長谷川威展投手(日本ハム)
▽楽天 櫻井周斗投手(DeNA)
▽西武 中村祐太投手(広島)
▽日本ハム 水谷瞬選手(ソフトバンク)

第1回 2022年実施

▽オリックス 渡邉大樹選手(ヤクルト)
▽ソフトバンク 古川侑利投手(日本ハム)
▽西武 陽川尚将選手(阪神)
▽楽天 正隨優弥選手(広島)
▽ロッテ 大下誠一郎選手(オリックス)
▽日本ハム 松岡洸希投手(西武)
▽ヤクルト 成田翔投手(ロッテ)
▽DeNA 笠原祥太郎投手(中日)
▽阪神 大竹耕太郎投手(ソフトバンク)
▽巨人 オコエ瑠偉選手(楽天)
▽広島 戸根千明投手(巨人)
▽中日 細川成也選手(DeNA)

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