子どもの政策を一元化しようという考え方は以前からある。民主党政権では「子ども家庭省」をマニフェストに掲げた。利用者視点で幼稚園と保育園を統合する「幼保一体化」にも取り組んだが、業界や役所の抵抗で中途半端に終わった。
幼保一体化では、結局、厚生労働省が所管する保育園は残り、文部科学省が所管する幼稚園も残り、新しく作った「こども園」は内閣府の所管になった。一つにするはずが、三つになってしまった。役所の縦割りから発想するのではなく、子ども・子育て中心に社会全体の発想を転換するためにも「子ども家庭庁」の新設が必要だと考えている。
縦割りでエアポケットに落ちる子ども
現在の子ども政策では、妊娠から出産、幼児期、小学校まで、それぞれの段階で行政の所管が異なる。妊娠から出産までは母子保健、小学校に上がるまでは児童福祉、小学校に行けば学校教育となる。そして国の縦割りがそのまま自治体におりてきて、役所の窓口がそれぞれ別になる。
度重なる児童虐待では、厚労省の分野である児童相談所と、警察、あるいは文科省所管の学校や教育委員会との連携が悪く、役所と役所の間のエアポケットに落ちてしまって子どもの命を救えなかった。学校教員のわいせつ事案も、文科省、警察庁、法務省、さらには保育の現場なら厚労省にまたがるために、責任の所在があいまいになってエアポケットに落ち、事件の再発を防げないでいる。
利用者の観点、つまり子どもと保護者の観点からすれば、妊娠から高校卒業までは一つの窓口で、教育も医療も福祉も一気通貫で切れ目なく支援が提供されるのは当然だ。
日本は高齢者福祉については一定程度の水準を達成したが、一方で現役世代に対する支援が遅れた。これからは予算の面でも、高齢者向けと子育て・現役世代向けの比率が7対1などと言われているように、高齢者福祉偏重の現状を改めねばならない。子ども政策とのバランスをとる必要がある。予算配分を見れば、厚労省は「高齢省」と言われても仕方がない。子育て予算を増やすモメンタムを作り出すためにも、子ども家庭庁は必要だ。
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