「アイヌ」を先住民族に―ロシアに初の団体

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 アイヌ民族としてロシアで初の認定を求めるカムチャツカ地方の団体「アイヌ」のアレクセイ・ナカムラ代表(43)が北海道新聞のインタビューに応え、「両親が話していたアイヌ語と、民族の伝統を取り戻したい」と述べた。同氏が日本の報道機関の取材に応じるのは初めて。民族としての復権を求める背景に、日本と旧ソ連・ロシアの間で翻弄(ほんろう)されてきた歴史があった。(ペトロパブロフスクカムチャツキーで津野慶)  「母はいつも言っていた。私たちはアイヌ民族だよ、と」  ナカムラさんはサハリンのトマリ(泊居)出身。父ケイゾウさん(1978年没)はカムチャツカ生まれのアイヌ民族、母タマーラさん(96年没)はサハリンでアイヌ民族の父とロシア人の母の下に生まれた、という。  ケイゾウさんの生前、ナカムラさん一家はアイヌ語で会話していた。「アットゥシ(服)」「トマリ(湾)」などの単語をナカムラさんも覚えている。母タマーラさんはサケやクジラを使ったアイヌ料理でナカムラさんを育てた。  しかし両親の出生証明書はなく、アイヌ民族であることを示す物的証拠はない。旧ソ連は戦後、サハリンや千島列島のアイヌ民族を日本人として扱った。ナカムラさんらは、アイヌ民族として生きる道を絶たれた。  父ケイゾウさん一族はかつて南千島に住み、日本姓を名乗っていた。日本人の入植に押されカムチャツカに移住。その後、旧ソ連政府の都市部への転居命令を拒否して31年ごろ、日本領だった北千島パラムシル島に脱出した。  45年に旧ソ連軍が侵攻。一族はサハリンに移住させられ、ケイゾウさんはタマーラさんと結婚、ナカムラさんが生まれた。しかし68年、「仕事上の失敗」を理由に、カムチャツカに送還される。  送還先には、他の民族もいた。かつて旧ソ連が進めていた、ロシア民族への同化政策の一環、との見方もある。  団体「アイヌ」会員4家族のうち、ナカムラさんと同様、日本姓を持つ「スズキ」一家は千島出身。残る2家族はロシア姓で戦前からカムチャツカに住んでいたといい、複雑な背景をうかがわせる。  現在、ロシアがカムチャツカの先住民族として認めているのはコリャク、イテリメンなど6民族。アイヌ民族は含まれていない。  しかし、地元博物館は先住民族としてパネルで紹介している。図書館は、北千島マツワ島の「アイヌ湾」で使われていた石臼を展示している。ナカムラさんは「石臼はアイヌ民族が使っていたもの。唯一の物的証拠です」と話す。  ナカムラさんは2002年、人口調査で民族欄に初めて「アイヌ」と書いたが、「国の登録項目にアイヌ民族はない」と却下された。その時、民族の権利回復を決意した。  今春、活動を知った北海道のアイヌ民族から交流の打診があった。モスクワの研究者から、アイヌ語復興への協力も取り付けた。  「同じ地方で暮らすカムチャダル民族は、先住民族として認定されるまで10年以上かかった。何年かかってもやりますよ」
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