草津元町議リコール「男性支配浮き彫り」 欧米メディア
群馬県草津町で今月、新井祥子元町議(51)のリコールが成立し失職した問題を、欧米メディアが次々と報じている。問題は新井氏が黒岩信忠町長(73)から「性被害を受けた」と訴えたことが発端。各メディアは失職までの経緯や黒岩町長が訴えを否定していることを紹介し、日本では性被害を打ち明けにくいことや政治の場に女性が少ないことにも触れている。
英ガーディアンはリコール成立2日後の8日、「日本のある町で、唯一の女性議員が性暴力で町長を告発し、追い出される」という見出しの記事を配信した。新井氏が電子書籍で性被害を訴え、黒岩町長が否定したと説明し、「新井氏の訴えは町議会の男性議員らからの激しい反撃と個人攻撃のキャンペーンを引き起こした」と記した。
国際的に見て、日本では女性議員が少ないことも指摘。「彼女の苦境は日本の地方議会や国会における男性支配を浮き彫りにしている」などとした。ジャーナリストの伊藤詩織氏が2015年、元TBS記者の山口敬之氏からの性被害を告発して以降、「日本の当局は性被害の訴えをもっと真剣に扱うべきだという圧力は高まっている」と結んだ。
米ニューヨーク・タイムズは9日、「彼女は町長を性暴力で訴え、町は彼女を攻撃した」との見出しをつけた記事を配信。リコールに至る経緯の説明に続けて、「この出来事は、性暴力被害が報告されたりオープンに議論されたりすることが少ない日本で、被害を訴える女性が直面する困難を浮かび上がらせた」と述べた。
世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数で日本が昨年は121位だったことに触れたのは米CNN。10日に「10月時点で衆議院議員465人のうち女性は46人と10%を下回る。世界の平均は25%だ」と女性議員の少なさを報じた。
日本外国特派員協会(東京)では黒岩町長が14日、同協会の招きで記者会見し、新井氏も18日午前に同協会で会見した。
黒岩町長の会見後、AP通信は「黒岩氏は新井氏の訴えを『100%ウソの作り話で、でっちあげ』と述べた」「『リコールは難しいが不可欠な選択だった』と話した」などと報じた。
仏ニュースメディア「フランス24」も17日、一連の経緯を説明する記事を配信した。住民投票が行われるまでの数週間、バス停やホテルなど町の様々な場所に、新井氏が町の名誉を傷つけたとして非難するポスターが掲示されたことなどを挙げ、新井氏の支持者などから「セカンドレイプ」だと懸念する声が上がっていることを報じた。
「リコールは新井氏が世界中に虚偽を拡散するのを止めるために必要だった」とする黒岩町長の言い分を紹介した上で、「事実は投票ではなく司法手続きによって立証されるべきだ。性犯罪は人権の問題だ」と述べる法律の専門家の見解も示した。
海外メディアによる報道が相次いでいることについて、黒岩町長は会見で「大変驚いている。このような形で注目を浴びることは遺憾だ」と述べた。ただ、町によると、17日までに町が直接取材を受けた海外メディアはフランス24だけだったという。