【牛川人】日本最古の「人骨」は人類ではなかった。その正体とは?(研究結果)
1950年代に愛知県内で発見、日本最古の人骨化石と言われてきた「牛川人」。最新の研究成果で、その正体が「クマの骨」であることが明らかになりました。 【画像】今回調査された「牛川人骨」と「クマの骨」の比較調査結果。確かに、骨の特徴が…
最古のヒト化石と言われていた「牛川人の骨」とは?
とよはしアーカイブによると、「牛川人」は愛知県豊橋市牛川町の石灰岩採石場で発見されました。 1957年に「上腕骨」、1959年に「大腿骨頭」とされる化石が見つかっています。約10万年前の中期更新世にさかのぼる化石人骨と報告されたことで、「わが国で発見された化石人骨の中では最古のもの」とされてきました。 しかし「改訂新版 世界大百科事典」によると、1988年以降、人類学者の馬場悠男さんらの検討により「この骨はヒトの骨と認めるだけの特徴を備えていない」との指摘が出ていました。ナウマンゾウなどの動物の骨ではないかという疑いが浮上したのです。
豊橋市議会で議論になったことも
2018年9月には、現豊橋市長で当時豊橋市議だった長坂尚登さんが豊橋市議会定例会で、疑いのあるものを「牛川人の骨」と断定し続けていることに対し、「子どもたちが時代にふさわしくない認識を持ったまま大人になってしまう」と指摘。 それに対し市側は「今後は少なくとも両論併記し、市民に学術的な評価を示していく必要がある」と答弁したという記録も残っています(中日新聞2018年10月19日号、長坂尚登さんのXより)。
東京大学の諏訪元教授らが調査。その結果は「クマ」
このように「牛川人」が動物骨である可能性は指摘されていましたが、何の動物のどの部分の骨かという点は不明でした。 そんな中、NGSホールディングス(新潟市)は2024年12月1日にプレスリリースで、「牛川人」がクマの骨であるという研究成果を発表しました。 リリースによると東京大学の諏訪元特任教授、新潟医療福祉大学の佐宗亜衣子助教ほか6名の研究グループで、「牛川人」がヒトの骨かどうかという調査を行ったそうです。 それによると、「牛川人」化石(上腕骨の破片と大腿骨の骨頭)とクマの骨(ヒグマ11個体、ツキノワグマ13個体)を肉眼観察、ノギス計測、実体顕微鏡観察により比較。また、「牛川人」化石と一部の比較標本についてCT撮影し、断面画像3次元モデルを用いた解析を行いました。 その結果、「ヒト上腕骨」とされた化石は、実際にはクマの橈骨(とうこつ=手足を構成する細長い形状の骨)の一部であり、同じく発見された大腿骨頭の化石もクマの骨であることが確認されました。
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