ダイエーの中内社長の微妙なニュアンスの発言で、一気に「南海ホークス」の身売りが現実のものとなった。その発言の翌9月11日、阪急が突然、上田監督の来季「続投」を発表した。
西宮球場での西武戦の前の慌ただしい続投会見。小林公平オーナーと土田球団社長にはさまれ、ユニホーム姿で握手を交わした上田監督の表情にはどこか硬さが見えた。
それもそうだろう。この時点での阪急の成績は47勝54敗2分け。27試合を残し、首位西武から12ゲーム差をつけられての5位。普通なら「解任」されてもおかしくない成績だ。
昭和56年に監督に〝復帰〟して以来、来季で9年連続。2年前、筆者に「監督は長くやったらアカン。ワシが6年もやってること自体がマンネリや」と辞意を漏らしたあの気持ちはどこへいったのだろう。
それよりもなぜ、続投発表が今なのか―がひっかかった。例年なら早くても残り10試合を切ったころ。この年は成績が成績だけに公式戦の全日程終了後のオーナー報告でまず〝進退伺〟を提出。そのあとに続投発表するのが普通だ。
異例の早い発表に上田監督は「来季に向けて、早く動きなさい―という球団の意向やないか」と分析したが、記者たちは腑に落ちないものを感じた。
◇9月11日 西宮球場
西武 200 000 112=6
阪急 003 000 000=3
(勝)工藤6勝9敗1S 〔敗〕山内4勝1敗6S
(本)バークレオ(32)(山田)清原(26)(27)(山内)
この日はエース山田が「引退」を決意した日でもあった。
一回にバークレオに2ランを浴び、三回1死後、石毛、平野に連打されたところで降板。ロッカールームから出てきたところで記者たちに囲まれた山田は「マスコミに先に言ってもいいけど、やっぱり球団に話す方が先。それから発表するのが一番」と笑ってみせた。
この63年、「最低でも二ケタ勝たないと、来年も頑張ろうという気持ちになれない」と宣言。300勝に「あと20」で臨んだが2勝9敗。燃え尽きたエースの笑顔だった。(敬称略)