米大学から「人種」「ジェンダー」の授業が消える? 共和党が標的に

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Vimal Patel/The New York Times 抄訳=荒ちひろ/朝日新聞GLOBE編集部
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Republicans Target Social Sciences to Curb Ideas They Don’t Like

 数年前、ジョン・ムテバ・ラヒエ氏は、より多くの学生をひきつけるため、自身の宗教人類学入門のコース名に趣向を凝らし、「神話、儀式、神秘主義」と名付けた。

 だが、フロリダ州マイアミにあるフロリダ国際大学で教授を務めるラヒエ博士はいま、この名称は同州の高等教育には刺激的すぎたかもしれないと考えている。

 「証明されていない、推測的あるいは探究的な内容」を含むとされたラヒエ氏の授業は、9月の大学評議員会で、卒業に必要な必修科目から削除することが決議された約20コースの一つだった。

 全州的に進む必修科目の削減は、多くの場合、コースの名称や説明に基づいて行われており、カリキュラムにおける「アイデンティティー・ポリティクス」に歯止めをかけるとして昨年成立した州法に準拠するものだ。同法はまた、「重要な歴史上の出来事を歪曲(わいきょく)する」授業や、「組織的な人種差別、性差別、抑圧、特権が米国の制度に内在している」という理論を含む授業を必修科目から排除することも定めている。

 フロリダ州は、共和党が州内の学校や大学における「woke(ウォーク、目覚めた)」の洗脳だとするものを制限または排除することを目的とした、一連の保守的な政策の実験場となっている。

 批判的な教員や学生らは、この最新の取り組みは大学の自治権を侵害し、学生がバランスのとれた教育に必要な授業を受ける機会を損ないかねないと述べている。学問の自由を擁護する人々は、これが新しい、より組織的なアプローチの仕方となることを懸念している。

 この新たな戦略は、教授が発言できること、できないことを規制しようとするような法的に問題のある戦術ではなく、授業全体を標的にしている。

 「かつて偉大だった我々の教育機関を急進左派から取り戻す」と掲げるドナルド・トランプ次期大統領の復権に大学が備えるなか、公立大学のカリキュラムを監督する同州の取り組みは、他州における共和党の取り組みのモデルとなる可能性がある。

 すでに、各地の議員たちが大学のカリキュラムに注目している。

同様の試みはフロリダ以外の州でも続いています。一方で、政府による教育への干渉だとして警鐘を鳴らす教員たちも。米国の高等教育の現場で、何が起きているのでしょうか。

 ワイオミング州上院は今年…

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