レイヤー分けツール、反AIに焼かれる

 2024年12月5日、「抹茶もなか」氏が、1枚絵を自動で複数レイヤーに分割するツール(名称未定)の完成を報告。

 

https://x.com/GianMattya/status/1864596512594087936

 

 初期から言われている事だが、画像生成AIには、「元々画像生成AIを使いこなせる人間が後から手描きを併用する」事は比較的容易だが、「元々手描きでやって来た人間が後からAIアシストを導入する」事がわりと難しいという問題があり、そのギャップを埋めるソフトウェアの開発が期待されていた。

 

 本ソフトウェアもその1つである。つまりこれは手描きイラストレータが新たにAIアシストを得るためのツールであって、既にAIを使いこなしている人間が使うようなツールではないのだが、反AIはそのコンテキストが読み取れず、なぜか「AI絵師が手描き偽装のために使うツール」だと勘違いし、開発者を攻撃し始めた。

 

https://x.com/yajumaji931/status/1865032900086992914

 

https://x.com/martan1972/status/1865019004064272587

 

https://x.com/l0lJywFlZjlIQAu/status/1865043147010773100

 

https://x.com/citruto/status/1865137868571840599

 

https://x.com/toririhiyoko/status/1864979660339319026

 

 

 本来のターゲットである「AIアシストを導入したいと思っている手描きイラストレータ」の背中に、元々ターゲットではない無関係な反AIが銃を突きつけ、「使うなよ?」と脅す結果となっている。

 

 元々オタク業界ではプログラマの地位が低く、イラストレータだけが神の如き別格の扱いを受けていたが、その「イラストレータ以外はどうでもいい」という特権意識が、ここに来て顕在化している。反AIのヘイトスピーカー化が進んだ結果、ラッダイト運動を通り越して機械だけでなくそれを開発した技術者も殺すべきという技術ヘイトが形成され、AdobeMicrosoftAppleGoogleといった巨大IT企業が次々とAIを開発・公開していくなか、それに全く抵抗できないフラストレーションが、殴れば言う事を聞きそうな個人開発者に向かっている。

 

note.com

 

 

 信じがたい事だが、デジタルペイントツールにべったり依存し、Undoやレイヤーがなければ1枚の絵を完成させる事もできないような世代が、今さら反テクノロジーなのである。

反AI、何かに勝訴

 

 2024年12月4日、長らく反AI絵師として活動している裏方(id:urct)氏が、何かに勝訴した事を公表。

 

https://x.com/urct/status/1864102108427112722 (長いため省略)

 

 

 全文が非常に長いのだが、重要なのは後半の5行。

 

私が被害を受けていた誹謗中傷、および名誉毀損や生成AIなどによる行為に関し法的処置を行い
いくつかの件につきまして無事に勝訴いたしました。
数ヶ月間報復におびえており、このことを報告するまでに時間を要しておりました。
また、相手のファンの方を不安にさせないよう合意のない限り相手の情報は非公開とさせていただきますが、
準備ができ次第近い内に正式な報告をさせていただく所存です。

https://x.com/urct/status/1864102108427112722

 

 名誉毀損罪は生成AIと関係がないので、問題は最後に列挙されている「生成AIなどによる行為」が具体的に何なのか、という事になるが、仮に名誉毀損以外の罪で裁判が行われ、かつ勝訴したのだとすれば、画像生成AI史上極めて画期的な事である。クラウドファンディングで700万円以上集めたにも関わらず、そこから3ヶ月進捗ゼロのまま停止しているやすゆき氏の立場がない。

 

note.com

 

 しかし実際は、情報を全て伏せたまま、ただ「勝訴した」とだけ書かれているので、具体的にどういう争点で何に勝ったのか、全く分からない。それどころか本当に裁判が行われたのかすら不明である。行うとされている「正式な報告」も永久に実行されない可能性もあるし、実行されても十分な内容になる保証もない。

 

 が、反AIにそのような事は関係がないので、早々と情報の劣化が進み、この話は「善良なイラストレータが裁判でAI野郎を叩き潰した」という都市伝説として完成した。

 

https://x.com/bukkake_mentai/status/1864140711551226336

 

https://x.com/awfkhua/status/1864220584496058858

 

https://x.com/numakame/status/1864488762388173130

反AIマンガ家篠房六郎、医者になる

 

 2024年12月2日、かなりの長期に渡って反AIとして活動している反AIマンガ家の篠房六郎氏が、「生成AI中毒」なる新疾病の存在を公表。

 

https://x.com/sino6/status/1863182349099507860

 

 氏によれば、「生成AI使用者は、問題解決のために自ら思考する力がなくなり、生成AIに依存して生きるようになる」とのことで、事実であれば非常に恐ろしい病気である。

 

 なお、ニセ科学として有名な「ゲーム脳」の提唱者・森昭雄は、2002年頃に「ゲーム脳」について下記のように主張している。

 

森はゲーム脳の背景について、以下のように考察している。

ゲームでは視覚と運動の神経回路だけが働き、「考える」ことが抜け落ちる。
ゲームを長く続けると、前頭前野の活動低下が慢性化する。
テレビなどの視覚刺激になれた人(ビジュアル脳)はゲーム脳に移行しやすい。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/ゲーム脳

 

 

 篠房六郎氏は、小学館系のメディアでマンガ「姫様はおあずけです」を連載中だったが、2024年4月10日の「第15話(前編)」以降掲載が途絶え、現時点で連続休載8ヶ月目に入っている。

 

https://urasunday.com/title/2182

 

 掲載が止まっている間も、反AIとしては精力的に活動しており、元気にデマを流したり、魔女狩りを肯定したり、チェンソーマンにダメ出しをしたりしていた。

 

 これも中毒症状かもしれない。

 

https://x.com/sino6/status/1840994567505789316

 

https://x.com/sino6/status/1834023210482106632

 

https://x.com/sino6/status/1834023210482106632

 

https://x.com/sino6/status/1830152665499582534

 

https://x.com/sino6/status/1838522947033796645

反AI絵師、ウォーターマークにハマる

 

 発端は「Twitter(X)に内蔵されている生成AI『Grok』が、2024年11月15日からTwitter内画像の機械学習を始める」というデマ。なぜデマなのかというと、Twitterによる機械学習はこの日に始まったのではなく、2023年9月頃から行われていたため。

 

 これに対し、まず最初に起きたムーブメントは、「Twitterを捨てて他のSNSに行く」であった。しかし、その手の試みはこれまで全て失敗しているうえ、そもそも他のSNSに行っても機械学習を防げるわけではないので、得られるのは「Twitterを見捨ててやった」という満足感だけで、特に解決にはならない(むしろTwitterはscrapingに対してかなり安全な方である)。

 

https://x.com/advocate__B/status/1846824296108511675

 

 そこで流行ったのが、「アップロードする画像に人為的にノイズを合成し、部分的に破壊する事で機械学習の阻害を試みる」というムーブメントである。この手のアプローチは以前から存在したが、それがついにメインストリームで流行した。ただし流行ったのは、GlazeでもNightshadeでもなく、まさかの手製ウォーターマークである。

 

https://x.com/c_p2z/status/1851519070912577655

 

 実際に機械学習を阻害する効果があるかどうかは全く検証されないまま、思い思いの破壊的ノイズパターンが作成・合成され、アップロードされていった。この動きに個人のみならず一部の出版社まで追随した。

 

幻冬舎ほか数社が追随

 

 しかし、現時点で「AIだけに選択的にダメージを与えるノイズ」という物は存在しない。画像生成AIがどういうアルゴリズムで画像を生成しているかを考えれば分かるが、ノイズ除去はAIが最も得意とする分野の1つであり、中途半端なノイズなどAIにとって無いも同然である。ノイズによる画像の部分的破壊は、AIにダメージを与えられる保証がない一方で、本来の目的である「人間による鑑賞」には確実に悪影響を及ぼす。

 

 もちろん「AIに学習されない事が最優先で、受け手の印象や自分の成功は二の次」という事であれば、特に問題はないのだが。

 

 

 

国立科学博物館、反AIに焼かれる

 2024年11月22日、国立科学博物館が、展示会「貝類展:人はなぜ貝に魅せられるのか」を告知(開催は11月26日から)。

 

https://x.com/art_ex_japan/status/1859726774390947902

 

 そのポスターに架空の貝が描写されていた事から、反AIが「AIを使用しているのではないか」として群がり、AI使用罪で焼かれる。

 

反AIに焼かれたポスター



https://x.com/ppp_pppp2020/status/1861614379785244814



https://x.com/rx4ksQwHOWfrYOl/status/1861635976814358816


 「AI使用罪」という罪は現実には存在しないため、「問題だ」とする筋立てが毎回バラバラなのだが、今回は「権威のある科学博物館がAIを使用すると、そこの展示物さえ偽物かもしれないと疑う事になり、何が本物か分からなくなってしまう」という感じのロジックが採用された。

https://x.com/SUEx_x/status/1861050559018811841

 

https://x.com/yokkikuroboshi1/status/1861716693711786043

 

 

 このようなロジックが採用された背景には、ここ数年インターネットにおいて、ジャンル問わず正確な資料をタダで手に入れる事が難しくなってきている(AIが作った架空のデータが混じる)事が関係している。

 

 まあ「良い情報にはちゃんと金を払え」「フリーライドするな」という話なのだが…

 

https://x.com/you629/status/1731590724389662806

 

 

 その後、国立科学博物館自身が「AIを使用した」と普通に発表。

 

https://x.com/museum_kahaku/status/1860987022779039811

 

 反AIに対応する気は全く無いようである。

 

ナンバーナイン社、反AIに焼かれる

見出し画像

 

 2024年11月5日、絶版漫画の配信を主目的とした電子書籍配信サービス「マンガ図書館Z」が、クレジットカード会社の取引拒否(いわゆる表現規制圧力)によって11月26日でクローズすると告知。

 

 

 マンガ図書館Zの創業者は、元マンガ家で現在参議院議員赤松健氏だが、元マンガ家でありながら無断学習罪に賛同しない赤松健氏は、反AIに敵とみなされ、事あるごとに嫌がらせを受けていた。

 

 今回も反AIの雷池が「マンガ図書館Zがサービス終了になったのは運営会社がAI生成コンテンツを取り扱っていたからだ」というデマをツイートして攻撃。

 

画像

https://twitter.com/thunder_battery/status/1853801950032375917 (削除済み)

 

 このデマが反AIコミュニティ内で事実であるかのように扱われたため、デマ攻撃を受けた被害者であるナンバーナイン社がわざわざこの話題に言及し、否定。

 

画像

https://x.com/no9team/status/1854410981914669174 (非常に長いので抜粋)

 

 しかしこの際、この話自体は完全なデマだが、それはそれとして生成AIコンテンツとロリ・ショタ関連コンテンツの取り扱いは当面停止するというよく分からない行動を取った。しかも「法整備が追いついていない」という反AIが好むフレーズをそのまま使用。

 

画像

https://x.com/no9team/status/1854410981914669174 (非常に長いので抜粋)

 

画像

https://x.com/no9team/status/1854410981914669174 (非常に長いので抜粋)

 

 

その後、雷池はデマツイートを消して逃走。

 

 先日のローソンプリント(ダブルカルチャーパートナーズ)の事例もそうだが、Twitterで少々騒ぐだけで容易にキャンセルできる脆弱な企業は少なからず存在する。特に立場上手描きの機嫌を取らざるを得ない出版社やVTuberは、反AIのキャンセル攻撃に対して非常に弱い。

 

note.com

 

 「センセーショナルなデマで注目度を上げてアホを扇動し、キャンセル攻撃に参加させ、キャンセルが成功したら大元のデマツイートを消して逃げる」という攻撃手法は企業に対して有効なようなので、今後も繰り返し行われる可能性がある。

浪川大輔、反AIに焼かれる

 2024年10月31日、10月中旬頃から「#NOMORE無断生成AI」キャンペーンを実施していた日本俳優連合より、声優本人がコメントする動画シリーズの第2弾として、浪川大輔氏の動画が公開。

 

https://x.com/NOMORE__MUDAN/status/1851957328335245802

 この浪川氏の動画が「我々反AIの主張と違う」として反AIが群がり、AI擁護罪で焼かれる。


 日俳連と反AIの要求が似ているようで全く違う、という事は最初から分かっていた。日俳連が争点を「実在する声優の声そのものを無断で生成する行為」に絞ったのに対し、反AIの争点は一貫して無断学習罪であり、目標は「生成AIの絶滅」だからである。


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 しかし、当の反AIがその違いを重要視せず、「味方が増えた」「みんな怒っている」程度の認識しか持っていなかった。それが今回の「なぜ声優は無断学習罪の話に乗って来ないのか」というズレた結論に帰結している。

https://x.com/081f1d2/status/1852221272853483926

 

https://x.com/showbiura/status/1852292118884282745

 

https://x.com/gbsfxJpGtc97296/status/1852573824740671519

 

 

 なお、「歩み寄る」というのは「要求を縮小する」という意味だが、反AIの要求は前述の通り「無断学習罪の新設」と「生成AIの絶滅」であり、ここから縮小した事はないので、「歩み寄った事がある」とは言えない。

 

https://x.com/kinoko_6/status/1852295123113250889