「ワタシ、ビョーキ」元東京入管局長が語る収容の実情 ハンストで体重増、LGBT男性も

「移民」と日本人

入管収容施設の居室(出入国在留管理庁のサイトより)
入管収容施設の居室(出入国在留管理庁のサイトより)

不法滞在などで国外退去処分となった外国人を収容する入国管理施設。スリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが収容中に死亡した問題などから批判が絶えない一方、収容されず仮放免中のクルド人の男が埼玉県川口市で性犯罪を再犯していたことも明らかになった。元東京出入国在留管理局長の福山宏氏が、施設収容の実情を語った。

仮放免狙い診察繰り返す

「収容者がものを投げる、壁をける、たたく、熱湯をまき散らすなどは日常風景だった」

福山氏は1984年法務省入省。入国者収容所東日本入国管理センターの所長や広島、福岡、大阪の各入管局長をへて2018年から21年まで東京入管局長を務めた。ドイツ留学経験もあり、退職後の23年4月には衆院法務委員会で参考人として入管行政について証言している。

福山氏によると、収容者が施設の規則や警備官の指示を無視することは珍しくない。施設内で暴れて、ものを破壊したり、職員や他の収容者らに危害を加えたりする。ふん尿で施設を汚し、多額の被害を出すこともあったという。

入管収容施設は、国内に不法滞在する外国人の身柄を拘束し、国外退去まで一時的に収容する施設。東京入管など全国に17カ所あり、24年12月時点で約540人が収容されている。

複数の収容者が寝起きする共同室と単独室には冷暖房やテレビがあり、多目的ホールには国際電話もできる公衆電話がある。もちろん施設の外に出ることはできないが、入浴や洗濯もできる一方、食事や運動など決められた日課に従って過ごし、喫煙や飲酒は禁じられている。

こうした処遇から脱しようと、「健康悪化」などを訴えて、施設への収容を一時的に解かれる仮放免を狙ったとみられる行動が後を絶たないという。

「収容者は次々と自覚症状を訴え、診察希望を繰り返す。『異常なし』との診断に『ソンナコトナイ。ワタシ、ビョーキ』と食ってかかり、医師や看護師に暴言を吐く。やむなく診療を中止すると、活動家らから『診療拒否』『人権侵害』などと非難される」

反対に、担当医が収容者の症状に合わせて治療薬を処方すると、収容者を薬漬けにする「過剰医療」と批判され、「人権侵害」と非難されることもあったという。

女性単独室で「LGBT差別」

数年前には入管施設で「ハンガーストライキ(ハンスト)」と呼ばれる給食の集団拒否が頻発した。ただ、ハンストといいながら、差し入れ品や自費で購入したカップめんやポテトチップスなどは大量に食べていたという。

「栄養バランスを考えた給食が数十万円分も無駄になったことがある。一方で、高脂肪、高カロリー、高塩分のジャンクフードの大量摂取により、給食拒否者の半数はかえって体重が増え、高血圧などが心配された」

収容施設は男性区域と女性区域に分かれているが、「体は男性だが心は女性」というトランスジェンダーが収容される際は、本人の希望を聞いた上で、他の収容者への対応にも配慮しているという。

ある「心は女性」の収容者を同じ性的志向の男性数人と一緒に収容したところ、精神的に不安定になったことがあった。精神科医と相談の上、運動の時間だけ本人の希望を受け入れて女性収容者と一緒に過ごさせたところ、改善したケースがあった。

一方、別の「心は女性」の収容者が女性区域内の収容を希望した際は、嫌悪感を抱いた女性収容者や他のLGBT収容者が反発。性格が荒く、男性的な生活様式だったこともあり、やむなく女性区域の単独室に収容したところ、一部の国会議員や支援者から「LGBT差別だ」と非難されたという。

仮放免は本来は「例外」

これほど困難を伴う施設収容だが、福山氏は収容を解く仮放免は「本当に例外的でなければならない」と強調する。理由は仮放免者の逃亡が多発しているためだ。

出入国在留管理庁によると、21年3月までの8年間に特定の弁護士や支援者5人が身元保証人となった外国人787人のうち、195人が行方をくらましていた。再犯率の高い性犯罪や薬物犯罪、殺人など新たな犯罪に手を染める例も少なくないという。

「再犯が多いことは職務上、知り尽くしていた。日本にいるべきではないとの法務大臣の決定で強制送還の命令が出ている者を、地方官庁の長の一存で身柄拘束を解いた結果、もし再犯に至ったら、との思いが頭を離れなかった」

福山氏は各地の入管局長時代、仮放免許可を決裁する際、はんこを持つ手が震えたという。

出入国在留管理庁によると、23年末時点の仮放免者は4133人。10年前から1・5倍に増えた。新型コロナウイルスの感染拡大時に感染防止対策から、やむを得ず仮放免を増やした経緯もある。

福山氏は35年前の1989年、留学先のドイツで、外国人労働者を当初は「出稼ぎ」として受け入れながら彼らがやがて家族を呼び寄せ、難民認定制度を濫用するなどして居座った結果、外国人の在留管理が事実上破綻したさまを目の当たりにしたという。

「その当時からドイツの外国人労働者受け入れは失敗であり、ドイツの状況は日本の30年後の姿だと危惧していた。ドイツの二の舞は絶対に避けるべきだと考えていた。最近はそれが当たっているように見えるのが、気がかりだ」

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