【速報】シリア 反政府勢力“首都解放”主張 アサド政権崩壊か

内戦が続くシリアで、アサド政権の打倒を掲げて攻勢を強める反政府勢力は8日、国営テレビを通じて「首都ダマスカスは解放された。独裁者アサドを打倒した」と主張しました。政権側からの発表はありませんが、反政府勢力はアサド大統領が首都から逃亡したとも主張していて、アサド政権は崩壊したとみられます。

シリアでは11月27日以降、アサド政権の打倒を掲げる反政府勢力が攻勢を強めていて、北部の主要都市アレッポや、首都ダマスカスに通じる中部の要衝ホムスなどを制圧しました。

また、反政府勢力は南部でも各都市の掌握を進めていて、南北から首都ダマスカスに迫りました。

反政府勢力は8日、占拠したとみられる国営テレビを通じて「首都ダマスカスは解放された。独裁者アサドを打倒した。シリアにいる罪のない囚人は全員、解放された」と主張しました。

反政府勢力はアサド大統領が首都から逃亡したとも主張していて、アサド政権は崩壊したとみられます。

反政府勢力は、アサド政権を軍事面で支えてきたロシアやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラが、それぞれウクライナ侵攻やイスラエル軍との戦闘の対応に追われるなか、大規模な攻勢に乗り出し、アサド政権は守勢にたたされて一気に弱体化しました。

ダマスカス 喜ぶ市民

ダマスカスでは、市民が車から降りて音楽を鳴らしたり、軍が放置したとみられる戦車の上に乗ったりして喜んでいる様子が確認できます。

ロイター通信によりますと、ダマスカスの広場には車や徒歩で数千人の市民が集まっていたということです。

シリア首相 政権移譲に協力する考え

シリアのジャラリ首相は8日、インターネット上でビデオ声明を発表し「私はいま自宅にいる。私たちは反政府勢力に手を差し伸べる。彼らも手を差し伸べ同じシリア人に危害を加えないと約束してくれた」と述べました。

そのうえで「今後のシリアは国民が選ぶ指導者にゆだね、われわれはその指導者と協力する用意がある」と述べ、政権の移譲に協力する考えを示しました。

また、「すべての国民の財産である公的機関へ被害を与えないようすべてのシリア人にお願いする」と述べて、国民に冷静な対応を求めました。

【解説動画】これまでの情報と今後の動き

これまでの動きについて、国際部の澤畑剛デスクの解説です。

※動画は4分26秒。8日16時半すぎのニュースで放送しました
※データ放送ではご覧になれません

反政府勢力とは

11月27日以降の反政府勢力の攻勢を主導しているのは、「シリア解放機構」と呼ばれる過激派組織だとされています。

2011年のシリア内戦開始後に結成され、アサド政権との間で戦闘を続けてきた、国際テロ組織アルカイダ系の過激派組織「ヌスラ戦線」が母体となっています。

「ヌスラ戦線」の分裂をへて、「シリア解放機構」が立ち上げられ、ジャウラニ指導者のもとでシリア北西部イドリブを拠点に活動していました。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、「シリア解放機構には最大3万人の戦闘員がいると推定されている」と伝えています。

今回の攻勢についてシリア解放機構のジャウラニ指導者はアメリカのCNNテレビのインタビューで、目的はアサド政権の打倒だとしたうえで「目的達成のためすべての手段を使う」と主張していました。

シリア内戦とは

シリアでは2011年、民主化運動「アラブの春」が波及する形で、民主化を求めるデモが起こり、アサド政権がこれを武力弾圧したことをきっかけに反政府勢力との戦闘となり、激しい内戦に発展しました。

2014年には内戦の混乱に乗じて過激派組織IS=イスラミックステートが、シリアとイラクにまたがるイスラム国家の樹立を一方的に宣言して勢力を伸ばしたほか、少数民族クルド人勢力もアメリカの支援を受けて独自の戦いを展開し、内戦は泥沼化します。

2015年、劣勢に立たされていたアサド政権は、ロシアから空爆の支援を得て息を吹き返し、反政府勢力やISの支配地域を次々に奪還します。

ただ、アサド政権の攻撃は多くの民間人を巻き込み、化学兵器も使用したとして国際社会の批判を浴びてきました。

一方の反政府勢力は分裂して支配地域は北西部イドリブ県などに追い詰められ、ISも弱体化し、アサド政権は内戦での軍事的な勝利をほぼ手中に収めていました。

2020年にアサド政権の後ろ盾のロシアと反政府勢力を支援するトルコが停戦合意を交わして以降は、大規模な戦闘は起きず、戦闘はこう着状態となっていました。

国連が主導し、政治的な解決を目指すプロセスは行き詰まり、内戦の終結が見通せないなか、国連によりますと2011年からの10年で30万人を超える民間人が命を落とし、いまも680万人が国外避難をしているほか、720万人が国内での避難生活を余儀なくされています。

アサド大統領 2000年に大統領職継承

バシャール・アサド大統領は59歳。

30年にわたり独裁的な政権運営を続けた父親のハーフェズ・アサド前大統領の死去に伴い、2000年に34歳で大統領職を継承しました。以来、24年にわたって父親同様、強権的な統治を続けてきました。

2011年に「アラブの春」がシリアにも波及すると、アサド大統領は武力で弾圧し、これに反発する反政府勢力との間で戦闘となり、内戦に発展しました。

欧米諸国などはアサド大統領の退陣を求め、反政府勢力を支援しましたが、アサド大統領はロシアやイランなどの支援を受けて政権運営を続けてきました。

また、内戦では反政府勢力を北西部などの一部地域に追いやり、軍事的な勝利をほぼ手中に収めたとみられていました。

内戦が始まってから行われた過去の大統領選挙は、政権の支配地域のみで行われ、3年前の選挙ではアサド大統領が95%を超える得票で当選しました。

国連 “37万人以上が住まいを追われた”

国連は6日、シリアでは11月27日以降、少なくとも37万人が住まいを追われたと明らかにしました。

現地では、厳しい寒さの中、路上や車内で寝泊まりをせざるをえない人もいるとして、国連は戦闘の一刻も早い停止を呼びかけていますが、首都をめぐる攻防戦となれば、市民を巻き込んで戦闘が激化することが懸念されます。

米大統領補佐官「アサド氏の軍は形骸化」

アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は7日、国防に関するフォーラムの中でシリア情勢について「アサド大統領を支援するイラン、ロシア、ヒズボラはいずれも弱体化したり、ほかに目を向けたりしているため、アサド氏は期待していたこれらの3つの勢力の支援を受けることができず、丸腰の状態に置かれている。アサド氏の軍は形骸化している」と述べ、シリア軍が機能していないことが、反政府勢力の急速な進攻につながっていると指摘しました。

NSC報道官「バイデン大統領 非常事態を注視」

アメリカ・ホワイトハウスのNSC=国家安全保障会議の報道官は7日深夜、日本時間の8日午後1時すぎ、SNSに「バイデン大統領とそのチームはシリアにおける非常事態を注視している。この地域のパートナーと連絡をとりあっている」と投稿しました。

トランプ氏 “アメリカは関わるべきではない”

シリア北東部などには、過激派組織IS=イスラミックステートの勢力が再び拡大しないよう、アメリカ軍の部隊およそ900人がいまも駐留しています。

そうした中、アメリカのトランプ次期大統領は7日、現在のシリア情勢をめぐってSNSに投稿し「シリアは混乱しているが、われわれの友人ではない。アメリカは関わるべきではない。これはわれわれの戦闘ではない。巻き込まれるな」と主張しました。

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