2024.12.08 05:00
【高知UがJ入り】「新しい景色」切り開いた
高知県サッカーの「新しい景色」が切り開かれた。JFLの高知ユナイテッドSCが、Jリーグ3部(J3)・YS横浜との入れ替え戦に勝ち、Jリーグ入りを決めた。
1993年にJリーグが発足してから31年。県内にはずっとJのチームがなく、その誕生は関係者や県民の悲願だった。J入りが地域にもたらす活力は大きい。達成した選手、スタッフに敬意を表し、サポーターらと一緒に喜びたい。
高知の土地柄は野球が盛んな一方、サッカー熱は高いといえず、有力選手・チームの輩出で全国の後塵(こうじん)を拝してきた。Jはおろか、アマチュア最高峰のJFLのチームもない時代が続いてきた。
こうした中で2016年に発足したのが高知Uだった。当時の有力チームだった「アイゴッソ高知」と「高知Uトラスター」を統合し、人的資源や経営資源を集約することでJに臨む態勢を強化した。
ただ、やはり現実は厳しく、これまで思惑通りに歩めてきたわけではない。チームはJFL下部の「四国リーグ」を4年で卒業し、今季がJFL5年目。JFL入りには最後の関門で2度つまずき、JFL昇格後も3年目までは2桁順位で「壁」にぶつかった格好だった。
J入りに現実味が出てきたのは昨年だろう。22年からチームを率いる吉本岳史監督の「堅守速攻」スタイルが浸透。JFLで初の1桁順位になったほか、天皇杯でJ1勢を連破したり国体で優勝したりするなど地力の底上げが見られ、迎えた今季、ついに目標をかなえた。
快挙は現チームのたゆまぬ努力のたまものだろう。ただ、歴代の監督や選手、スタッフ、さらにさかのぼれば、高知U発足前からさまざまな立場の人がそれぞれの形でJへの思いを紡ぎ、土台をつくった。その足跡にも思いをはせたい。
今季は、チームの躍進や観客動員条件を通じ、新たなファンやサポーターが多数掘り起こされた。9月の春野陸上競技場の試合は観客1万1085人を記録。Jリーグが掲げる地域密着のチーム運営や、サッカーを楽しむ地域文化の定着という点で大きく前進した。
印象的なのはきのうの試合、勝利を大きく引き寄せた2点目のシーンだ。持ち味の堅守速攻からゴールを決めた内田優晟選手らは、遠路足を運んだ高知サポーターの元にそのまま走り、一緒に喜び合った。今季を象徴しているようでもあった。
高知のチームがようやく来季、Jの舞台に立つ。だが、一段レベルの高い相手が待ち受け、降格の可能性も当然ある。実力アップが欠かせない。また、遠征費や人件費など運営費用もこれまで以上に膨らみ、安定経営のハードルもさらに上がる。
乗り越えるべき課題は多いが、チームと県民がつながりを強め、より高みを目指していきたい。