|
イラクの女性は美人だ。目鼻立ちがはっきりしていて、モデルのようだ。その上、バリバリ働いている。
現地に行く前は、イスラム教の国だから女性を外で見かけることも少ないだろうとステレオタイプな想像をしていた。ところがバグダッドに赴任してすぐ、ユニセフの現地スタッフの中で教育関連の事業を担当し、教育省との交渉やNGOとの調整をほとんど一人でこなしているイラク人女性と出会った。国連ビルの爆破後、国際スタッフが次々と撤退していく中で、私たちNGOからの要望に、いつもテキパキと対応して仕事を進めてくれたとても頼もしい女性だった。
イラクには大学を出て、英語ができ、国連やNGOで現地スタッフとして活躍している若い女性たちもいるということを皆さんはご存知だろうか?アフガニスタンでは15%程度という小学校への女子の就学率も、イラクでは90%近い。学校では、女子校はもちろん、男子校でも、先生は女性がとても多いうえ、教師歴20年というような大ベテランの先生がたくさんいる。
JENが学校修復を行っている地区の教育省の担当も女性で、打ち合わせのために彼女を訪問している間にも、承認のサインや報告・相談のために、市民が次から次へと押しかけてくる。彼女はそんな仕事を、いつも精力的に、こともなげにこなしてゆく。
公務員に女性が多いのは、旧政権下での公務員の給料がとても安かったため、男性が公務員になると、一家を養っていくのが大変だったからだという。だが、女性が外で働くこと自体に抵抗があるイスラム教国が多い中で、イラクでは旧政権の時から女性が活躍していたのだと知って、これぞ「素顔のバグダッド」、目からウロコの発見だった。
もっと驚いたのは、学校修復の事業で建築エンジニアを募集したら、女性からの応募もあったことだ。日本でも、技術系の専門職につく女性は男性に比べてまだまだ少ないが、イラクでは、うっとりするような美人の建築エンジニアが活躍している。
そうは言っても、敬虔なイスラム教徒の男性の中には、女性が外で働くことを良しとしない人もまだまだ多く、結婚を機に、英語の教師をしていた妻に仕事をやめさせたという人もいた。食事に招待されても、台所から奥さんが姿を見せないということもある。日本では想像しがたいが、なにも否定的な考えではなく、このようなイスラムの伝統は、女性を大切にしているところから来ている。
例えば、エンジニアの募集に対して女性が応募する前に、ご主人がわざわざ事務所までやって来て仕事の内容や環境、治安の状況などを確認して帰っていったということもあった。面接に男性が付き添いで来ることも普通だ。ちょっと過保護なんじゃないのかな?とも思ったが、それだけ女性は大切にされているわけで、ちょっと羨ましく思ってしまう。
このように、JENの支援活動は、ユニセフのスタッフ、教育省の職員、JENのエンジニアなど多くの現地女性陣の力で進んでいる。戦争などで犠牲になるのはいつも、弱い立場にある人々であり、弱い立場にあるのは女性が多い。もちろんそうした人たちへの支援が大切なのだが、イラクには支援する力を持つ女性達がいる。私たちは彼女達の活躍を少しでも後押しする形での活動をしていきたいと考えている。現地の人たちが主体となるイラク復興のために。
(04/03/22)
|