二階堂友紀

東京社会部
専門・関心分野人権 LGBTQ 政治と社会

現在の仕事・担当

社会部で人権・ジェンダーを担当しています。LGBTQをめぐる取材も続けています。

バックグラウンド

2000年に西日本新聞に入社し、2004年に朝日新聞へ。横浜総局、長野総局、政治部、特別報道部などで記者をしてきました。

仕事で大切にしていること

歴史を記録すること、時代を描くことをめざしています。

著作

  • 『秘録退位改元 官邸VS.宮内庁の攻防1000日』(朝日新聞出版、2019年)=共著
  • 『性のあり方の多様性 一人ひとりのセクシュアリティが大切にされる社会を目指して』(日本評論社、2017年)=共著

論文・論考

  • 『異端者の政治:安倍政権試論』(岩波書店「世界」2021年12月号)
  • 『これは闘争、ではない:LGBT理解増進法案見送り』(岩波書店「世界」2021年8月号)
  • 『「対話」論の陥穽:差別をはびこらせる言説とは』(岩波書店「世界」2018年12月号)
  • 『日本会議、その飽くなき現実主義』(岩波書店「世界」2017年12月号)
  • 『漂流するLGBT法案』(岩波書店「世界」2017年5月号)

タイムライン

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もし非常戒厳が日本で起きたら 自問自答の夜「民主主義は簡単に…」

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が3日夜に宣言した「非常戒厳」。市民や国会議員の抵抗により、一夜で解除された。日本の憲法に同様の定めはなく、政治の仕組みも大きく違う。それでも、自分の暮らしと重ね合わせ、自問自答した人たちがいる。  非常戒厳は、集会やデモなど一切の政治活動を禁じ、メディアも統制を受けるといった内容だった。国政運営に行き詰まった尹氏が、権力を守るため非常手段に訴えたとの見方が強まっている。  「(現地からの)中継をじっと観(み)つづけた深夜を忘れないでいたい」。横浜市に住む50代の販売員の女性は4日午前、X(旧ツイッター)につづった。  同日未明、数千人の市民が国会前に集まり、民主化運動で受け継がれてきた歌の大合唱が起きる様子をネット中継で見た。「人間の鎖となって戒厳軍に抵抗する人たちの姿に圧倒され、私たちは永田町に駆けつけられるだろうかと考えた」  韓国のアイドルグループBTSのファンだという女性は、韓国の歴史についても学んできた。戒厳が解かれた後も寝つけず、戒厳軍が民主化を求める市民を弾圧した1980年の光州事件を描いたノーベル賞作家ハン・ガンさんの小説「少年が来る」を読み返した。  「BTSの曲にも光州事件を示唆する歌詞がある。いざという時に体が動くのは、歴史と日常が地続きだからではないか。動くことができなければ、歴史のスイッチを止められるだろうか」と語った。 ■「眠れなくなった」投稿  「『もし日本でこんな事態が起きたら……』と考えたらいい結末が見えず、眠れなくなった」と投稿したのは、上島大和(かみじまひろかず)さん(26)。  映画制作に関わる夢を実現するため、会社を辞めてフィリピンの語学学校に通う。韓国人の友人の妻は「戒厳下で国に帰ったら、あなたは軍に参加させられる」と震えたという。  「民主主義は簡単に終わるのかもしれない」と気づかされた。日本でも選挙でデマや誹謗(ひぼう)中傷が飛び交い、「民主主義が少しずつ壊れている」と感じていただけに、現実味があった。  韓国では与党を含む国会議員190人が解除要求決議を可決した。「日本では、体を張って止める政治家が、与党にどれだけいるだろう」と考え込んだという。  長野県松本市で出版業を営む福岡貴善さん(60)は「韓国にも深刻な分断や冷笑はあるが、弾圧と抵抗の歴史を通して、独裁者が軍を動かす時代に戻してはならないという共通認識があると実感した」と語る。  8年前、機密文書の流出などを受け、朴槿恵(パククネ)大統領の辞任を求める市民ら20万人超がろうそくを手に集まった集会を現地で見た記憶もよみがえったという。親子連れの姿もあり、「デモが日常に根ざしている」と印象的だった。「異議申し立ての手段は選挙以外にもあるという意識を、私たちも持ち続けなければ」 ■「立ち上がるのをためらう人たちも」  選択的夫婦別姓の実現を求める一般社団法人「あすには」の井田奈穂代表理事(49)は、声を上げても政治が動かない経験から、「あきらめが蔓延(まんえん)している」と考えてきた。  活動する中で、デマや誹謗中傷の被害を数多く受けてきた。「政治に関わることを避け、声を上げる人をたたく風潮がある。そのせいで立ち上がるのをためらう人たちもいる」と話した。  全国の選挙現場を歩くラッパーのダースレイダーさん(47)は「主権者の代表たる議員が国会の議決によって権力の暴走を止める一方、主権者たる市民が国会周辺に集まって議員たちの行動を支え、民主主義の形が実践された」と振り返った。  「日本の戦後民主主義は、市民が自らの手で勝ち取ったわけではなく、米国の下で『今日からあなたたちが主権者です』と言われて始まった。主権者は私たちで、国会議員に権限を預けているだけだという意識を積み重ね、自分たちが望む社会をつくる手段として民主主義を育てていく必要がある」と指摘する。

3日前
もし非常戒厳が日本で起きたら 自問自答の夜「民主主義は簡単に…」

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「保健室の先生」の4割、性別への違和感のある子に関与 2千人調査

 「保健室の先生」の4割が性別に違和感のある子と、2割が同性愛の子と直接関わったことがある――。小中高や特別支援学校の養護教諭ら約2千人が答えた調査で、養護教諭が性的少数者やそうかもしれない児童生徒の相談相手になっている学校現場の様子が明らかになった。  調査は、日高庸晴・宝塚大教授(社会疫学)が2024年1~3月、性的マイノリティーの生きやすい社会をめざす認定NPO法人「グッド・エイジング・エールズ」からの委託を受けてウェブ上で実施。子どもたちが安心して相談できる教育環境をつくるには実態把握が欠かせないとして、9自治体の養護教諭4552人に回答を呼びかけ、2172人から有効回答を得た。5日に記者会見で結果を発表した。 ■学んだ経験あるほど、関与の度合い高く  これまでに性別に違和感のある子やトランスジェンダーの児童生徒と直接関わったことがある人は42.4%、同性愛の子では22.3%だった。  研修や独学、大学などの養成機関で性的マイノリティーについて学んだか尋ねた設問とクロス集計すると、全てで学んだ層では性別違和・トランスジェンダーの子に関わった割合が52.4%、いずれかで学んだ層は42.5%、学んだことのない層は22.5%などで、学んだ経験があるほど関与の度合いが高かった。  日高教授は「学びの機会が多いほどアンテナが高くなり、児童生徒の小さな変化に気づきやすくなるのではないか。普段の言動などから、この先生になら安心して話せると感じてもらえている可能性も高い」とみる。 ■「情報共有にあたり本人承諾得た」54.3%  一方、そうした児童生徒から受けた相談内容を担任や管理職などと共有した人は90.3%、このうち本人の承諾を得たのは54.3%だった。  日高教授は「学校側がチームで対応することは重要だが、相談はカミングアウトとほぼ同義で、性的指向や性自認のアウティング(暴露)につながる恐れもある。情報共有の必要性について丁寧に説明し、誰と共有するのかも含め、本人の意向を確認して欲しい」と話す。 ■「情報をアップデートする研修機会必要」  養護教諭らの知識を、さらに一歩深めていく必要性も浮かび上がった。  LGBTQ、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーといった言葉はいずれも9割以上が「知っている」と答えた。だが、他者に性的にひかれないアセクシュアルを知っているのは34.0%、自分に男女の枠組みを当てはめたくないといったノンバイナリーは17.8%と浸透していなかった。  さらに、性的指向(好きになる性別)と性自認(性別に関する自己認識)の違いを78.9%が理解している一方、「同性愛者になるか異性愛者になるか、本人の希望によって選択できる」と誤解している人は40.5%に上った。日高教授は「初歩的な知識は広がってきたが、情報をアップデートする研修機会を定期的に確保することが必要だ」と指摘する。

3日前
「保健室の先生」の4割、性別への違和感のある子に関与 2千人調査

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李琴峰さん「アウティングで追い詰められた」トランスジェンダー公表

 台湾出身の芥川賞作家・李琴峰(りことみ)さん(34)が11月20日、自身のSNSでトランスジェンダーだと公表した。李さんは25日、朝日新聞の取材に応じ、SNS上でアウティング(暴露)の被害を受け、やむを得ず公表に至ったと明らかにした。  李さんは既にレズビアンであることを公表していたが、差別による犯罪などで亡くなった当事者を悼む「トランスジェンダー追悼の日」の11月20日にあわせ、自身のSNSに「私はトランスジェンダーでもあります」とつづった。  李さんは取材に「生まれた時に誤った性別を背負わされ、後に女性に訂正した」と語った。トランスジェンダーであることを理由に、いじめや差別を受け、「台湾では安心して生活できない」と2013年に日本へ「逃げてきた」という。  過去を明かさず暮らしてきたが、21年に芥川賞を受賞後、X(旧ツイッター)など複数のSNSで、李さんの個人情報とともにトランスジェンダーだと名指しする投稿が広がった。当初は中国語圏内だったが、日本語でも投稿され、台湾在住の投稿者らと民事で係争中だという。  トランスジェンダーの人々の中には、性別移行を公表せず、移行後の性別で生活している例が少なくない。李さんもそれを望み、これまで「(トランスなのかという)卑劣な問いには答えない」としてきた。しかし、「提訴後もアウティング行為がやまず、自死を考えるほどに追い詰められ、カミングアウトして被害を訴えざるを得ない状況になった」という。 ■「アウティングは当事者を死に追いやることもあると知って」  李さんは「私は女性でありレズビアン。トランスジェンダーという属性は、私にとって自分の本質ではない。本当は公表などしたくなかったが、アウティングは当事者を死に追いやることもある深刻な人権侵害だと知ってほしい」と語った。  さらに、「性的マイノリティーとして抑圧や差別を受けてきた私が、小説家になるという夢をかなえ、生き延びている。アウティング被害の末のカミングアウトとはいえ、私の存在が誰かの希望になれたら」とも話した。 ■20年の東京高裁判決、アウティングは「人格権の侵害」と認定  性的マイノリティーのアウティング被害をめぐっては、一橋大の法科大学院生の男性(当時25)が15年、恋愛感情を伝えた同級生から、ゲイであることを暴露され、同大の建物から転落死した。両親が大学側に損害賠償を求めた訴訟で、東京高裁は20年、大学側の対応に違法性はなかったとして請求を棄却する一方、アウティングについて「人格権やプライバシー権を著しく侵害する許されない行為だ」と指摘した。

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