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一番シンプルなテネットの解説【TENET】

#ネタバレ

わかったようでわからないような難解な映画、テネット。世の中にある解説は細かいことから説明してるものがほとんどなので、このnoteでは《一番コアの部分から説明してスッキリ理解できる文章》を目標とします。

▼何をしていたの?

結論から書きましょう。

わるい未来人が現代のセイターに命令して、アルゴリズムを未来にデッドドロップしようとしたので、それを主人公がこっそり失敗させる話。

…です。

これを3行で分解して図解すると、以下のようになります。

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主人公の目的=セイターの計画をこっそり失敗させること。

セイターの計画=アルゴリズムを集めてデッドドロップに入れること。

デッドドロップの受け取り手=わるい未来人。

以上です。

極限までシンプルにしたので、ニールもカットです。(笑)

…というだけでは流石に意味不明ですよね。

説明のしやすさの都合で、3行目から逆行して解説します。

●わるい未来人=デッドドロップから回収する

デッドドロップ》とはスパイが情報を交換する手法の一つで、互いに顔を合わせずに情報を受け渡す方法のことです。何らかのカプセルに隠して放置するのが一般的で、今は使われていない郵便受けを使う事が多い事から、デッド・レター・ボックスとも呼ばれます。逆に直接会って渡す方法はライブドロップと言われます。

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dead drop 画像検索の結果

補足)例えばスパイ映画『ザ・ロック』ではある場所に隠してあるマイクロフィルムを回収しますが、あれが典型的なデッドドロップです。逆に映画『ミッションインポッシブル5:ローグネイション』でベンジーが地下鉄の駅でフードの男からぶっきらぼうに渡された紙袋がライブドロップです。

映画『TENET テネット』はクリストファーノーランがスパイ映画を作りたくて作った映画なので、まさに《スパイ映画らしく重大なアイテムをデッドドロップに入れる》というのがストーリーの肝になります。

ちなみに日本語字幕と吹き替えでは、このデッドドロップという、いかにもスパイ映画らしい単語は使われずに《秘密のポスト》と翻訳されています。これはこれで分かりやすいですし、間違ってもないんですが、私はスパイ映画らしさは失われてしまったような気がします。だって英語でsecret postシークレット・ポストとは言ってませんから。

補足)もしかして70年代のスパイ映画の日本語翻訳では《秘密のポスト》と翻訳されるのが一般的だったんですかね?だとしたら、それを踏襲したのかもしれないので、私の知識が足りなかったと言うべきかもしれませんね。

さて、デッドドロップから回収するのは《わるい未来人》です。

なぜそんなことをするのか?

実は未来で一人の天才科学者(未来で次世代のオッペンハイマーと呼ばれている女性科学者)が時間を逆行させる装置を発明します。やがてこの技術が応用されて新兵器が開発されます。しかし彼女は武器使用に反対して、その新兵器を起動するためのキーを時間逆行させて隠してしまいました。もちろんこの起動キーこそがアルゴリズムです。

補足)ちなみにアルゴリズムは、劇中の言葉では”It is a formula in physical form, so it cannot be copied or communicated. It is a black box with one function.(物体として表現された数式。なので複製や通信は不可能。ある機能を発動するためのブラックボックス)”であり、その機能とは”Inversion. But not objects or people. The world around us.(逆行。ただし物体や人間ではなくて世界全てを逆行させる)”と説明されています。あくまでニールの発言であり、劇中でその機能を作動させる場面は描かれないので、どこまで真実なのかは不明ですが。

なので、この新兵器を使いたい《わるい未来人》の組織は、過去に送られたアルゴリズムを奪取しようと動くのですが、未来では新兵器の利用に反対のグループと賛成のグループで技術と情報が拮抗するので苦戦します。そこで賛成派グループは、《十分すぎるくらい遠い過去の20世紀にメッセージを送って、アルゴリズムを集めてデッドドロップに隠せと指示》しました。その標的に選ばれたのがセイターです。

●セイター=アルゴリズムをデッドドロップに隠す

1980年代。セイターはロシア(当時はソビエト連邦)に暮らす貧しい若者でした。彼はスタルスク12という政府に破棄された原発都市で、放射性物質を処分する肉体労働者です。貧しさに漬け込まれての、放射線を浴びながらの危険な力仕事。彼はまさにロシア社会の底辺弱者男性でした。

しかし、ある日、彼の人生が180度変わる事件が起きます。その日も作業していた彼は、わるい未来人から送られてきた金塊とメッセージを掘り当てたのです。

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未来のオッペンハイマーはアルゴリズムを9個のパーツに分解して、それぞれがプルトニウム(核燃料)だと嘘の情報を付け加えて、9つの核保有国に隠しました。セイターのミッションは、これら9個を集めて、1つに組み立てて、デッドドロップに隠す(埋める)ことになります。わるい未来人から送られた金塊はそれらの活動の資金源にされました。

時は流れて2020年頃、順調に8個集めたセイター。最後に一つだけ残り、本来はロシアにあるはずなのになぜかウクライナで管理されていた「プルトニウム241」を残すのみ(*)となりました。映画のオープニングは、セイターがキエフのオペラハウスを爆破テロに見せかけてアルゴリズムを奪取しようとするシーンから始まります。

そして無事に9個のアルゴリズムを合体させてデッドドロップに隠したら、セイターは自殺する計画です。セイターの生体反応が死亡を示すとスマートウォッチが反応して、《デッドドロップの位置情報を記したメール》が送信されて記録として残ります。そして遠い未来で、わるい未来人はそのメールを見てデッドドロップの場所を知り、ロシアのスタルスク12の爆発地点の《デッドドロップからアルゴリズムを掘り出す》という算段です。

セイターは情報の安全性と確実性を保障するために、デッドドロップが無事に埋め込み成功したと確信する時まで位置情報を記録に残さないつもりで動いています。つまり、埋め込み成功を見届けたらセイターは銀のカプセルを飲んで自殺するつもりです。

*)1994年のブタペスト覚書に従えば、ウクライナ国内の核燃料は全てロシアに移管されたはずなので、2020年頃にウクライナ政府はこれを守らずにプルトニウムを自国内に保持していたことになりますね。だからこそセイターも発見が遅れて、9個のアルゴリズムのうち自国ロシアが最後の入手になったのかなとも考察できます。もしくはこれまでずっとロシア国内で安全に暮らすためにロシア国内では犯罪をせずに、先に諸外国から攻略したのかもしれませんね。

●主人公の目的

主人公の目的は常にセイターの作戦を妨害することです。

キエフ:映画の前半では、主人公自身もそれを知らずにセイターを妨害します。CIAの命令でメンバーとプルトニウム241をウクライナ(キエフのオペラハウス)から国外に移動させます。救出したメンバーは逃走中に親ロシア派の武装集団に殺されますが、プルトニウム241はウクライナ政府を通じてNATO加盟国であるエストニアへの輸出に成功します。

ムンバイ、オスロ、タリン:実はキエフの作戦は極秘試験も兼ねており、TENETにスカウトされた主人公は、オペラハウスで使われた逆行銃弾の使い手を暴く任務を与えられます。ムンバイでニールと合流して、逆行銃弾を作成したのがロシアの武器商人セイターだと突き止めます。そこでセイターに近づくために、妻の弱みがあるオスロで火事を起こしたり、タリンでプルトニウム241を盗んだりします。しかし、セイターにプルトニウム241を奪われて逃げられます。

ここまできてようやく主人公はセイターの計画の全貌をプリヤから訊きます。

スタルスク12:そして映画の最後は、ロシアのスタルスク12で、セイターが完成したアルゴリズムをデッドドロップに埋めるタイミングで奇襲をかけて、成功したと思い込んだセイターに自殺させて、そのままアルゴリズムを持ち去る計画を実行します。結果的にはセイターは自殺する前にキャットに射殺されますが、デッドドロップからアルゴリズムのスリ抜きは成功したので任務成功です。おそらく未来では空っぽのデッドドロップを開けて悔しがる未来人が居るのでしょう。

ロンドン:実はプリヤが敵陣営のスパイだったので、主人公は彼女を暗殺(*)します。そして主人公はこれまで自分が経験したことを実現させるためにTENETを創設して、未来(過去)に備えます。(**)

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「おれが主人公だ」

FIN

*)これは私自身でも半信半疑なのですが、おそらく映画のラストでプリヤがキャットを殺そうとした本当の理由は、息子であるニールの運命を変えるためではないかと私は考察します。プリヤの「キャットは知りすぎたから殺す」というのはおそらくブラフでしょう。主人公はニールに将来過去に戻ってもらう必要があるので、ニールの運命変更を阻止します。そしてニールの遠ざけようとしたということは、プリヤは新兵器利用賛成派の陣営だったということです。さもなくば、主人公がプリヤの命まで奪うことに納得できないんですよねえ。

**)映画の中で主人公たちに指示を出していたTENETチームは全て非公式の存在というか、未来からの指令をただ実行していただけで、主人公がCIAの内部に正式にTENETチームをこれから創設するのだと考察できます。

▼補足:

キエフのオペラハウスで何が起きていたのかは、2020年時点でのウクライナの政治情勢を知らないと、正しく理解できないのでこちらで詳しく解説しています。

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【TENET】オペラハウス襲撃シーンを読み解く【テネット】

(了)

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