なぜ、長男の博正氏を学会の会長にしないのか。ジャーナリスト・乙骨正生氏が解説する。
「日本の創価学会は、組織上SGIの下部組織に過ぎません。池田氏亡き後は、教祖の子息が神聖さを維持しなくてはならない。そこで、学会会長は実務能力の高い谷川氏に任せ、SGI会長に聖なる池田家の長男である博正氏を据えるということでしょう。これにより、SGIが持つ莫大な海外資産も博正氏が自由に動かせるようになる。ただ、博正氏に父親のようなカリスマ性があるとは思えません」
もし11月18日の落成式にも池田大作氏が姿を現さないとしたら……そのとき創価学会に激震が走ることになるかもしれない。
第2部 真如苑
教祖交代! 東大卒のエリートがトップで大丈夫?
東京都立川市、午前4時45分—。立川駅南口に約30名の老若男女が集まっていた。ひとかたまりになった彼らは、蛍光色のジャンパーを着た男性の話を注意深く聞いている。清掃箇所の割り当てのようだ。5時になると集団は整然と清掃作業を始めた。私語を発する者はほとんどいない。
「早朝奉仕」と呼ばれるこの活動を行っているのは真如苑の信者たちだ。
真如苑は、京都・醍醐寺で得度した伊藤真乗氏が1936年に始めた仏教系新宗教である。真乗氏の妻で「霊能者」であった友司氏と二人で信者を獲得していった。現在は宗教色を前面に押し出すことはせず、社会奉仕を活発に行うことで、地域社会との融和をはかっている。本部は立川駅の南口側に位置する。
その立川駅からモノレールに乗り、5分足らずの立飛駅に降り立つと、巨大な建築物が姿をあらわす。真如苑が'06年に作った総合道場「応現院」だ。敷地面積2万7000坪、1万人以上を収容できるという。
記者が訪れたのは平日の昼間だったが、それでもモノレールの駅から数十人が、応現院を目指して歩いていた。そのうちの一人、ベビーカーを押していた若い母親に話を聞いた。
「感動でしょう? 私なんか、初めて(応現院を)見たときは感動して泣いちゃいましたよ。今日は親子で接心を受けにきました」
接心とは真如苑特有の宗教行為で、修行を積んだ「霊能者」が信者の悩みを受け止め、日常生活の心構えなどのアドバイスを行う。接心のために信者が支払う費用は1000円からで、最高でも8000円だ。
既存の新宗教が少子高齢化や宗教離れで信者数を減らしていくなか、真如苑は毎年1万人程度の信者を増やし続けている。いわば"勝ち組"の宗教団体だが、水面下で異変が生じつつある。今年3月の伊藤真聰苑主(71歳)の発言で、それが表面化した。