オファーある限り郷秀樹を演じたい…団時朗さんのまなざしは、MATの郷隊員のそれ、だった

団時朗さん
団時朗さん

 団時朗さんが亡くなった。「ウルトラマンシリーズ」で主演を務めた俳優さんが、初めて逝ってしまった。過去に数多くのウルトラマン関連の取材をしてきたが、団さん演じる「郷秀樹」は、特別な存在だった。

 現在、56歳の私にとって「ウルトラマン」(66年放送)、「ウルトラセブン」(67~68年放送)は、再放送で触れた作品。1971年にスタートした「帰ってきたウルトラマン」こそが、初めてリアルタイムで見た作品だった。

 2011年。この年にスポーツ報知が発行した「ウルトラマン45周年特別号」の中で、放送から40年の節目を迎えた「帰ってきた―」も取り上げることになった。団さんにインタビューを申し込み、所属事務所の一室で対面した。その時、私は「郷秀樹が、私にとっての人生最初のヒーローでした」と伝えたことを思い出す。

 資生堂のCMモデルなどで活躍していた団さんだが、特撮に出演することには躊躇がなかった、と話してくれた。

 「ずっと映画をやってきた俳優なら、テレビの子供番組に出るのは二の足を踏んだかもしれないけど、僕はCM中心。これが良い、悪いなんてランクはないですよ」

 こう笑いながら振り返ってくれた。また、全51話の中で思い出に残っている作品を聞くと、第33話の「怪獣使いと少年」(上原正三脚本、東條昭平監督)を挙げた。「差別、偏見…いろいろなテーマが盛り込まれた内容に加えて、僕以外、MATの隊員が誰も出てこない。(伊吹竜)隊長役の根上淳さんだけが出てきて、僕がウルトラマンであることを知っているような台詞もあって…東條さんのウルトラ初監督作品ですが、いろいろと不思議な作品だったなあ」

 放送終了後も、あとに続くウルトラマンシリーズに客演することも多かったが、長年、交流があったモロボシ・ダン=森次晃嗣さんは「団ちゃんはシャイだから、ファンの前でウルトラのことを話すのは得意じゃなかったかもしれない」と教えてくれた。

 そんな団さんだが、2021年には「帰ってきた―」の50周年記念の配信特番に出演。共演した坂田アキ役の榊原るみさん、岸田文夫隊員役の西田健さん、スーツアクターを務めたきくち英一さんと共演した。プログラムのプロデューサーを務めた大森茂氏によると、演者がここまで集まるのは番組終了後初めてのことで、旧交を温め、思い出話に花を咲かせ、闘病中だった団さんは本当に喜んでいたそうだ。

 12年前の私のインタビューでは、直前に発生した東日本大震災と、それに伴う原発事故に触れ、「僕が本当に郷秀樹だったら、すぐにウルトラマンに変身して、(原発の)燃料棒を全部引っこ抜いて、宇宙に持って行ったのに」と拳を握り、「(体型が)横に大きくなったり、頭が薄くなったり、もっと年を重ねて背が縮んでくるかもしれないけど、オファーがある限りは郷秀樹を演じたいと思っている」と話してくれた。

 その時の力強いまなざしは、まごうことなくMATの郷秀樹隊員だった。少年時代の憧れのヒーローを前に、「やっぱり郷さんはいたんだ」と、感動で震えたことを思い出した。

(元芸能デスク・名取 広紀)

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