島根原発2号機は2012年1月に定期検査のため運転を停止したあと、3年前に再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査に合格しました。
ことし10月には安全対策工事が完了し、11月には原子炉に核燃料を入れる作業が終わるなど、再稼働に向けて最終的な準備が進められてきました。
そして7日午後3時、中央制御室で運転員が核分裂反応を抑える制御棒を引き抜く操作を行い、原子炉を起動しました。
中国電力によりますと、およそ2時間後の午後4時50分に核分裂反応が連続する臨界状態に達したということです。
その後、12月下旬には発電を開始し、1月上旬に営業運転を再開する計画です。
島根原発2号機は、事故を起こした東京電力福島第一原発と同じ「沸騰水型」と呼ばれるタイプの原発で、東日本大震災のあとこのタイプの原発が再稼働したのは、ことし10月に再稼働した東北電力の女川原発2号機に続き2基目です。
また、全国で唯一、県庁所在地に立地する原発で、避難計画の対象となる30キロ圏内には全国の原発で3番目に多いおよそ45万人が暮らし、島根県庁や松江市役所もあることから、緊急時の危機管理態勢が課題となっています。
中国電力 島根原発2号機が再稼働 2012年1月以来
中国電力は7日、松江市にある中国地方唯一の原発、島根原子力発電所2号機の原子炉を起動し、2012年に停止して以来およそ13年を経て再稼働させました。
中国電力 中川社長「よりいっそう緊張感を持ち営業運転へ」
中国電力は、島根原子力発電所2号機を再稼働させたことを受けて中川賢剛社長のコメントを発表しました。
このなかでは「重要な節目を迎えることができたと受け止めている。今後も安全確保を第一に、よりいっそう緊張感を持って、営業運転の再開に向け、設備の検査・点検などを一つ一つ着実に進めていきたい」としています。
島根 丸山知事「県は進捗確認など状況を注視」
島根県の丸山知事は「営業運転の再開までには、原子炉が起動した状態で行う検査や、いったん原子炉を停止して行う設備の点検なども残っている。中国電力にはこれまで以上に慎重に工程を進めてもらう必要がある。県として、進捗を確認するなど状況を注視していく」とコメントしました。
松江 再稼働に反対の住民が抗議活動
松江市では、再稼働に反対する住民が抗議活動を行いました。
JR松江駅前には、再稼働に反対する住民およそ100人が集まり「再稼働反対」などと書かれたプラカードを掲げました。
そして参加者の1人が「避難計画は複合災害時には機能しない。原子炉起動に強く抗議する」と訴えました。
父親が高齢者施設に入居しているという出雲市から参加した50代の男性は「父親が事故の際に避難できるか不安だ。能登半島地震の経験を踏まえて避難計画を見直してほしい」と話していました。
抗議活動を主催した石田忍さんは「再稼働は許せない。安全性の問題や使用済み核燃料の処分方法など不安が多い。再稼働の中止を求めて訴えを続けたい」と話していました。
中国電力 “再稼働で経営が改善 電気料金の値下げ”
中国電力は、島根原発2号機の再稼働で経営が改善するとして電気料金の値下げを発表しています。
中国電力によりますと、島根原発の再稼働で発電量全体に占める火力発電の割合が下がり燃料費を抑えられるとして、経常利益ベースで今年度およそ110億円、来年度はおよそ400億円収支が改善すると見込んでいます。
中国電力はこれに伴って、電気料金の値下げを発表しています。
主に家庭向けとなっている「低圧」の電気料金では、再稼働を織り込んですでに去年6月から1キロワットアワーあたりおよそ1円値下げしているとしていて、これを一般的な家庭にあてはめた計算では、1か月およそ260円分の値下げになっているということです。
また、主に企業向けの「高圧」と「特別高圧」の電気料金も値下げを決めていて、来年4月から1キロワットアワーあたり0.3円引き下げることにしています。
松江 街の人からはさまざまな意見
島根原子力発電所2号機が再稼働したことを受けて、松江市では新聞の号外が配られ、街の人からはさまざまな意見が聞かれました。
JR松江駅前では午後5時ごろから「島根2号機再稼働」と大きな見出しが書かれた新聞の号外が配られました。
松江市の60代の男性は「再稼働には反対です。日本全体で再生可能エネルギーにシフトしたほうがいい」と話していました。
また、松江市の20代の男性は「原発が稼働することで電気代が抑えられる。経済的にいいと思う」と話していました。
松江市の50代の女性は「賛成、反対のどちらとも言えないが、原発があることによって不安に思っている人もいる。災害は突然起きるので、地元住民を最優先に考えてほしい」と話していました。
松江市の10代の学生は「安全だから再稼働するはずなので、大丈夫だと思う。二酸化炭素の排出が抑えられるので、安全であればいい」と話していました。
島根原発2号機とは
中国電力の島根原子力発電所2号機は、平成元年、1989年2月に営業運転を始めました。
出力は82万キロワットで、原子炉内の水を直接沸騰させ発生した蒸気でタービンを回す「沸騰水型」と呼ばれる原発です。
東京電力福島第一原発の事故の翌年、2012年1月に事故前から予定されていた定期検査のために運転を停止したあと、新しい規制基準に対応するため安全対策工事が行われました。
2013年には、中国電力が原子力規制委員会に再稼働の前提となる審査を申請し、8年後の2021年に審査に合格。
その後、中国電力と安全協定を結ぶ島根県と松江市が再稼働を容認しました。
島根原発2号機では、ことし10月に安全対策工事が完了し、11月には原子炉に核燃料を入れる作業を終えるなど、再稼働に向けて最終的な準備が進められていました。
中国電力は、島根原発1号機については2015年に運転を終えて廃炉作業を進める一方、3号機の建設を進めていて、2030年度までの稼働を目指しています。
福島第一原発の事故後 再稼働した原発は14基に
国内にある33基の原発のうち、東京電力 福島第一原発の事故のあと新たに作られた規制基準の審査に合格して再稼働したのは、島根原発2号機を加えて14基となりました。
中国電力にとっては唯一の原発で、初めての再稼働です。
島根原発2号機は、福島第一原発と同じ「BWR」=「沸騰水型」と呼ばれるタイプです。
これまでに再稼働したうち12基は「PWR」=「加圧水型」と呼ばれるタイプで「BWR」の再稼働は、ことし10月の女川原発2号機に続いて2基目です。
「BWR」ではほかに、新潟県にある柏崎刈羽原発6号機と7号機、茨城県にある東海第二原発が新しい規制基準の審査に合格しています。
ただ、柏崎刈羽原発は地元の了解が得られておらず、東海第二原発は避難計画の策定などが課題となっていて、再稼働の時期は不透明です。
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