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米税関、中国資本のドミニカ共和国企業の製品の輸入を禁止、人権侵害を理由に

(米国、中国、ドミニカ共和国)

ニューヨーク発

2024年12月06日

米国税関・国境警備局(CBP)は12月4日、中国資本のドミニカ共和国企業であるキングトム・アルミニオの製品に対して、製造工程での人権侵害の疑いに基づき、違反商品保留命令(WRO)を発令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同日以降、当該製品の米国への輸入は禁止される。

米国の1930年関税法第307条は、人権保護や競争条件平準化の観点から、強制労働、児童労働、囚人労働などに依拠して生産された製品の輸入を原則禁止する。CBPは、強制労働などの関与が推定される場合に、WROを発令して当該製品の輸入を差し止める。輸入者は当該製品を、米国へ輸入せずにそのまま他国へ輸出するか、WROの発令に異議を申し立てることができる。2024年12月5日の時点で、今回の発令を含めて51件のWROが発令されている(注1)。うち、中国企業に対するWROが国別最多の36件を占める。

CBPは今回、キングトム・アルミニオが製造するアルミ押出形材および関連製品に対してWROを発令した。ILOの強制労働の指標に当てはまる状況下で同社が製品を製造していることを合理的に示す情報があったとしている。CBPによると、同社の製品は輸送機器、建築資材、家具、電子機器などの幅広い用途に使用されている

人権に関連する米国の輸入規制には、WROのほか、ウイグル強制労働防止法(UFLPA、注2)がある。同法は、中国の新疆ウイグル自治区もしくは同法の事業者リストで特定された事業者がサプライチェーンに関与する製品は、強制労働に依拠して生産された製品と推定し、1930年関税法第307条に基づき輸入を原則禁止する。2022年6月の同法施行以降、同法に基づく水際措置の執行金額/件数は2024年11月1日時点で36億6,000万ドル/1万633件に及ぶ。米国政府は11月22日にも、UFLPAの事業者リストに29社を追加するなど、一貫して同法の執行を強化している(2024年11月25日記事参照)。

ただし、中国以外の国・地域における人権侵害に対処するための米国の輸入規制では、引き続きWROが主要な規制手段となっている。中国資本や中国企業が第三国に有する拠点から米国に輸入される製品に対して、米国政府が人権を理由に輸入規制を講じる場合には、今後も今回と同様、WROを用いるケースも想定される。なお、ドナルド・トランプ次期大統領は、大統領選挙戦を通じて、メキシコなどの第三国を経由した中国製品や、第三国に進出する中国企業が製造した製品が米国に輸入され、米国が中国製品に課す関税が不正に回避されているなどと繰り返し問題提起していた(2024年7月22日記事10月15日記事参照)。

(注1)直近では2024年11月1日に、ソマリア企業が製造するフランキンセンス(乳香)に対してWROが発令された(2024年11月5日記事参照

(注2)UFLPAの概要や動向は、ジェトロ特集「ウイグル強制労働防止法」参照。

(葛西泰介)

(米国、中国、ドミニカ共和国)

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