「容姿の良し悪し」は人生のすべてを左右するのか 美貌格差の経済学者に聞く
「美貌」という人生の順風
ハマーメッシュは、被験者たちの人生の道筋を見たときに何が言えるのか、すでに見当がついていた。われわれは誰もが自分の運命の船長ではあるが、それぞれに与えられた風に乗って航行するのだ。 過去50年で世界中から集めたデータから浮かび上がってくるのは、魅力的な容姿という順風に恵まれるとはどういうことか、また、魅力のなさという激しい逆風のなかで人生の旅に乗り出すとはどういうことかをめぐる構図だ。 魅力的な人のほうが稼ぎはいい。ある計算によれば、美男子は40歳時点での平均昇給が、就労経験が5年長いのと同程度になることが示されている。 魅力的な政治家のほうが勝つ可能性も高い。ドイツでのある研究では、候補者間の魅力の差異が、投じられた票の3%に影響したとの結果が出ている。米国での研究では、人々が州知事選の結果を、候補者たちの短いテレビ映像を見ただけで予測できることがわかった。 事実、美貌はどんな仕事を選ぼうとも役に立つ。 魅力的な殺人犯は死刑判決を受けにくいことが、ある米国の研究で示されている。念のためにいうと、魅力的な人はそもそも殺人犯にもなりにくい。 逆に、魅力に欠ける法律家は訴訟弁護士になりにくい。陪審員たちに揺さぶりをかけて、不細工な依頼人を有罪にさせないためには、最高の顔面を陪審団に向けたいものだ。 例を挙げればキリがない。友人関係、結婚、自尊心と、どれも容姿と関連する人生の領域だ。どこであれ、その違いは小さくとも、明白だ。ハマーメッシュは言う。 「魅力的でなければ、やることなすことほぼすべてにおいて不利になります」 ハマーメッシュの最新の研究では、それが人生そのものにさえ当てはまるようだということが示されている。最も魅力に欠ける人は、少なくとも米国ウィスコンシン州のサンプリングデータでは、寿命が1~2年ほど短い。 それほど驚くべきことではないとハマーメッシュは言う。地位もお金も幸福もすべて寿命に影響することはわかっているからだ。ハマーメッシュは言う。 「人生でわれわれは理不尽な運という礫(つぶて)や矢に苦しみます。ここでいう理不尽な運とは、とても不細工に生まれ育つ人もいるということなのです」
Tom Whipple