エデンの来訪者   作:火取閃光

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第14話

 エンゴウの村から旅の扉を使い現代へ急ぎ戻る。

 

 全員で向かう事もないので俺とアルスだけが現代へ行き、キーファ達がパミラの手伝いや情報収集などを行うことにした。

 

 ホンダラが住んでいるのはエスタード島城下町の町外れの一軒家だ。

 

 アルスによると元々は祖父母の家だったらしく、祖父母が死にボルカノも漁師都合上フィッシュベルへ引っ越した為に事実上ホンダラの家になっていた。

 

 ホンダラには勿体無いくらいの一軒家に行くと部屋の中は酒瓶などのゴミや下着で散らかっており当の本人はぐっすり寝ていた。

 

「あちゃ〜〜」

 

「まぁ、寝ているから勝手に持っていこう。どうせ、本人も忘れているだろ……」

 

「うーん……。そうしようか……」

 

 アルスも悩んだ末に部屋の中を探して、転がった虹色に光る聖水らしき物が入ったビンを見つけた。

 

「これかっ……!?」

 

「うんっ……! きっとこれだよっ……!!」

 

 とても美しい七色に光る水が入った瓶。本当にあったと逆に驚いているとホンダラが起き出した。

 

「うっ? なんだ〜? アルスとアレン、じゃねえか〜〜?? ヒック……? 

 

 おい〜? その虹の聖水を持って何する気だ〜? ヒック……」

 

「あぁ……えーっと……」

 

「ホンダラさんが珍しい聖水を持っていると聞いて見てみたくなったんですよ!」

 

 反応に困っているアルスにアレンは咄嗟に誤魔化しに入る。

 

「ヒックっ! そりゃ、そうだろう〜〜?? ヒック……」

 

「凄く綺麗なモノなので2Gで買いたいのですが良いですか?」

 

「ヒック……2Gだぁ〜〜?? まぁ、良いや〜。持っていけば〜? 俺は寝る〜〜。ひっく……」

 

 袋から2Gを置いて寝ているホンダラの家から立ち去る。

 

 こう言う交渉の時だけはホンダラは何故か記憶力が良い。多分、元々のポテンシャルはあるけどそれを使わないタイプだ。

 

 そう言うタイプに限ってお金関係に凄く面倒臭い。2Gでも置いていかなかったらギャーギャー騒ぐので枕元へ置いて過去へ向かった。

 

「おう! そっちはどうだったよ!」

 

「相変わらずさ……」

 

「どうせ、酒浸りで酔っていても都合が悪い様に起きてきたんでしょ?」

 

「あはは……。もしかして見ていたの……??」

 

 そして、ホンダラから購入した虹の聖水を取り出す。キーファは凄え素直に喜び、マリバルもうっとりする。

 

 2人とも王族と大商家のご令嬢だ。数々の宝石に並ぶ輝きを持っている虹の聖水はそれらに勝るとも劣らない輝きをしていた。

 

「そっちはどうだった?」

 

「全くダメだ」

 

「まぁ、島民じゃない私達余所者も参加させて貰えるだけラッキーだったわ……」

 

「あの勢いだと俺達もパミラ一派だー! って騒ぎ立てて山の中に入れない可能性もあったからな……」

 

 流石にそこまでは村長もしないだろうと思うがそれだけ火送り祭とフレア嬢の事件がある。

 

 キーファの言葉に誰も否定出来ない気持ちだった。

 

「あと、これ……」

 

 キーファがきのみ等を差し出した。俺達と離れて情報収集が直ぐに終わり鍛錬に打ち込んでいたら手に入れたらしい。

 

 キーファはの手の中にはグランエスタードの大図書室にある能力上昇のきのみや種の本があってそれと同じモノがあった。

 

 マリベルもキーファの手伝いをして、俺とアルスもここへ来る行き来で見つけた。

 

 力の種4つ、守りの種5つ、素早さの種2つ、賢さの種4つ、不思議なきのみ3つ、命のきのみ5つ集まった。

 

「あの本の内容が本当なら誰が何を食べるかは話し合った方が良いって思って取っておいたんだ」

 

「確かに……。キーファの言う通り、だな」

 

 能力上昇のきのみや種の内容が本当なら凄まじい価値がある。今後の旅にもかなり影響があると思った。

 

「俺は最年長だけど、種やきのみを誰に使うかの判断はアレンにした方が無難だと思う。みんなはどうだ?」

 

「お、俺がっ……??」

 

 キーファの指名に俺は驚き固まる。

 

「うん、僕もキーファに賛成かな?」

 

「まぁ、そうね……」

 

「オイオイ、そんなに簡単に決めて良いのか?」

 

 アルスもマリベルも乗り気な態度に更に困惑した。

 

「簡単じゃないわ。この場に集まった全員、貴方に影響を受けて何だかんだここにいるもの」

 

「それに親父や大臣も素直に褒めていたお前なら文句は無い」

 

「アレンはその辺りちゃんと選んだ理由を付けてくれるから安心だよ」

 

「参ったな……」

 

 ここまでずっと頑張って来た甲斐があったと思うのと同時に彼等から信頼されてかなり恥ずかしかった。素直に嬉し過ぎて照れていた。

 

「そこまでと言うなら決めさせて貰うよ」

 

「あぁ、頼んだ!」

 

 キーファが俺の肩を強く叩いた。昔からの癖みたいなモノだ。その思いに決意を固めた。

 

「まずは力の種。これは2粒だけ使用して残りは取っておこう。アルス、お前が食べてくれ」

 

「っ!? 僕で良いの?」

 

「あぁ、現状俺もキーファも力が足りていない感じはない。だけどお前は歳の割に線が細い」

 

「そう言う事ならっ……! 分かった!」

 

 アルスは4つある内の2つを飲み込んだ。すると彼の闘気が増した感じがした。

 

「うん! かなり闘気が増した感じあるよ!」

 

「そうか……! 続いて守りの種だが……3つをマリベルに使って後は取っておこう。

 

 俺も回復系は可能だけど基本戦術として回復はマリベルが行う事になると思うから」

 

「まあ、そう言う事なら……! 分かったわ!」

 

 マリベルが守りの種を食べると筋力量が増えた気がした。

 

「素早さと賢さは現状、保留にしたい……」

 

「どうして?」

 

 アルスはアレンの判断を純粋に疑問に思った。

 

「他の種同様に今後の旅で戦術が変化するかもしれないから取っておきたい」

 

「まぁ、妥当な判断ね……」

 

「残るは不思議なきのみと命のきのみか……。命のきのみは5つあるから全員1つずつが無難だ。

 

 だけど、この2つのきのみに関しては俺からみんなに提案がある。拒否してくれて構わない」

 

「ん? なんだよ!? 水臭い!!」

 

「まずは言ってみてよ!」

 

「そうよ! じゃなきゃ否定も何も無いわ!!」

 

「ありがとう。まず魔力が増える不思議なきのみはキーファ、お前に食べて欲しい」

 

「っ!? お、俺ぇーー!?」

 

 ギョッと驚き固まるキーファと目を見開くアルス達。気持ちは分からなくもない。

 

「キーファは純戦士タイプだよ? 魔力を上げるならアレンかマリベル、それか僕じゃないの??」

 

「……アレン、理由を効かせてくれる?」

 

 マリベルは一度冷静になってアレンの判断理由を聞いた。

 

「これは一種の投資だ。純戦士タイプのキーファに魔力が増える不思議なきのみを食べさせる事で魔力を感じさせられる事が出来れば俺と同じタイプになる。

 

 勿論、食べて魔力が増えたけどそうならない可能性も無いわけじゃ無い。その場合は無駄にするしキーファ本人にも申し訳ない気持ちがある」

 

「……そう。まぁ、良いんじゃない?」

 

「っ!?」

 

 1番マリベルに否定されると思っていただけに俺は驚き固まった。

 

「何驚いているのよ? 現状、魔力には困っていない訳だし上がればラッキーなきのみをどう使おうが別に損失にはならないわ」

 

「……うん。僕もそう言う事からキーファが食べるべきだと思う」

 

「ほ、本当に、俺で……!?」

 

「あぁ。3つ全部食べてくれ」

 

 そして、キーファは恐る恐る不思議なきのみを食べる。3つ全て飲み込んだ時に闘気力とは違う感覚に戸惑いを感じていた。

 

「な、なんて言うか……。これが魔力か……??」

 

 キーファは慣れない魔力に困惑していた。でも、この力をみんなの役に立ちたいと思い心を燃やした。

 

「それで最後に残りの命のきのみなんだけど……俺はこの5つ全てをリーサちゃんに渡そうと思う」

 

 俺の考えに肉親のキーファだけではなくリーサと幼馴染のアルスやマリベルも驚愕で固まっていた。

 

「リーサちゃんはみんなも知っての通り病弱だ。だから、この命のきのみ5つで改善出来ないか試したい。

 

 命のきのみ5つ程度でどうにかなるのかは分からないけど少なくとも1つは彼女の為に使いたいと思う。どうかな?」

 

「……!? 本当に、良いのか……!? 妹の……!! リーサ為に、使ってもっ……!?」

 

 誰よりもリーサの事を考えているキーファは涙目だった。

 

 それは、キーファ達の母でバーンズ王の妃も体が弱くてキーファ達の出産の後に流行病で亡くなったからだ。

 

「他の種やきのみならいざ知らず、命のきのみは体力を上げてくれるから同時に虚弱体質の改善になると思うんだ。

 

 俺も昔、子供の頃にエスタード島を駆け回った時期があって偶然命のきのみを食べた事があるんだ。

 

 その時は全身が漲る様な生命力を感じたよ。だから、これをリーサちゃんに食べさせたい。どうかな?」

 

 全員、拒否はなかった。命のきのみで体質改善が出来るのかは分からないが試してみたいと思えた。

 

「でも、それじゃ、アレンは……?」

 

「俺は……旅の途中でその都度って感じかなぁ? 今は特に必要としていないから保留で」

 

 そして、きのみと種の使い道を決めたのだった。

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