エデンの来訪者   作:火取閃光

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第13話

 店の中へ入ると銀行屋の奥には何やら唯ならない雰囲気があるお店があった。

 

 大きな部屋の中に魔法使いの老婆に水晶と腰掛ける椅子しかなくて逆に不気味さを煽っていた。

 

「待っておったぞ? 早よう、こっちへ来なさんな。未来からの来訪者達よ」

 

 パミラの言葉に息を呑む俺達は目を見開いて驚き固まった。それを見たパミラは優雅に笑い手を招いた。

 

「そんなに驚く事はない。これも儂の占いじゃ」

 

「それじゃ貴方はっ……!!」

 

「無論。耄碌なぞせんわ! あの小僧め!! 先代の村長も生意気じゃったが悪い所ばかり似おってっ……!! ったく……!!」

 

「あはは……。それでパミラさん、僕達に何か用事があるんですか?」

 

「用事があるのはお主等じゃろうて……。まぁ、良い……。お主等も知っているとは思うが今回の火送り祭で火の神様の逆鱗に触れる」

 

「つまり、火山が大爆発してエンゴウの村は溶岩まみれになって村人諸共死に人が住めない土地になるって事ですね」

 

 難しい言い回しに周りくどさがあるから悪夢から考えてそうなんだろう想定を伝えてみた。

 

「話が早くて助かるわい。お主の言う通りじゃ。儂はそれを止めたいと思って警告をしたのじゃが……」

 

「村長や村人は全く相手にされていなかったな……」

 

「そうにしたって占い師として長年活躍して来た人に対して失礼よ! 全く!!」

 

 憤りを見せるマリベルだったが他人の為に怒る彼女は珍しかった。

 

 いつもは自分の事に関して怒る彼女なだけに村人達の態度は相当だった。

 

 そして、その気持ちは俺達も同じだ。

 

 少なくとも何らかの災害時にはパミラに頼み込んでいただろう村人の嘲笑は、本当にこんな奴等を救う必要があるのかと疑問に感じるくらいにムカついた。

 

「……お嬢さんは優しいな。ありがとう」

 

「礼を言われる事は何も言っていないわ」

 

 意地っ張り、素直になれない彼女の態度に俺達は笑う。

 

「確かにのう……」

 

 パミラも自分の言動や行動を振り返りクスッと笑った。

 

「それで俺達にどうしろと? あと火の一族とは?」

 

「全くお主はせっかちじゃのう……!? まぁ、良い……」

 

 そして、パミラから俺達にやって欲しい事を告げられる。

 

 俺達にやって欲しい事は火の神様である火山内部の調査と俺達の時代にいるズボラな家のアルスに似た男が持つ七色に光る不思議な聖水を持ってくる事。

 

「アルス似のズボラな男って……」

 

「……ホンダラ叔父さん、か」

 

 アルスは顔を隠して思わずしゃがみ込み同時に頭を抱えた。

 

 ホンダラとはボルカノと言う国1番の漁師の兄弟でアルスとは叔父と甥の関係にある人物だ。

 

 ボルカノはアルスの父でフィッシュベルのみならずエスタード島では誰もが尊敬しバーンズ王や大臣、アミットにも顔を覚えられる最高の漁師だ。

 

 そんなボルカノと兄弟であるホンダラはボルカノとは正反対な性格というか悪名が高い人物である。

 

 定職につかないでフラフラしては、ボルカノからお金をせびりそれで酒場へ入り浸る毎日を送っている。

 

 どこの家庭でもあんな大人になってはいけないと陰で指さされる程度にはボルカノ以上に有名ではある。

 

「まぁ、あのホンダラさんの事だ。家で寝ているか酒場のどっちかだろうな……」

 

「そうね……逆に働いてでもいたら次の日には槍でも降ってきそうだわ!!」

 

「オイオイ、アルスの前だぞ? もう少し言葉を……」

 

「いいよ、別に……。ホンダラ叔父さんがあんなのは事実だから……」

 

「何やら相当なダメ男の様じゃのう……」

 

 俺達の空気を察知したパミラはダメージを受けているであろうアルスに同情の視線を向けて同情した。

 

「やるべき事は分かった。だから、火の一族について教えて欲しい」

 

「……ふむ。まぁ、お主等なら良いか」

 

 パミラはエンゴウの村に古くから存在した火の一族。正式には火の精霊を奉る一族の事を話した。

 

 彼等は火の神様と呼んでいる火の精霊と共に歩み、時には火送り祭の催事を取り仕切る巫女の様な一族だった。

 

 その証拠に特に火の精霊と相性が良い者には生まれ付き、額に特別な紋様の様なアザが出る不思議な一族なのだ。

 

「そして数十年前の事じゃった。まだ先代が生きていた頃にエンゴウの村ではある問題が起きていたのじゃ……」

 

「ある問題……??」

 

「それは火の一族の次期当主であったフレア嬢の婚約問題じゃ。フレア嬢にはバーストと言う幼馴染がおってな……。

 

 2人は幼少の頃より相思相愛の関係じゃった。しかし、フレア嬢に恋していたのはバーストだけではない。

 

 エンゴウの村の男達が惚れてしまうほどの絶世の美女じゃった。その中に現在の村長もおった……」

 

「それは……」

 

 あのパミラに対する態度はこれも理由にあったのかと思うと少しだけ同情した。

 

「……だからってなんで追放を受けるんだよ?」

 

「それは火の神様が今回の様にお怒りになられたのじゃ。そして、それを起こした正体がバーストであると噂立たれたのじゃった……」

 

「っ!? そんなのっ……!?」

 

「そんな噂、信じちゃったの!?」

 

 噂なんて証拠も無いモノを信じて追放した過去のエンゴウの村人の民意を疑った。

 

 もしかするとそれだけバーストと言う男性に対しての嫉妬心が大きかったのだろうと思った。

 

「……。先代はフレア嬢が村長と結ばれるならバーストは無罪放免で許すと言ったのじゃが、フレアはバーストと共にエンゴウを出たのじゃ……」

 

「その結果的に火の一族もフレアさんに着いていく形でエンゴウの村を出たと言う事か……。やるせないな……」

 

「今にして思えば前回も今回も仕組まれた様な気がしてならぬ……。バーストの噂も誰が広めたのか結局分からず仕舞いじゃからな……」

 

 しんみりとした空気が流れる。しかし、パミラは顔を振り決意を固める。

 

「昔話をしている時間は無い。急ぎ、今を……! 過去を救ってくれ! 未来からの来訪者達よ!!」

 

 その言葉に俺達はハッとする。そうだ、と目的を思い出した。

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