エデンの来訪者   作:火取閃光

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第11話

 旅の扉が開いている。上を仰げば青空。雲が1つもないほど良い天気である。

 

「ね、ねぇ……見た?」

 

「見たな……」

 

「アレなんだったの……??」

 

「……。考えられるとしたら過去に起きてしまった……あ、いや、これから起こってしまって滅びた悪夢?」

 

 全員で内心それだと思った。

 

 アレは予知夢と言うよりも、これから起きてしまってそれが原因で島が消されてしまったのだと思った。

 

「それじゃ、アタシ達はあの火山のお祭り? を止めさせれば良いのね! 簡単じゃない!!」

 

 これが名案とばかりに自信満々な笑みを浮かべるマリベルに他の3人は顔を顰める。

 

「うーん……。でも、本当に簡単に中止させられるのかな……??」

 

「何でよ? 火山が大爆発するぞー! って言えば止めるじゃない! それの何が難しいって言うのよ!!」

 

 本気でアルスの言っている意味が分からないと思っている彼女にキーファが噛み砕いた例え話をする。

 

「マリベル、例えばさ……俺達、エスタード島でも漁獲祭ってあるだろ? 俺達王族もフィッシュベルに行くアレ」

 

「そんな事を言われなくても分かるわよ! だってアタシのパパが取り仕切っているんだから! それが何か!?」

 

 それでも言っている意味が分からない彼女へ俺はもっと具体的に伝えることにした。

 

「キーファとアルスが言っているのは……島民じゃない俺達が突然割り込んで"漁獲祭を今すぐに中止しないと津波が来てみんな死んじゃうぞー!" って言ったらどう思う?」

 

「そんなの……!! あっ!? そう言う……!?」

 

 ようやく俺達の言っている意味が伝わったのかマリベルはしょんぼりと落ち込んだ。

 

「多分だけどね……あの悪夢の火山のお祭りもその類なんだと思うんだ。

 

 僕も漁師の子だからその類のお祭りがどんなに大切なモノか、所謂余所者に邪魔させてたまるか! ってモノだと思うんだ……」

 

「だから、俺達は火山のお祭りを中止させれたら良いけどその原因を突き止める方が良いと思う」

 

「そう……。熱くなっちゃってごめんなさい」

 

 シュンッと落ち込んでいる妹弟子が似合って居ないから俺は悪どい様子で彼女を揶揄った。

 

「マリベルは直ぐにカッとなるから師長にも注意されるんだよ」

 

「何ですって!? ってアレン、その格好……!?」

 

「おまっ!? 剣はどうした!?」

 

「その格好って武闘家……!?」

 

「ふふーん! よくぞ、気が付いてくれました!! この度、私事アレンは戦士から武闘家に転職しました!!

 

 いや〜〜! マジ気が付いてくれなかったらどうしようとか思って不安だった……。転移中に悪夢とか挟むなよマジで……」

 

 俺が武闘家として転職? した理由はまず剣士3人は多いと思ったからである。

 

 まぁ、実際には純戦士はキーファだけでアルスは船乗りと兼業、俺は器用貧乏にオールマイティではあるが3人とも基本武装が剣である。

 

 そうなると攻撃方法が斬撃に偏ってしまう恐れがあったから正式に武闘家になった。

 

 この鉄の爪も親方に無理言って絡繰仕掛けにして貰っている。爪の出し入れが可能な手甲みたいな感じである。

 

 正直、この世界の転職システムはよくわからない。何を持って戦士なのか? 何を持ってバトルマスターなのか? その基準が不明である。

 

 だから、転職とは言ったモノの実際に転職になっているのかは不明である。

 

 なら、ダーマ神殿はどういう役割なのかをずっと考えていた。半強制的な才能の開花がダーマ神殿である。

 

 そこの祝福を受けるとその職業の気持ちになれると書いてあった気がした。

 

 だから思ったのだ。こう言う気付き的な考え方や思い付きを芽生えさせる事がダーマ神殿の役割なんだと。

 

 それは俺やキーファの使う闘気の性質変化を用いた属性剣技。これはバトルマスターの領域だ。

 

 だから、純戦士であり純武闘家でもある兵士長達が属性剣技を使えなかったのは出来なかったから。

 

 兵士長達の闘気力の量や練り具合、操作力が俺達に劣っているとは考えられない。

 

 それほど彼等の技量は凄い。なのに何故、彼等は俺達と同じ様に闘気性質変化の剣技が使えなかったのか? 

 

 そう考えたら単純に思いつかなかったからとしか言いようがなかった。もしくは出来ると思わなかったからだ。

 

 恐らくはこう言う思い付きや適正の強化、発展を促す場所がダーマ神殿の役割なんだと思っている。

 

 俺は微かに覚えている異世界転生者としての記憶から闘気が魔法みたいに変化すると信じて疑いなかった。

 

 キーファも友人でありライバルでもあるアレンが実際にやってみせたから闘気の性質を変化させられると思えたのだった。

 

 俺の格好は戦士として着ていた鎧を軽量化させて楔帷子に急所である胸を守らせた動きやすい格好だ。

 

 武装として兵士時代に貰った鉄の剣を袋に入れて鉄の爪を新たに自費で購入して脚具を身に付けた感じだ。

 

 モンスター又は魔物を倒すと肉体は消滅してお金と偶にドロップアイテムが落ちる。

 

 そのお金を俺達は使い共有の貨幣として認められている。

 

 1Gはゲームでは一般的でもこの世界の価格で言えば大体1万円前後はすると思って良い。

 

 ゲームには存在しないがそれ以下の貨幣もある。

 

 1S(シルバー)は大体1000円に近い価格。

 

 1B(ブロンズ)は大体100円に近い価格。

 

 1bs(ビッグストーン)は大体10円に近い価格。

 

 1ss(スモールストーン)は1円に近い価格である。

 

 それを踏まえて俺の総資産は15万Gに近い。何気に7歳の時から王宮で働いていて王子の世話をしていない。

 

 勿論14.5万Gは王様や大臣が進める銀行へ貯金している。

 

 僧侶がお金を持つのは如何なモノかと思われるが、フィル神父やシスター:リース、フィッシュベルなどのみんなが認めてくれているから貯金している。

 

 これでも結構減った方だ。武闘家装備を揃えるのに仲の良い王宮直属の鍛治師の親方に割引してもらって2万飛んだ。

 

 この世界の武器や防具はかなり高い値段だ。いや、これでも安いと言うべきなのだろうか?

 

 やはりモンスターが世の中をウロチョロしていて身も守る武器を3000〜5000万円で購入出来るのだから安いのかもしれない。

 

 そう言う意味では魔王に経済支配を受けていると言える。このお金がモンスター達の魂の形とか怖いから考えない様にしている。

 

「なんだよ! 正式に武闘家なったなら言えよ!」

 

 今の今まで気が付いて居なかったのに調子に乗りやがってっと肩を抱くキーファへ怒っているとマリベルが笑う。

 

「ぷくく……! そんなの言える訳無いでしょ?」

 

「マリベル、なんで??」

 

 本気で分からないアルスは純粋にマリベルへ聞き彼女は高らかに指差しながら言われたくない事実を言い放った。

 

「だって、剣じゃキーファに勝てないから武闘家に転職したとかほざいているのよ、コイツは!!」

 

「そこっ! うるさい黙れ!! そんなんだから、喋らなければ美人とか言われて縁談が破談しているんだぞ!!」

 

 グランエスタード主催の武闘大会で明確に剣技だけを競う場所で俺はキーファに負けた。

 

 その時にキーファに剣だけで勝てないと思うほど彼の剣の才は凄まじかった。

 

 だから、バレたくなかったのだ。それをバラしたから俺もマリベルの秘密をバラした。

 

「えぇーー!? そうなの!?」

 

「っ!? うっさいわね!! アタシのお眼鏡に叶う男が居ないだけよ! よしてくれる!? そう言う風評被害は!?」

 

「ぶはっ!? ウケる!!」

 

「キーファも笑うな〜〜!!」

 

 マリベルの初恋はキーファだ。本物の王子様に憧れに近い感情を抱いていた。

 

 だけど、付き合う内にキーファの白馬の王子様像が崩壊して今は友人として付き合えている。

 

 ただ、やっぱり将来の伴侶を考えた時に初恋がベースになってしまう為に笑われるキーファへ顔を赤くして恥ずかしかったのだ。

 

「マリベルはちょっとキツイ口調でもそこにはちゃんと優しい気持ちがあるから。僕は分かっているよ」

 

 そんなマリベルをアルスは手を握りしめて目を合わせて下心無しに言い放った。

 

「〜〜!? アンタはそう言う事ちゃんと考えてから言いなさいよ!! じゃないと女の子に刺されるわよ?」

 

「っ!? 大丈夫! 刺されそうになったら受け流して受け身を取らせてからちゃんと正面向いて話を聞いてあげるから!!」

 

「もう……!! そう言う事を言っているんじゃないわよ……」

 

 頓珍漢なアルスの天然な女殺しを受けてマリベルも満更無い顔で幼馴染の将来が気がかりだった。

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