エデンの来訪者   作:火取閃光

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第6話

 廃船の改修をして3年が経過した。

 

 もう14歳だ。うろ覚えの原作知識らしき記憶だとキーファが18歳の時に始まるから残り2年で仕上げる必要がある。

 

 船の改修自体は途中マリベルにバレたので4人で行ったから補修だけで済んでいる。

 

 強さの方は魔法使いと僧侶でマリベルに抜かれた事とアルス達が闘気に覚醒した事くらいだ。

 

 マリベルの魔法の才は天賦の才と呼んでも差し支えないほどに覚醒していた。

 

 元々、俺もそうだけど聡い子供だったと思われていたが魔法師長やフィル神父の指導で覚醒した。

 

 どちらとも自分の後継に継がせたいと言う気持ちがあるほとマリベルは魔法使いと僧侶の両方に才能がある賢者体質だった。

 

 俺もメラミとベホマをマスターして魔法師長とフィル神父に並ぶ実力を持った賢者体質だ。

 

 2人の賢者体質にバーンズ王達大人は嘆いた。自分達大人に賢者がいないから賢者として育てられないと頭を抱えた。

 

 マリベルは魔法使いと僧侶の両方とも俺よりも実力があるが魔法戦闘に関しては一日の長があるのか俺の方がまだ上である。

 

 地団駄を踏む彼女を見て煽る様にして笑う事で彼女のやる気を上げてここまでになったから成功だと思っている。

 

 アルスは兵士長へ推薦した事で戦士として一人前と認められた事で船乗りとして乗船許可を貰った。

 

 アルスもアルスで剣術以外に俺達と一緒に武闘家の真似事をしていたのでそれなりに動ける上にいつの間にかホイミを覚えた。

 

 剣術や武闘家の訓練で怪我をしてアレンから治される内に出来る様になったらしく僧侶見習いとしても活動中だ。

 

 そんな中でキーファはと言うとかなり苦戦している。元より魔力を感じる事が出来ない純戦士タイプな体質らしい。

 

 俺やマリベル、アルス達がそれぞれの分野で力を発揮している中で成長に伸び悩んでいる気がしていると相談を受けた。

 

「なぁ、アレン!? 俺はどうしたらお前等みたいになれるんだ!?」

 

「……キーファ、焦っちゃダメだ」

 

「っ!? 焦ってない!? ハッ……!? ごめん……」

 

「いや、俺もキーファの気持ちを考えてなかった。そりゃ、どう考えても焦るよな……。

 

 だけど、キーファ、お前の俺達の違いってなんだ? 言ってみろよ?」

 

 焦燥感で前が見えなくなって落ち込んでいる友人に俺なりの助言がしたくなった。

 

 俺程度が助言したから強くなれるほど自身を過大評価していないし、まだまだ未熟な俺が助言する事自体が驕りに近いと理解していた。

 

 しかし、それでも力になりたいと思える程度にはキーファにはカリスマと言うかがあって断れなかった。

 

「俺とお前等の違い……? み、身分とか??」

 

「そう言う事じゃないだろ……」

 

「それなら……!? 踊りや歌っ!? けど、そんなのっ……!!」

 

「そうでもないさ」

 

「えっ??」

 

 キーファは思う。友人の助言である歌や踊りが一体何の役に、何の力になるのだと疑問に思った。

 

「キーファはもう既に一流のダンサーとそんなに変わらない腕前なんだろ?」

 

「あ、あぁ……。踊りの先生にも既に免許皆伝されている……」

 

 キーファの音楽センスは昔からずば抜けていた。

 

 王族のダンスから酒場で披露されるダンスまで色々な踊りを踊れるほどのセンスを持ち合わせていた。

 

 その為に踊りの師匠から王族じゃ無かったら世界的なダンサーとしても名を馳せていたと言うほどに即興ダンスをこなせる上手さがある。

 

「それなら、お前の剣術……グランエスタード流騎士剣術にダンスの要素を混ぜたお前の剣術を作れば良い」

 

「剣術にダンスっ!?」

 

 その発想は無かったとキーファは驚く。

 

 確かに剣や武闘もダンスの動きに精通していると言うか似ている部分がある事は前々から分かっていた。

 

「極まった武術はまるで踊っている様だと評価されるんだ。それなら、剣術や武闘家とダンスを混ぜても良いと思う」

 

「自分だけの、俺だけの武術……」

 

「それでもって言うならコレを受けて欲しい。構えてくれ」

 

 俺は近くにあった木剣をキーファに投げ渡して構えさせる。彼は何が何だか分かっていない様子だ。

 

 俺は構えると闘気を全身に漲らせる。俺の本気を感じてキーファも闘気を漲らせる。

 

 そして、闘気を木剣に集めてその性質を氷に変化させると彼は驚いた顔をする。

 

「氷結斬り!!」

 

 キーファの闘気を巡らせた木剣を凍らせる。氷結斬り、マヒャド斬りとも呼べるこの技を彼に見せたかった。

 

「アレンッ……!? それはっ……!?」

 

「そう……。闘気をヒャドの様に性質自体を変化させて相手を切り付ける必殺技だ。どうだ、凄いだろう!」

 

「あ、あぁっ!! 勿論だっ……!! そうか!? 闘気力の性質を変化させる事も可能なのかっ……!?」

 

「まぁ、俺はバギ系とヒャド系が得意だから闘気でも出来そうと思ったら出来たんだ。

 

 俺達の中で誰よりも剣の才能があるキーファなら魔法に代わる剣術を編み出せると思ったんだ」

 

 皮肉や比喩表現無しでキーファは紛れもない剣の天才だった。あの兵士長ですら去年から勝てないほどの実力だった。

 

「あぁっ……!! これなら俺もお前等に負けないっ……! お前等に置き去りにされないっ……!!」

 

 キーファは怖かった。自分の友達でよく遊ぶ仲間達の成長に自分だけが取り残される事が何よりも怖かった。

 

 だから、力を欲した。初めてだった。力がない無力な自分を呪って情けなくも友人に心の吐露をしてしまった。

 

 きっと友人達は力のない自分を暖かくも受け入れていつも通りの態度で変わらず対応する確信があるからそれがあまりにも悔しかった。

 

 また、アレンもキーファの心内を聞いてそれほどまでに友人を追い詰めていたのかと思い自己嫌悪した。

 

 そして、俺達は別れる。数ヶ月後にキーファが闘気を使い魔法剣とばかりにあらゆる剣技をマスターするのはまさかだった。

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