キーファと出会って2年が経とうとしていた。現在は11歳。修業を始めて早4年が経とうとしていた。
キーファと剣や格闘技を競う中で、彼が習う教養も一緒に学ばせてもらった。
彼もその方が退屈せずに学べる為に兵士長達の扱きが減ったが順調に音楽の道を歩んでいた。
流石と言うかキーファの音楽センスはやはり俺なんかと比べてもずば抜けて高い。
俺が楽器を1つ学び終わる頃には3つ目を学び始めるくらいには彼のセンスは高かった。
それに伴いこれまでのキーファの評価が一転した。
今までは剣の天才と言う皮肉が広まっていたけど、グランエスタード王子として立派になったと言うか風に言われる事が多くなった。
キーファがそう言う評価されて友人としても嬉しく思うが俺にも進展があった。
ドラクエならではの魔力と連なる闘気力に覚醒した。闘気力、通称闘気はある一定の戦士や武闘家の実力がある者に覚醒する力らしい。
兵士長や副長達も習得しているらしく成人に満たない俺が覚醒した事に密かに祝福してくれた。
「よくやった。だかなアレンよ、闘気を覚醒してようやく一人前だ。使いこなしてこそ一流だ。より精進せよ」
闘気力の覚醒に浮かれていたら兵士長から厳しい激励を受ける結果になって恥ずかしい思いをした。
また、僧侶の方もホイミからベホイミを使える様になりフィル神父から一人前と称された。
これによって前々から習ってきた若い船乗りの推薦もあって今年から船の乗船許可が降りた。
「えぇ〜〜っ!? アレンだけズルい!!」
「そうよ! 私もパパから乗船の許可が貰えないのに貴方だけズルいわよ!!」
俺だけが船になれる事を羨ましがり嫉妬して愚図るアルスとマリベルを幼子の様にそっと頭を撫でる。
2人とも同い年に子供扱いされて手を跳ね除けて怒るがその様子がまた面白くて笑ってしまった。
「そう思うなら剣でも魔法でも大人達に認められる様になれ。マリベルは僧侶以外にもキーファから魔法師長へ推薦があったんだろ?」
「まあね! 私の才能なら貴方以上って大絶賛だけどね!!」
マリベルの魔法の才能は本当に魔法師長が手放しで大絶賛するレベルで才能があった事は確かだ。
1年以上前に修業していた俺ともう並びそうな勢いで魔法に覚醒するマリベルを見て彼女の両親は誇り高い思いだけど、少し寂しい思いましたらしい。
彼女の両親、特に父親であるアミットはそれは大層彼女を可愛がっていたから娘の成長に喜びつつも大きくなる娘に寂しさがあったそうだ。
「なら、その内乗せて貰えるかもじゃん。頑張れよ」
「っ!? ふんっ! って何上から目線してんのよ! 来年には貴方よりも強くなってやるわ」
嬉しそうにしつつもキレるマリベルに本気で抜かれそうで怖いので最近は魔法中心に修業を積んでいる。
魔法師長からも筋は良いと言われて、今はメラミのマスターに勤しんでいた。
「その調子。アルスもマリベルくらいとは言わないけど強くなれよ」
「どう言う意味よ!? それ!?」
そして、彼等と別れた俺は船に乗り込み船乗り見習い兼任魔物退治用戦力として漁に出た。
やっぱり、この島エスタード島の海域を一歩出れば海のから魔物がジャンジャカ出るらしく、偶に迷い込んだ魔物と戦闘があるらしい。
何度か魔物と戦闘して、戦いで怪我した船乗り達を治療する日々が続くが船乗り達も他の島は見たことがないらしい。
それにエスタード島の海域には不思議と魔物がいない。だから、子供とかが毎年夏場に海で遊ぶが魔物と出会った事がないほどだ。
そう言う日々が続くと段々とキーファの脱走癖が増えて来てまさかの兵士仲間から苦情が来た。
「ここにいたのか? また脱走したんだってな……」
「っ!? アレン!? こ、これは、そのっ……!?」
キーファが必死になって隠そうとしているが大き過ぎて隠しきれないそれは廃船だった。
最近、魔物との戦闘で古くなった船をマリベルの実家が新たな船を用意した事で使われなくなったモノだ。
「この船か……。俺も最近までこの漁船で漁に出ていたから思い入れがある。キーファはこれをどうするんだ?」
懐かしいと思えるほどは乗船していないけど俺にもこの船には思い入れがあった。
「……これを直して俺の船として世界中を冒険したいと思うんだ」
「それはキーファの王族としての責務?」
「……いや、責務とは関係ないな。親父には恥ずかしい息子に思われるけど、世界の歴史を学べば学ぶほど昔お前が話した内容が頭に引っかかってな……」
「そうか……」
キーファは最初は恥ずかしそうに自分を卑下していたが、段々と王子と言うよりも戦士としての表情を見せた。
その表情を見てなんと言うか嬉しく思った。しっかりと考え抜いた上での発言にジーンと感動しているとキーファは不安がってしまった。
「親父達に伝えるつもりか……?」
「いや? 俺もお前の話に乗りたくてな」
「どう言うつもりだよ? そんな事をすれば今まで積み上げて来たモノを崩す事になりかねないぞ!」
これから王様に黙って船の改修をしようとする奴の言い分ではないと思いつつも友人として心配する気持ちは伝わった。
「黙って廃船を復活させようって奴が何言ってんだか……。友人だから手伝わせてくれって話だ。俺ももっと世界を見たい」
「……最近のお前の頭はもっとこう硬い奴だと思っていたけど昔と変わらずに柔軟なんだな!」
「ついでに船に乗りたいアルスも誘おう。共犯は多い方が罪が軽くなりそうだからさ」
俺だけ船に乗る事がそんなにも嫉妬するほど羨ましいならそうしてあげようとキーファに提案する。彼もそうしようと笑ってそれを受け入れたのだった。