エデンの来訪者   作:火取閃光

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第2話

 修行が開始して数日、意外な事に俺には呪文の適性があった様で初級回復呪文のホイミを覚える事が出来た。

 

「アレン、良いですか? この年齢でホイミを覚えた事は素晴らしい事です。しかし、それだけに満足してはいけません」

 

「フィル神父、どう言う事ですか……??」

 

「アレン、良くお聞きください。確かにホイミを覚えた貴方なら時間を掛ければ骨折くらいなら治癒する事は可能でしょう。

 

 しかし、私やリースのホイミであればそれほど時間を掛けずに骨折を治す事が出来ます。その違いは分かりますか?」

 

「……魔力量、いえ一回の呪文に対する呪文出力、ですか……?」

 

「ふむ、それも一つの正解ですがこの場合は熟練度が違うと言う事でしょう。確かに、アレンの言う呪文出力は訓練や実践を重ねる事に成長します。

 

 出力が多い程に治癒速度も速くなるので強ち間違いと言う事ではありませんが、それでは私達はホイミを使う時に貴方よりも多くの魔力を使って行っているでしょうか?」

 

「……いいえ、感じる限り俺と同じくらいです」

 

 フィル神父は俺にも分かりやすいようにホイミの光を見せる。その淡い光は俺のものと比較しても違いがわからない。

 

「その通りです。良い魔力感知能力です。しっかり毎日魔力操作を行えている様ですね。その調子ですよ」

 

「だってフィル神父が言っていたじゃないですか……魔力操作や感知能力は呪文発動の基本だって」

 

 魔力操作や感知能力は魔法使い系職業には絶対に体得しなければならないスキルだ。

 

 魔法操作力が弱ければ暴発もありえるし、感知能力が足りなければ上位呪文を感じることが出来ずいつまでも低級呪文しか使えない。

 

「その通りです。そう、魔力操作にも関わる事ですが……私が感じ取った限りで貴方のホイミは私達のホイミに比べて遥かに無駄が多いです。

 

 切り傷一つにしても私達のホイミに使う魔力消費量に比べて5〜8倍使わないと完治しません。それは、貴方がホイミ系や呪文自体にまだ慣れていないからに他なりません」

 

「つまり、どう言う事ですか……??」

 

「数を熟しましょう。これは他の職業でも言える事ですが習いたての素人と熟練者の技ではその効果も威力も違います。

 

 だから、何度も何度も地道に訓練を重ねて意識的に行っている事を自然に出来る様に熟せば貴方のホイミも私達の領域行けるでしょう。日々修練です」

 

「分かりました! ご指導、お願いします!!」

 

 フィル神父との修行。今日から俺は見習い僧侶としての第一歩を歩みだしたのだった。

 

 フィル神父もかなり忙しい中で俺の修行を見てくれている。自主練として魔力操作や魔力感知も毎日寝る前に行っている。

 

 ダーマ神殿における職業解放はあくまでもその人の中に眠る才能を引き出しているに過ぎない。

 

 その為に今の俺の様に本職から直接学ぶ事で擬似的にダーマ神殿の様な職業をある事ができる。

 

 ただし、ダーマ神殿の職業解放とは違い眠った才能を呼び起こしている訳ではないので自主練をより一層やる必要があることだ。

 

「ホイミ!!」

 

「おっ! アレン、ホイミを覚えたのか!」

 

「はい! この間、フィル神父の弟子になり見習い僧侶になりました!」

 

 ベテランは兵士は野良の魔物や犯罪者達と戦う必要があるから怪我しやすい。その為にこうして治療に来ていた。

 

「おぉ〜! 将来有望だな! だが、兵士になりたいから訓練を受けているのでは無かったのか?」

 

「兵士も将来の一つだと考えていて……」

 

 ベテラン兵士に照れる様に答えた。やっぱり男なら、いや、異世界転生者なら剣と魔法は外せないと言う子供心があったからだ。

 

「なるほどな〜。その考え、良いと思うぞ。俺達兵士はあまり戦う機会は正直無い。まぁ、はぐれモンスターや犯罪者の時くらいだ。

 

 だが、それでも戦闘すれば不慮の事故や怪我を負う事だってあるし、そうならない様に訓練して生傷が絶えない事もよくある」

 

「俺もそう思っていて、将来僧侶になれなかったら戦えて回復も出来る兵士になりたいと思っているんだ」

 

「良く考えていて偉いな。ヨシッ! 今度兵士長にあったらアレンの事を推薦しておこう。そうすれば将来の役に立つだろうからな」

 

「!? ありがとうございます!」

 

「さてと、訓練の続きと行こう。俺もアレンに負けてられないな! 素振り100回! いーち! にーい!」

 

「いーち! にーい!」

 

 怪我が治ったベテラン兵士と共に日中は剣を振るう。街中で振るうと危ないので街からちょっと外れて一緒に行う。

 

 ゲームじゃないんだ。職業の同時習得は可能だと思っており、密かに自主練でうる覚え空手の練習もしている。

 

 そう言う日々を繰り返して行くと所謂レベルが上がったかの様に魔力量や筋力、体力など様々な能力が増えていく。

 

 訓練前に比べてもそれらは格段と上がり、同世代の子供だけじゃなくて少し年上の大人くらいには動ける様になりつつあった。

 

「ホイミ! ホイミ!!」

 

「アイタタッ……!」

 

「ホイミッ……!! ハァーッ……ハァーッ……」

 

「お? おぉ〜!! スゲェ、痛くなくなった!」

 

「ハァーッ……ハァーッ……それは良かったよ……」

 

 汗水がこぼれ落ちる。魔力量はさっきのホイミですっからかんだ。魔力が底を尽きると気絶はしないモノのかなり疲労感が来ていた。

 

「お、おい、大丈夫か……?」

 

「ちょっと……疲れた……」

 

「……ありがとな、アレン。お前のお陰で助かったぜ」

 

 ガシガシと乱暴に、だけど優しく若い船乗りはアレンを撫でた。

 

「お礼は、操船技術を……」

 

「おいおい、それはわかっているけど……ホイミを使えるんだろ? それなら、船乗りじゃなくて僧侶になれるんだから覚えなくて良いんじゃ無いか……??」

 

「覚えて、損は無いよ……。将来、何があっても良い様に、今の内から、自己研鑽するんだ……」

 

 将来は主人公達と一緒に冒険するにしろしないにしろ覚えておいて損はない。

 

 子供の頃に少しでも多くの技能を身に付けていれば簡単には死ぬ事はないだろう。

 

 ゲームと違ってリトライやコンティニューが出来ない世界なんだ。死んだら元も子もない。

 

 だからやるんだと若い船乗りへ強い意思を示した。若い船乗りはアレンの鬼気迫る意思に笑う。

 

「……お前のそう言う所、素直にスゲェって思うぜ。まぁ、俺もお前に教える様になってからボルカノさんに褒められる様になってな!

 

 今日は偶々怪我しちまったけど、色々と仕事を任せて貰える様になったから今更断られたらとヒヤヒヤしたぜ……」

 

 困った顔の船乗りは約束を果たして少しずつ何を習ったとか、どう言う危険があるのかとはをアレンに話した。

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