エデンの来訪者   作:火取閃光

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第1話

《……きて。……お……て……》

 

「っ!? また、この夢か……」

 

 冷や汗をかき飛び起きる様に目が覚めた。窓から朝日が流れて顔に掛かる。その眩しさを鬱陶しく感じながら部屋を出た。

 

「おや? 今日は早いのですね。おはよう、アレン」

 

「! フィル神父、おはようございます! って、俺がいつも寝坊している様に言わないで下さいよ!? 偶にです! た・ま・に!!」

 

「5日に一度寝坊するのは偶にではありません。それに、普段は朝食の時間ギリギリに起きる子が何を言いますか……」

 

「!? ふ、ふぃ〜ふゅ〜」

 

 下手くそな口笛を吹き視線を逸らす様に誤魔化した。

 

「誤魔化しても無駄です」

 

 ムッとした神父の顔を見てヤバいと思い走り去るアレンを心配は困った顔をする。

 

「!? 俺、シスター:リースの手伝いをして来ます! それじゃ!!」

 

「全く、あの子はいつになったら……っと、そう言えばアレンがここへ来てもう直ぐ2年になりますか……。

 

 時間が経つのが早いですね……さて、偶には私も朝食を作ってくれているリースの手伝いをしますかな」

 

 フィル神父は椅子から立ち上がり、教会内にある厨房へ行き朝食の準備をしているシスターの元へ向かった。

 

 改めて自己紹介を行うとしよう。俺の名前はアレン。今年7歳になる異世界転生者、だと思う。

 

 自分でもおかしな事を自信無さげに言っているが、2年前にエスタード島の漁村フィッシュベルにある港付近に漂っている所を保護されたらしい。

 

 その際に全身に傷や火傷があり衰弱している所をフィッシュベルのシスターや神父が養子として引き取ってくれた。

 

 傷や火傷の跡は神父達のお陰で何とかなったが背中にある不思議な跡のアザだけは消すことが出来なかった。

 

 自分で言っていて確証が無いのは俺の記憶は一部を除いてほぼ全て忘れており、保護された時にあった頭の傷が原因だと言われている。

 

 俺が覚えている記憶は、こことは違う高層ビルが立ち昇る異世界で死んだ事。

 

 それとこの世界が前世で有名だったドラゴンクエストのシリーズナンバリング作品だと言う事の大雑把な知識くらいだ。

 

 正直言えばこの知識もそこまで覚えていない。主人公達と石板を集めて世界を解放し魔王を倒そうぜ! 

 

 その為にはダーマ神殿で職業に付いて強くなるのが近道! くらいの知識だ。

 

 石板集めが超怠くて町中隈なく探さなくちゃ! と言う謎の強迫観念が染み付いている所為かフィッシュベル中を探しまくった。

 

 その結果として主人公らしき子供と出会って思い出した程度だ。大して役に立たない。

 

「ごちそうさま! シスター:リース!」

 

「お粗末さまです。お口に合いましたか?」

 

「いつも美味しかったです!」

 

「そう言って貰えたなら良かったですよ」

 

「アレン、今日もアルス君と遊びに行くのですか?」

 

「その事だけど……フィル神父、俺、僧侶になりたいんだ! 俺をフィル神父の弟子にして欲しいんだ! お願いします!!」

 

「ふむ……そう言えば少し前から駐屯兵から剣術や体術を、船乗りの若い衆から操船技術を学んでいますがそれは良いのですか?」

 

 暗に何でもかんでも手広くやり過ぎていて飽き性だと咎める様な視線と共に注意されたが俺は真剣な表情で答えた。

 

「勿論、時間が許す限りで続けていくつもりです!」

 

「……アレン、何か貴方なりに考えがあるのですね?」

 

「はい! 実を言うと今の内から色々とやってみて手に職を付けたいのです」

 

「アレン、貴方はまだまだ子供なのよ? そんなに生き急がなくても良いんじゃないかしら?」

 

「リースの言う通りだ。教会は教えの都合上、贅沢せず質素な暮らしをしなければならないがお前が定職に就くまでは面倒は見るつもりだ」

 

「うん、それは分かっている。だから、今の段階で色々手を出してみて自分の可能性を広げたいんだ」

 

「可能性を広げる……具体的には考えているのか?」

 

「今の所は船乗りか農家しか成れないけど……戦闘術を磨けば兵士になれるかもしれないし、回復呪文が使えれば僧侶として働けるかもしれないと思っているんだ」

 

「ふむ。確かに、回復呪文を使える人材は貴重だ」

 

「それに、例え兵士にも僧侶にもなれなかったとしてもその経験はきっと役にたつと思うんだ」

 

「具体的にどう役立つと思うの?」

 

「1番は船乗りが役立つと思っていて……遠く離れた海には魔物が居るって聞きます。そう言う時、幾ら漁業を行う船乗りとは言え戦闘は避けられないと思う。

 

 そんな時に魔物と戦える力と傷付いた人を回復させられる人がいれば凄く便利だと思うんだ。そして、そう言う貴重な人って不作の時でも重宝されるって船乗りの兄ちゃん達が言っていた」

 

「だから、今から準備をしていると?」

 

「それ以外にも俺が思い出せない記憶と言うか、心と言うかが無性に不安を訴えているんだ。だから、俺はこの直感を信じて色々とやってみたい。お願いします!」

 

「……はぁ、分かりました。貴方を私の弟子として扱いましょう。手厳しく指導します。良いですね?」

 

「勿論です! ありがとうございます!!」

 

「それでは私達も日中は忙しいので明日の早朝から訓練を開始します。明日から毎日自分で早く起きてくださいね」

 

「……ぜ、善処します」

 

 苦笑いをして誤魔化した。

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