「地元最高!」と思うのは仲間意識の強さを感じる瞬間。飯窪春菜が伝えたい「八王子」の魅力

取材、編集: 小沢あや(ピース株式会社) 原稿協力: 結井ゆき江 撮影:西田優太

モーニング娘。を卒業後、女優・タレントとして幅広く活動する飯窪春菜さん。漫画好きとしても有名で、最近は漫画原作の舞台「終末のワルキューレ」や「炎炎ノ消防隊」などにも抜擢されました。演技には、八王子の豊かな自然の中で過ごした幼少期の経験も活きているそうです。

小学生のころはカブトムシや蚕を育てたり、花の蜜を吸ったりしていたのだとか。「地元が大好き!」な飯窪さんに、高校時代に通ったお店や八王子の自然、そしてさまざまな芸能人が集う「八王子会」の実態についてもたっぷりと語っていただきました。

「どこ中?」から始まる八王子出身者の会話

―― 飯窪さんは高校2年生のときに「モーニング娘。」へ加入。八王子での青春を満喫してからのデビューですよね。

飯窪春菜さん(以下、飯窪):そうなんです。私が住んでいたところは、駅から30~40分ほど車で走った場所。交通の面では不便でしたけど、山や川、畑があって自然がいっぱい。楽しい思い出がたくさんあります。

―― 八王子市って、本当に面積が広いですよね。エリアごとに空気も異なるのでは?

飯窪:でも、八王子出身者同士が出会うと、絶対「どこ中(出身なの)?」という会話から始まるんですよ。

―― 出身中学校を聞けば、だいたいわかるんですか?

飯窪:昔から「〇〇中の先輩はやばいらしいよ」というヤンチャしている人たちの情報が耳に入ってくるんです。とはいえ、噂が本当かわからないし、やっぱり出身中学から離れた地域の中学情報はわからないことも多いです(笑)。

―― 八王子市って東京ドーム4000個分の広さなのに、チェーン店だけではなく、個人経営のカフェなんかも多いのが魅力的です。

飯窪:そうなんです。同級生の実家が文房具屋を経営していたので、みんなで買いに行ったりしていました。

富士森高校に通っていたころは、ラーメン店「満福亭」にもよく通っていました。現在は閉店してしまったけど「100円ラーメン」が有名で、高校生にとってすごくうれしいメニューだったんです。

近所だと、パン屋「アジアド」の「バナナオムレット」 もおすすめです。富士森生はみんな食べていたと思うなぁ。先日、10年ぶりに行ったら店舗が綺麗に改装されていて、「富士森生のお金で建て替えたんだ!」って思いました(笑)。

―― 寄り道グルメがたくさんあるんですね。

飯窪:それに、「クレープ・アン」は、俳優・塩野瑛久さんのご実家なんですよ。八王子会のグループLINEで、塩野さんご本人から「実家なんです」とご紹介があって。学生のころに通っていたので、知った時は本当にびっくりしました。

八王子にもシルクロードが。「お蚕様」を世話した小学生時代

―― 当時は、何をして遊んだのですか?

飯窪:学年ごちゃまぜで鬼ごっこなんかをしていましたね。友達の家のチャイムを押して「遊ぼう」と、突然声をかけても集まれる空気だったんです。

飯窪:あとは、みんなカブトムシを飼っていました。都心に住む人は、カブトムシを「買う」じゃないですか。それが信じられなくて。夏祭りではカブトムシの幼虫がもらえたし、外で捕れたんです。

―― まさに、「カブトムシってどこにいるんだろう?」と思っていました。八王子で気軽に捕れるんですね。

飯窪:夜は街灯の下にカブトムシが集まっていますよ。ミヤマクワガタなんかも捕れました。夏になるとクヌギの木から樹液の濃い匂いがするからわかるんです。

それに、八王子では「お蚕様」も欠かせません。

―― おかいこさま……? って、なんでしょうか。

飯窪:八王子は江戸時代に養蚕が盛んで、シルクロードで発展したんです。 だから、八王子市民は「街の発展に貢献した」という意味で蚕を「お蚕様」と呼んで大切にしているんですよ。

―― 八王子ってシルクロードで発展したんですね。知らなかったです!

飯窪:小学3年生になると、お蚕様を授業で育てるんですが、休みの日は家に連れて帰って世話をしなくちゃいけなくて。私も代表として連れて帰るときがあって、畑でお蚕様が食べる桑の木の新芽をもらっていました。

―― 八王子って、想像以上に自然が豊かなんですね。飯窪さんは小学2年生までは広尾で育ったから、少しギャップを感じたんじゃないですか?

飯窪:そこまで感じませんでした。広尾でも、テントウムシの幼虫を探したり、セミを捕まえたりしていましたから。「HIROO PLAZA」の前の花壇でツツジの蜜を吸うのが好きだったんですけど、八王子に住んでからはサルビアの蜜も甘いってことを知りました。

―― すごい、カフェ感覚で花の蜜を……。お話を伺っていると、飯窪さんって植物の名前をたくさんご存じなんですね。

飯窪:近所の公園や友達の家の庭で、桑やザクロ、ビワの実を取って食べていたんです。どの木の実が、いつ熟すのかだいたい把握していました(笑)。いろんなことを学べたから、八王子は、小学生が育つ環境としてすごく良かったと思います。

中央線で”都内”へGO! アクセスの良さも魅力

―― 八王子駅周辺で思い出の場所はありますか?

飯窪:閉館したんですが、「ニュー八王子シネマ」という映画館によく通っていました。「ドラえもん のび太のワンニャン時空伝」を観て、大号泣しましたね。

―― 映画館の存在は、漫画好きカルチャーの原体験としても大きいんじゃないですか?

飯窪:そうかもしれません。アニメ系の映画をよく見ていました。漫画の話で言うと、小学生のころは、お小遣いが足りなかったから、ブックオフでよく立ち読みしていたんです。西八王子店なんかに通っていました。……立ち読みとか言ってるけど、大丈夫ですかね?

―― ブックオフさん、「ブックオフをたちよみ!」ってメディアやってるから、大丈夫じゃないですか(笑)? 当時は、どこでお買い物していたんでしょうか。いつもWEAR で紹介されているコーディネートを拝見していますが、飯窪さんっておしゃれですよね。八王子のおしゃれスポットは?

飯窪:それが……お買い物はいつも“都内”に出て、原宿か渋谷に行っていたんです 。

―― “都内”に出る? 八王子も都内なのに、今、とっさに出てきた言葉が気になりました……(笑)。

飯窪:そうなんです(笑)。都心に向かうときは、 “都内”へ行くってつい言っちゃうんですよね。でもほかの人から「八王子って東京じゃないでしょ?」って言われると、「いやいや東京だから!」って怒っちゃうんですけど。自分で言うのはいいけど、「東京都民」八王子市民のちょっとしたプライドかもしれません。

年功序列に厳しい八王子だからこそ、世渡り上手に育った?

―― モーニング娘。になる前、八王子の学校生活はどんな風だったんですか?

飯窪:私の通った恩方中学校では、ローファーや皮のバッグ、短いスカートは中学1年生での着用がNGだったんです。中学2年生に進級するころに、部活動の先輩から「OK」をもらったら着ることができるというルールがあって。

―― ルール……。校則ではないんですよね?

飯窪:校則じゃないんです。年功序列で、先輩からの許可制だったんですよね。バスケ部やテニス部みたいにイケイケな運動部の方が先輩の権力が強いから、そういう部から順番にOKが出て。美術部に所属していた私はヒエラルキーが低くて、許可をもらえたのはほとんど最後の方でした。

―― 部活で序列が……!

飯窪:でも私は先輩の許可制に疑問があって、中学1年生のころからローファーを履いていたんです。同級生からは「春菜、やばいよ」って注意されたんですけど、結局先輩から呼び出されることはなかったので、「全然いけるじゃん!」って思っていました。

―― 肝がすわっていますね。そういえば、ナチュラルメイクが多かったころのモーニング娘。に、ド派手なカラーメイクを持ち込んだのも飯窪さんでした。

飯窪:そうです! 「花が咲く 太陽浴びて」というMVで、初めて真っ赤なアイシャドウとリップを塗ったんです。当時のマネジャーさんは厳しかったんですけど、撮影のときにドキドキしながら直談判しに行って。そうしたら、「そんなに濃くはしないようにね」と釘は刺されたけど、OKが出たんです。で、「OKが出たからいいや!」と、メイクさんにしっかりめに塗ってもらいました(笑)。

―― 言質とったし、と(笑)。

飯窪:メンバーたちの反応は、最初こそ「そんな派手なメイク、やめたほうがいいよ」という雰囲気だったんです。けど、しばらくするとみんな自由にメイクするようになってきて。「なんだ、やっぱりみんなも本当はカラーメイクがやりたかったんじゃん」って(笑)。

―― 飯窪さんって、世渡り上手というか、バランサータイプですよね。ここまでお話を伺っていて、八王子で育ったからこそ、そういう明文化されていない空気を読む力が育ったのかな、とも思います。

飯窪:そうなのかな。八王子出身の人は世渡り上手な方が多いと思います。先輩、後輩の上下関係がしっかりしていたから。「先輩に愛されるように」という生き方が定着していたのかもしれませんね(笑)。

八王子愛で包まれる芸能人たちが集まる「八王子会」の実態

―― ROLAND(ローランド)さんも八王子出身ですよね。「先輩に愛される」という意味では、ホストの世界も縦社会だから通じる部分があるな、と思います。

飯窪:そうなんです! たかみな(高橋みなみ)さんも八王子出身で、先輩・後輩があるグループに所属していたから、きっと同じですよね。

―― お二人も、八王子出身の芸能人が集う「八王子会」に所属されています。飯窪さんも2020年から加入されていますが、この会にはどうすれば入れるんですか?

飯窪:基本的には八王子会に所属しているメンバーからの招待制です。私はゴスペラーズの黒沢薫さんに紹介いただいて入りました。黒沢さんは同じ小学校、中学校出身で、地元がかなり近かったんですよ。

―― 八王子会では、どんな活動をされているんですか?

飯窪:ヒロミさんとはなわさんが作詞・作曲した「八王子のうた」のレコーディングに参加させていただきました。実は、八王子会のみなさんにお会いしたのはその時が初めて。温かな雰囲気に、思わず涙がでちゃいました(笑)。地元が大好きな先輩たちに囲まれる、贅沢な空間……! 「八王子出身でよかったぁ!」って思いました 。

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―― 個別に連絡を取ることもあるんですか?

飯窪:あまりないんですけど、八王子会のグループLINEは活発に動いていますよ!ROLANDさんのブランドのオープニングパーティーに、お誘いを受けて参加したことがあります。次の日にはご本人からお礼のLINEをいただいて。「丁寧な方だな」と印象に残りました 。

……実は先日、ROLANDさんの経営するホストクラブ「THE CLUB」にも行ったんです。人生で初めての経験で、とてもいい社会見学になりました。

―― 飯窪さんがホストクラブに!? それって、書いても大丈夫なんですか……!?(マネジャーさんの方を見ながら)

飯窪:大丈夫です! 人生で未経験なことがあるのは嫌だなと常に思っているんですよ。やっぱり、八王子の先輩のお店だから安心できましたね。しっかり楽しみました(笑)。

夢は「高尾山でファンクラブツアー!」

―― 八王子には、今もよく帰るんですか?

飯窪:帰りますよ。でも、私の実家は高速道路になる予定のエリアで、今は地域一帯が更地になってしまったんです。だから住んでいた実家はなくなったし、近所の仲が良かった子もちりぢりになりました。それでも、交流は続いていて、引越しをした元ご近所さんの家に遊びに行ったこともあるくらいなんです。

―― 地元の友達と遊ぶこともあるんですか?

飯窪:ありますよ。東急スクエアなどの駅周辺で遊ぶことが多いです。でも、モーニング娘。に入った時に、けじめとして仲の良い友達以外の連絡先は消しちゃったから、連絡先がわからない子も多いですね。連絡先を消すのはルールではなくて、私が自発的に消したんですけど。

―― アイドルとしての自覚が芽生えた瞬間でもありますね。「八王子で育ってよかったな」と思う瞬間は、どんなときですか?

飯窪:仲間意識の強さを感じるときですね。「八王子出身」と聞けば、それだけでみんな「好き!」って思っちゃうほど、温かい土地柄なんです 。

―― 今後、八王子でやってみたいことや、貢献したいことはありますか?

飯窪:なんだろう。凱旋コンサートはモーニング娘。の時に実現したし……。

そうだ、高尾山が大好きで毎年登っているんです。それを発信すると、ファンの方から「いつか高尾山でファンクラブツアーやりたいね」ってコメントをいただくんです。「みんなで高尾山に登って、山頂でビール!」を実現したいですね。

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―― ぜひ、実現していただきたいです!

飯窪:がんばります! これからも「八王子出身」だからこその魅力を、声を大にして伝えていきたいです。そして八王子出身の芸能人の方々と一緒に、八王子を盛り上げていきたいですね。

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お話を伺った人:飯窪春菜

1994年11月7日生まれ。2011年にモーニング娘。に加入。2013年にサブリーダーに就任。2018年のグループ卒業後は、女優・タレント、コラム執筆などで活躍する。 Twitter https://twitter.com/haruna__iikubo Instagram https://www.instagram.com/harunaiikubo_official/

取材、編集:小沢あや(ピース)