2023.10.21
# 野球

紙に「〇・×」を書かせて…阪急の鬼監督・西本幸雄が選手を集めて「信任投票」を行ったワケ

西宮球場の会議室で「信任投票」

「オレを信頼して、ついてこれる者は○。ついてこれん者は×を書いてくれ。自分の名前は書かんでもええ」

阪急の監督・西本幸雄が選手たちを西宮球場の会議室に集め、“信任投票”を行ったのは秋季練習開始前の1966年10月14日のことである。

西本は1963年、“灰色の球団”と呼ばれた阪急ブレーブスのコーチを経て、監督に就任した。だが63年=6位、64年=2位、65年=4位、66年=5位と戦績はパッとしなかった。

監督就任以来ずっと、西本は不愉快な気分を味わっていた。球団代表の岡野祐が選手を自宅に呼び、酒宴を張るからだ。

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<昭和41(1966)年のシーズン終盤には、監督交代の話がそろそろ持ち上がっていた。そして、優勝できない監督の去就を話題に、球団代表と選手の酒宴が盛り上がったというのだがら、なにをかいわんやである。>(『私の履歴書 プロ野球伝説の名将』鶴岡一人・川上哲治・西本幸雄・稲尾和久著、日経ビジネス人文庫)

そこで、西本は“信任投票”という前代未聞の手段に訴えかけた。捨て身の勝負に打って出たのだ。

必死になって止めたのが、ヘッドコーチの青田昇。

「どんな会社にも不満分子は何人かいる。10人集まれば2人や3人の反対派はいるもんや。そんなバカなこと、やめてくださいよ」

しかし、西本は一顧だにしない。

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