MTG考察:アグロデッキは簡単?

こんにちは。大会に出て二勝一敗なら大喜びしている万年平凡プレイヤーのネクロノートです。
普段は主にパウパーに関するnoteを書き記しているのですが、今回はマジックザギャザリング全般に適用できるタイトルの件について考えていこうと思います。
アリーナを含め最近MTGを始めた。或いはTCG経験者で、MTGにも興味があって記事を読んでみたいという方の目線を想定しております。
また、言うまでもなく一個人の勝手な意見となります。書き出すことで自らの頭の整理になる意味もあります。

さて本題です。MTGプレイヤーの方々は基本的に落ち着いた方が多く、調子に乗って騒いだり、相手を貶したりするタイプの方は滅多に見かけないように感じています。
しかし、本人に悪気は無いのでしょうが、私のような人間が単色デッキを使用していると「アグロは単純でいいよな」という意味合いの言葉を投げかけられる場合があります。特に、赤単スライや緑単ストンピィと呼ばれるような、所謂パワーを上げて戦闘ダメージの蓄積による勝利を目指す攻撃的なデッキ=アグロデッキを下に見られるパターンが多いです。果たして本当にそうなのでしょうか?

パイオニア(スタンダードルールより一つ下った環境で、アリーナで言うところのエクスプローラーに相当)環境を例に取って見てみましょう。

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アジャニさんがかっこいい。
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こちらにデメリットとなる部分が一切ない伝説のクリーチャー。
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場に居るクリーチャーは例。

あなたは先攻5ターン目を迎え、アンタップ状態の土地を5枚確保しています。場には2/2と3/3のクリーチャーが居て、手札には英雄的介入(1ターンの間、破壊効果からカードを守れる)と、探索する獣(4/4で速攻と警戒を持ち、パワー2以下のクリーチャーにはブロックされず、プレイヤーに与えたダメージと同数をプレインズウォーカーにも与える)があります。
相手は土地以外のパーマネントを持っておりません。白と青の色からして、白青コントロールであると見てほぼ間違いありません。クリーチャー除去と打ち消しによるカードの無効化を構えている恐れがあります。
さて、このターンあなたはどのように行動するでしょうか。既に場に出ているクリーチャーで攻撃するのは確定でしょう。その前に何かを唱えますか? 
追加の戦力である探索する獣は4マナ。召喚酔いに影響されない速攻を持っているため、既にある打点と合わせて9点のダメージを与えられる公算があります。ライフが20点で始まるMTGにおいて、この攻撃力は非常に強力です。
しかし、もう一枚の英雄的介入は2マナ。クリーチャー一体を対象として破壊するような単体除去呪文、または全てのクリーチャーを破壊する全体除去呪文、その両方から手駒を守ることができる緑の万能盾であります。
探索する獣を唱えてしまえば、残る1マナで英雄的介入を構えている余裕はありません。実質的に、追加戦力を投入して早期にゲームを締めにかかりたいか、何をしてくるか分からない相手に対し盾を構え返しておくかの二択となります。

ここで相手の手札を予想してみましょう。アンタップ状態の土地は4枚。まず意識されてしまうのがスタンダードでもお馴染み、白青コントロールのお供”放浪皇”です。

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相手ターン中に唱えられるプレインズウォーカーカード。

瞬速能力により、こちらが攻撃を仕掛けた後に場に出てくるパターンが一番多いでしょう。攻撃宣言後、ブロック指定前であれば、-1能力で2/2のクリーチャートークンを生み出して2/2同士を相打ちさせる事ができます。こちらの攻撃力はダウンし、場にはまだ放浪皇が残ってしまう。相手からすれば非常に守備的な、しかしこちらからすれば形勢逆転されかねない攻撃にも近い一手です。
では、攻撃前に探索する獣を唱えておけばどうでしょうか。相手が放浪皇で対処しようとしても、2/2トークンでは前述のように一番小柄な一体を討ち取るくらいしかできません。ダメージ軽減に向かわせる、所謂チャンプブロックを狙おうにも、探索する獣には「パワーが2以下のクリーチャーにはブロックされない」があるため止まりません。しかも放浪皇の-2能力「タップ状態のクリーチャー一体を追放しライフを得る」を使おうにも、4/4と一番サイズの大きい彼には警戒能力(攻撃してもタップしない)が備わっているため、そもそも対象に取ることすらできません。また、プレイヤーにダメージが通れば、そのパワーである4点に匹敵する数値を相手がコントロールするプレインズウォーカーにも加える事ができます。「放浪皇の-1能力か-2能力で自身を守ろうとしたら、その二つともが効かない最強の獣が飛び込んできた」となれば、効果は絶大。白青コントロールの牙城を崩しに行けるでしょう。

ただし、問題はこの後。相手にターンを渡してからです。

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打ち消されない全体除去。定番カード。

”至高の評決”に代表される、絶対に盤面をリセットする気満々なカードを放たれたらどうなるでしょうか? 探索する獣を投入したがために英雄的介入を持っているにも関わらずマナが足りず、破壊効果から守る事ができないためにクリーチャーが居た場所は全て更地になってしまいます。一枚のリセットカードで二枚以上が持っていかれたら”一対多交換”の大損です。こちらはまた再びクリーチャーを召喚し、召喚酔いが解ける次の次のターンまで相手にダメ―ジを与えることはできません。速攻を持つ探索する獣が手札に残っていたら……。英雄的介入で”絶対に壊す”を”絶対に守る”で逆にやり返していたら……。そう思わずにはいられないでしょう。
そうなのです。アグロデッキにおいて「速攻を持つ中級以上のクリーチャー」は立て直しの際にこれ以上ないと言ってもいいくらいに心強いのです。

アグロデッキは単純か? という問いに答えましょう。「攻めているようでいて、その癖リスクがある。まるで格闘ゲームの起き上がり無敵技のような、逆択をかけられている気分にすらなる」と。放浪皇一つ取ってもこれだけの仮定ができるのです。この時点ではまだ正解が見えてきません。

話をあなたの5ターン目に戻します。土地は5枚確保されていて、探索する獣を唱えようか、と思案している場面。別のリスクも懸念されます。

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呪文を呪文で打ち消す。MTGの青色特有の文化。

”吸収”に代表されるような打ち消し呪文を構えられていたパターンです。MTGを既にプレイした経験のある方はご存じでしょうが、唱えられた直後であれば何でも無効にできるカード。クリーチャー除去はクリーチャーにしか当たらないのに、打ち消しならば好きなタイミングで相手の邪魔ができる。一見すると最強カードのようにも思えます。青色がベースですが、白色を要求される代わりに3点の回復まで付いた。文句なしのレアです。
アグロ系デッキにおいて、もし5枚の土地がアンタップ状態であるのならば、2マナ+3マナのダブルアクションを採るのが行動として強いです。2マナの呪文でお伺いを立て、対戦相手に「これも立派な脅威ですよね? 手札が透けるように分かりますよ。打ち消しますか、どうしますか?」と、無言の会話を仕掛けることができるのです。2マナの呪文すら打ち消してきたのであれば、あなたが次に唱える3マナの呪文は問題なく着地します。相手は4枚の土地の内、3枚を吸収に使ってしまったのですから。こちらはダブルアクションを採れており、相手はシングルアクションに終始します。テンポ・アドバンテージとも言えます。
しかし、ダブルアクションは採れない手札状況にあり、素直に探索する獣を唱えてしまっていた場合はどうなるでしょう? とっておきの4マナのクリーチャーを、3マナの打ち消しで対処されてしまった。互いにシングルアクション。相手が用意を整える前に攻め切りたい=アグロなのに、いいように一対一交換をされて実質的な損をしてしまった。これでは攻め手が鈍ります。
さらに、最近(24年2月現在)になって強力なカードが追加されました。

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3マナ支払わなければ打ち消されてしまう。不確定カウンターの一種。

”喝破”です。このカードの存在により、5枚の土地の内3枚を残して2マナ使うのと、1枚しか残さず=喝破をケアせずに4マナのクリーチャーを投じてしまうのとでは性質が変わってしまいました。
4マナのカードを2マナで対処され、

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スタンダードでも活躍中。軽いインスタントは強い。

さらに”失せろ”等の除去を打ち込まれたら、あなたは空中戦で4/4を失い、除去によって3/3が盤面から消え、残る2/2でぺちんとアタックするしかなくなります。もう目も当てられない。
相手は2+2のダブルアクション。あれ、守っているようで攻められているような気分になりませんか? まるで某公安9課が使う攻性防壁のように。
ここが難しいところなのです。緑単色では相手の手札を覗く手段は無い。ハイリスク・ハイリターンな行動を採って良いのかどうか。明確な正解は分からないと言っていいに近いです。

では、消極的にカードを小出しにしてさえいれば勝てるのでしょうか? 当然違いますよね。
コントロールデッキは相手の行動に対して後出しジャンケンをすることで有利を取る、いわば「ポーカーフェイスで何を構えているか分からない」状態に陥らせることで時間を稼ぎます。
前述のように4枚の土地と”吸収”を持っていたとしましょう。他に手札には

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4枚見て2枚を手札に。強力なドローソース。

”記憶の氾濫”があり、打ち消しとドローの多面待ちをしていて、さらにまだ”至高の評決”を確保できていなかったとしましょう。「絶対的な脅威が来たら打ち消し、まだ耐えられるならばドローソースにマナを投じて次の解決策を探しにいく」という、状況によって可変式になるのが行動として有意義になります。
ここであなたが探索する獣を唱えていたらどうなるでしょう。相手は早く至高の評決を引きにいきたい、早く記憶の氾濫で山札を見たいと思っていたのに、絶対に打ち消さないといけない存在、マスト・カウンターがお出ましとあれば、ドローにマナを割いている余裕はありません。一種「カウンターを使わされた」という状況にも見えてくるのです。コントロールデッキに対面してカードを吐かせた。これ、面白い解釈には思えませんか? マスカンによって既に盤面に居るクリーチャー達が守られる結果となるのです。

あくまでも構築次第になる私個人の意見ですが、今回の場合ですと5ターン目には探索する獣は唱えません。これまで書いていたように立て直す際にも速攻を持った獣は有効である点と、次の自分のドローが土地であった場合に4+2マナで英雄的介入とのダブルアクションを構え返せるからです。
 
MTG特有の打ち消しカードの強さに苛立ち、「また打ち消された! 打ち消しはクソだ!」という意見。また「緑のクリーチャーを並べて攻撃するだけの単純なんだろう」という意見。それは感情として理解できますし、共感する場合もあります。ですが、例題一つ取ってみてもこれだけ考察ができるのです。
土地が止まって全く何もできないとか、相手が失せろと放浪皇と吸収と至高の評決を持っていて完璧すぎて負けたとか、逆に記憶の氾濫で山札を見たのに全く有効カードを引けずに負けたとか、全てがドロー内容に左右されて思ったような動きができなかった場合にのみフラストレーションを溜めましょう。「土地があって唱えられるんだから探索する獣唱えちゃえ!」という程度の思考形態では、簡単だと貶されても仕方がありません。極初心者を除き、よく使われている定番カードのマナコストと効果を頭に入れておくことが鍵となります。
「こんなの運ゲーだ。引きが弱くて負けた」と感じていいのは、見えている情報と、まだ見えない次の展開を飲み込み下した「その先」で覆せない程の圧倒的ドロー差で負けた場合にのみ許されるのです。

最後になりますが、このようなアグロ対コントロールの対面ですと、サイドボードから入れ替えたカードの質によってガラリと試合内容が変わってきます。最初から打ち消し不能を持ったクリーチャーや、赤系アグロでは毎ターン直接ダメージを与える非クリーチャー呪文による「別軸の戦い」に重きを置けるのです。これはMTGアリーナのBO1ばかり遊んでいては得られない感触です。
互いに全力を出し合って、考え抜いた「その先」の世界で勝ち負けを分かち合いたいものです。楽しいゲームは作れます。考え方次第で。
あなたはアグロがお好みですか? コントロールですか? コンボに挑みますか? どれも素敵ですね。
一概には言えないよ、というお話でした。


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