少子化に伴う学生数の減少を背景に、女子大が男女共学にかじを切る流れが強まっている。ピーク時に全国で100校近くあった女子大は、この四半世紀で3割減。中部地区でも桜花学園大(愛知県豊明市)が本年度から、名古屋女子大(名古屋市)が来年度から共学化するなど活発な動きがある。約30年前にいち早く共学化に踏み切り、現在は男子学生が3割を占める愛知淑徳大(同県長久手市)と、中部の女子教育機関として長い歴史があり、創立以来女子大を貫く金城学院大(名古屋市)から、それぞれの生き残り戦略を取材した中日新聞の記事を紹介する。
■男子学生の受け皿充実
■男子学生の受け皿充実
11月中旬の愛知淑徳大長久手キャンパス。人間情報学部の3、4年生18人が教室に集まり、プログラミングで自走するロボット製作の授業に臨んでいた。同学部の学生約860人のうち半数は男子学生で、この授業を受ける18人のうち12人は男子。その一人、渥美進之介さん(21)は「淑徳は女子大だったというイメージはあったが、いろいろな学部があり男女が交ざっている多様性に魅力を感じて進学した」と話す。
1975年開学の同大は95年に共学化した。学生確保に苦慮していたわけではなく、愛知淑徳大を運営する学校法人愛知淑徳学園の小林素文(もとふみ)理事長(79)は「学内の多様化や国際化を進め、大学の規模を拡大するには性別や国籍にこだわっている場合ではないと考えた」。女子大のアイデンティティーを堅持したいと反対する人もいたが、約5年の検討期間を経て共学化を断行した。
文、現代社会の2学部のみだった共学化直後の95年度は学生3435人中、男子は200人足らず。男子学生を取り込むため学部再編などに踏み切り、2004年に初の理系学部の医療福祉学部、経営や経済を横断的に学ぶビジネス学部を新設。文理双方で男子学生の受け皿をつくった。
現在10学部で約8600人が学び、男子学生も3割の約2600人に増加。定員割れする私立大が増える中、来年4月には建築と教育の2学部を新設し、12学部体制となる。小林理事長は共学化を「学内の多様化だけでなく学生数確保のために有効な手段だった」と振り返り「人工知能(AI)を取り入れた学問など、今後も学生の学びへのニーズを取り入れたい」と話す。
■135年の歴史 継承し発展
■135年の歴史 継承し発展
6学部約4800人の学生を抱え、女子大として中部圏有数の規模を誇る金城学院大。「135年にわたる女子教育の歴史があり、さまざまなフィールドで活躍できるリーダーを輩出してきた。地元住民や企業からそのブランドへの期待が寄せられている」。小室尚子学長(71)はそう自負する。
同大の前身は1889年(明治22年)に米国の宣教師が開いた。明治期に全国で女性の地位向上や男女平等を目的に宣教師が設立した女学校の一つで、大学開設は1949年。社会でリーダーシップをとれる女性の育成を目標に、キャリア教育を展開する。
ただ本年度の定員充足率は92.3%で、他の女子大同様、近年は学生集めに苦慮する様子もみられる。そうした中で来年度から、学力試験を課さない「総合型選抜」を導入。2026年度には経営学部、デザイン工学部を新設し、新たな学生層の取り込みを図る。
小室学長は「金城学院大は『互いの尊厳を認める社会』を目指しており、そのためにはジェンダーギャップ(男女格差)の解消が欠かせない。社会で活躍できる女性を育てていく必要がある」と強調。今後も女子大を維持する意義を示す。
■「魅力アピール不可欠」
■「魅力アピール不可欠」
国内外の女子大などをテーマに研究する武庫川女子大(兵庫県西宮市)教育総合研究所の安東由則教授(62)は毎年、全国で共学化や廃校となった女子大の数を調査。「女子受験生の志望学部の多様化や少子化により今後も女子大は減少していく」と推測する。
1948年に日本初の女子大である日本女子大(東京)、津田塾大(同)などが設立された。調査によると60年代に増加し、98年に最多の98校に。以降は毎年数校ずつ共学化や統廃合され、今春は71校となっている。
安東教授は女子大や女子大志望者が減っている理由について、受験生たちが女子大にある家政系や文系学部でなく、経済学部などの実学系や理系学部など共学大にある学部を志望することが増えている点を挙げた。女子大が学生を確保するために「学部再編などを通じて女子大自身の魅力を高校生たちにアピールしていく必要がある」と話した。
北海道学事課によると、道内には藤女子大と北海道武蔵女子大の二つの女子大がある。
<編集後記> 大学生の寄稿コーナー「きゃんぱる発信」で北大1年の古谷櫂さん(20)が学生による映画製作の話を紹介してくれた。1960年代を想定した小樽での撮影シーンは、どこかノスタルジックでアナログな雰囲気を漂わせる。製作費も限られる中、ロケの許可をとったり脚本を変更したり、多くの壁にぶつかり、乗り越えていくのだろう。どんな作品になるか楽しみだ。(長)
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