もう一つの意味
ペットボトルの水が「何年たっても腐らない」なら、いっそ賞味期限を「無期限」にしてはどうか。
「いや、水の賞味期限は、表示された容量が確保できる期限です」
こう話すのは日本ミネラルウォーター協会の渡辺健介事務局長だ。
食品は、食品事業者が科学的・合理的な根拠に基づいて賞味期限を設定している。一方、計量法の規定に基づいて内容量を表示する決まりもある。
ペットボトルの容器は、通気性がある。すると、水が少しずつ蒸発する。つまり、時間の経過とともに減るのだが、表示と実際の容量が許容の誤差を超えた商品を「販売する」と計量法違反になる。
ペットボトルの水の賞味期限は、もっぱら表示と実際の容量の誤差が許容範囲内にある期間、すなわち計量法違反にならない限度を示しているのだ。
なお、その水を「譲渡する」のは計量法に反しないし、飲むのも問題ない。備蓄しておいた水が減っても、計量法とは無関係だ。
渡辺事務局長は「東日本大震災以降、水の備蓄が増えたが、その分廃棄も増えている」と指摘する。
「ペットボトルの水は手洗いや食器洗いにも使える。安全でも期限切れの水を飲むのは嫌だという気持ちが働くなら、廃棄するのではなく別の用途で使うといいでしょう」
(文化部 平沢裕子)