「不動産競売の流れが知りたい」
「不動産競売はどういった流れで出品され、どういう手順で落札するのか」
不動産競売の流れを大きく分けると「物件を競売に出す側」と「物件を購入する側」に分けられます。
この2つはそれぞれプロセスが異なり、競売に出す物件は少々複雑であり、入札は極めてシンプルです。
この記事では、物件を競売に出す場合と、競売に出された物件を購入する場合の2つの視点から、それぞれの流れをわかりやすく解説します。
競売物件の流れに興味がある人はぜひご覧ください。
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不動産競売の流れ:物件を競売に出す場合
不動産競売の流れで物件を競売に出す場合、大まかな流れは以下のとおりです。
- 申し立て
- 差し押さえ
- 物件の調査
- 競売へ
この4行程にかかる期間はおよそ半年から10ヶ月前後であり、競売が開始するまでに何らかの方法で申し立てが取り消されない限り競売は行われます。
ここでは、この4行程について説明します。
債権者側が地方裁判所に申し立てを行う
もし、債務者が住宅ローンを滞納した場合、債権者側が地方裁判所に申し立てを行います。
この場合の債権者とは主に銀行のような金融機関です。
ローンを滞納して3~4ヶ月経過した場合に金融機関から「催告書」が送られるようになり、それでも返納できない場合、最終的に「期限の利益喪失」の通知が送られます。
ここまでの期間で、長ければ8ヶ月ほど、早ければ4ヶ月ほどで申立の準備が行われますが、この期間は金融機関によって変わります。
- 債務証明書:債務の詳細を記載した書類
- 不動産評価書:物件の価値を評価した書類
裁判所による差し押さえが宣告される
地方裁判所が債権者の申し立てを認め、正式に受理された場合、債務者に対しての差し押さえが行われます。
まず、債権者に対して押さえの宣告書を送り、債務者に対して裁判所が差し押さえの通知書を送ることで、差し押さえの準備は完了です。
この差し押さえは、物件が競売にかけられるための法的手続きであり、物件の権利は債務者から裁判所に移行されるため、債務者は不動産を売却することができなくなります。
差し押さえが宣告されると、物件の管理や保全に関する指示が裁判所から出され、次の段階である物件調査に進む準備が整います。
差し押さえの通知は、債務者及び関係者に送付され、法的に効力を持つことになります。
このとき送られてくる差し押さえ通知の名前は「競売開始決定通知」です。
競売物件の調査が行われる
競売開始決定通知が送られて1~2ヶ月ほど経つと、裁判所から物件の調査が行われます。
この調査を「現状調査」といい、債務者側の都合に関係なく強制的に行われます。
この時に撮影した写真が競売物件時の資料として活用されることとなります。
現状調査の主な調査項目は、以下のとおりです。
- 物件の原状:建物や設備の状態
- 土地の利用状況:土地の利用制限や状況
- 周辺環境:近隣の施設や地域情報
この調査結果が公開された後、競売物件に関する詳細な情報が広く知られるようになります。
そのため、競売に参加する人間が周辺で調査を開始することは珍しくありません。
場合によっては周辺の家に聞き込みを行う可能性もあり、そこから差し押さえを受けたことが周囲に広がる可能性は大きいです。
そのため、プライバシーを守るためには、この段階になるまでに何らかの手段で滞納した家賃の返済及び物件の任意売却を行う必要があります。
配当要求終期の公告が行われ、物件の入札が開始される
物件の調査が終了すると、裁判所は「配当要求終期の公告」を行います。
この公告は、他の債権者が物件に対して配当を要求する期限を設定するもので、公告後に物件の入札が開始されます。
入札が開始した時点で、債務者は正式に家を手放すことになります。
入札は、裁判所が指定する期間内に行う必要があり、期間は8日です。
この公告は、競売物件の取引に関する重要な情報が含まれており、入札者はこれを確認することで入札の準備を整えます。
不動産競売の流れ:物件を購入する場合
物件を購入する場合の不動産競売の流れは、わずか3ステップです。
- 入札を行う
- 開札が行われた後、売却許可が降りる
- 代金を納付し、登記登録と物件の引き渡しが行われる。
従来の不動産物件を購入する流れは物件の下見や様々な手続き、契約書のサインが必要だということを考えると、ほぼ半分以下の行程で不動産を手に入れられます。
ここでは、そんな競売物件を購入する場合の不動産競売の流れについて説明します。
入札を行う
競売物件に興味を持った場合、まずは物件の情報を確認し、入札に参加します。
入札方法は、以下のとおりです。
- 目当ての競売物件の保証金の入金手続きを行う
- 入札書や必要書類を裁判所で入手し、記入する
- 入札書を始めとした諸書類を裁判所執行室の受付に提出する
保証金についてはBITの物件情報の「買受申出保証金」の項目に金額が記載されているのでそちらを用意することになります。
なお、保証金は物件を落札できなかった場合などは全額返金されます。
入札書を除いた書類は以下のとおりです。
- 暴力団員等に該当しない旨の陳述書
- 入札保証金振込証明書
これに加え、個人で入札する場合は住民票、法人で購入する場合は登記事項証明書を、それぞれ入札三ヶ月以内に発行して用意しなければなりません。
なお、入札書および陳述書はBITでダウンロードが可能です。
開札が行われ売却許可が決定される
入札が完了すると、裁判所による開札が行われ、最高入札額を提示した参加者に対して「売却許可」が下され、物件の購入手続きが正式に進みます。
売却が許可された場合、買い手は裁判所が指定した期限内に代金を支払う必要があります。
入札のコツとしては、過去に似たような物件があった場合、どの程度の金額で落札されたかを調べるということです。
人気の高い物件は競争率が高く、入札額も高くなりやすいです。
もし、確実に入札したい物件あるのであれば、不動産競売の経験者やコンサルタントに相談して金額を検討しましょう。
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代金が納付された後に登記・引き渡しが行われる
物件の売却が許可された後、買い手は裁判所が指定する期限内に代金を納付する必要があります。
代金の納付が完了すると、物件の所有権が正式に買い手に移転し、登記手続きが行われます。
登記が完了すると物件の引き渡しが行われ、正式に物件を入手したことになり、その日のうちから住むことも可能です。
また、この段階で内覧も自由に行えるので物件の全貌もわかるようになります。
問題なければそのままでも構いませんが、汚れや破損などがあった場合、リフォームも検討しましょう。
競売物件の引き渡しが遅れる・中止になるケースについて
競売物件の隠れたリスクとして、引き渡しの遅延や、競売そのものが中止になるケースがあります。
これらが起こる要因は、以下のとおりです。
- 引き渡しの遅延:入札後、不法滞在者が住み着き、退去しない
- 競売の中止:債務者による競売の不服申立てや、債権者による競売取り下げ
ここでは、これら2つについて説明しましょう。
不法入居者が占拠している場合は退去の交渉をしなければならない
物件に不法に居住している者がいる場合、引き渡し前にその退去を求める必要があります。
大まかな流れとしては、以下のとおりです
- 裁判所に申し立てを行い、不法入居者の退去勧告を行う
- 勧告に従わない場合は「命令」に変わる
- 命令も無視した場合強制執行の予告である「催告」になる
- 催告にも応じない場合、落札者による「強制執行」が行われる
退去の交渉のリスクとし、物件が利用できるタイミングが遅くなる他、最大100万円以上の費用が発生することが挙げられます。
まず、申立には手数料10万円を支払わなければなりませんし、強制執行後は不法入居者の残置物を処分しなければなりません。
その費用が量によっては100万円近くかかるケースもあり、大きな出費を伴うことがあるのです。
このリスクを防ぐ方法としては、三点セットをチェックし、不法入居者の有無を確認しておきましょう。
不服申立てが通ったり債権者が競売を取り下げたりした場合は入札中止になる
極めて稀なケースですが、債務者の不服申立てが通ったり、債権者が競売に出すのを取り下げたりした場合、入札は中止になります。
不服申立てとは、この場合裁判所の処分に何らかの落ち度や問題があることを指摘し、処分は不当だという訴えを指します。
この申立を裁判所側が認めれば、競売は中止となります。
この不服申立てが通るケースですが、明確に行政側の不手際がない限り、殆ど無いといってよいでしょう。
債権者が取り下げを行なうケースも、同様に可能性は低いです。
債権者が競売を取り下げる理由としては、主に以下のケースが挙げられます
- 債務者の要求に応じ、競売を取り下げる
- 債務者がローンを一括で支払い、完済した
- 債務者が自己破産を行ない、所有権を放棄した
こちらのうち、可能性があるのは1と3です。
例えば、債務者が任意売却を行なうことで競売に出すよりも高い値段で買い取りが可能になったと債権者に報告した場合、債権者側は競売を取り消してくれるでしょう。
ですが、こちらのケースでも取り下げまで行く可能性は極めて低いです。
任意売却ができるのは開札の前日までと非常にタイトであり、競売価格よりも高くなる可能性がある住居であることが前提だからです。
そのため、競売物件の入札が停止になるというケースは極めて稀であり、よほどのことがない限り、不動産競売は行われるでしょう。
まとめ
この記事では、不動産競売について、競売に出す側と参加する側の流れについて紹介しました。
不動産競売の流れは一見複雑そうに見えますが、実際にはシンプルであり、裁判所からの指示に従えば迷うことはないでしょう。
不動産競売に参加する場合は入札書を書く必要がありますが、裁判所のホームページに書き方の例があるので、それをもとに記載すれば、失敗することはありません。
もし、本気でほしい競売物件があるのでしたら、入札金額は専門家に相談すれば、適正な金額を提案してくれるでしょう。
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