やられの美学 ニッポン悪役列伝

佐藤慶 主人公の宿敵役をやらせたらピカイチ、冷たい目線が忘れられない名悪役

そして時代劇の歴史に残る佐藤の敵役といえば、73~74年の萬屋錦之介主演のドラマ『子連れ狼』の宿敵・柳生烈堂である。烈堂率いる柳生一族の陰謀で妻を殺された元公儀介錯人の拝一刀(錦之介)がわずか3歳の一子、大五郎を箱車に乗せ、刺客をしながら復讐の旅を続けるというストーリー。烈堂は第1部は高橋幸治、第2部は西村晃、そして完結編の第3部で佐藤が演じた。一刀に嫡男から娘まで一族郎党を殺され、ついに河原で一騎打ちすることになった烈堂。互いに白装束でのにらみあいは長い長い。1話丸ごと使ってもまだ足りない勢い。これほど長時間の死闘を延々映し続けた時代劇はなかった。

思えば、老獪(ろうかい)な伊達兵部も白髪と白ヒゲが印象的な柳生烈堂も演じていたのは40代半ば。佐藤は大作の主役を向こうに回して堂々とふるまう、スケールの大きな悪役が似合う俳優だった。 (時代劇コラムニスト・ペリー荻野)

■佐藤慶(さとう・けい) 1928年12月21日~2010年5月2日、81歳没。1981年の『白日夢』では愛染恭子との共演で話題になったことも。

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