不誠実な日本、無気力な韓国…日韓関係がどれほど“不安定”なのかを明らかにした「佐渡島の金山」追悼式

2024年12月01日 国際 #時事ジャーナル
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「佐渡島の金山」での追悼式に端を発した日韓間の葛藤は、両国政府間では一応の決着を見たように見える。

【注目】なぜ韓国は追悼式を突然ボイコットしたのか

主要7カ国(G7)会議を機に行われた日韓外相会談で、この問題が両国関係の発展に悪影響を与えないようにし、これまでの協力の積極的な流れを維持するということで意見が一致したからだ。

しかし、韓国社会における日本への怒りは容易には収まらない見通しだ。

怒る韓国、理解できない日本

韓国社会では、今回の佐渡鉱山の追悼式で誠意をまったく見せなかった日本に対する失望が広がっている。

また、7月のユネスコ世界文化遺産登録過程での不備を補い、日韓間の歴史問題をより成熟した形で進める絶好の機会を逃した日本への怒りも相当なものだ。

韓国の失望と怒りがこれほど大きいことを、日本側はまったく理解していないようだ。韓国が求めた通り、日本政府は政務官級の人物を派遣し、追悼辞では「朝鮮半島出身労働者」(日本式表現)への哀悼も示したではないか、という反応だ。

日本政府が代表として生稲晃子外務政務官を派遣したのは、その人物の業務範囲内のことであり、2年前に靖国神社を参拝したという『共同通信』の報道は誤報であったとして訂正記事も出たので、問題はないという立場だ。

むしろ追悼式に不参加だった韓国に遺憾を表し、「韓国が過剰反応している」という外務省関係者の発言まであった。日本の『産経新聞』は、韓国の「反日病」が再発したとする社説を掲載した。

11月24日に行われた「佐渡島の金山」追悼式。韓国側のボイコットで空席が目立つ
(写真=AP/アフロ)11月24日に行われた「佐渡島の金山」追悼式。韓国側のボイコットで空席が目立つ

はたして本当にそうだろうか。

7月の佐渡鉱山世界文化遺産登録当時、日本政府代表は世界遺産委員会の審議に対して、△佐渡鉱山のすべての労働者、特に「朝鮮半島出身労働者」を誠実に記憶し、△佐渡鉱山の全体的な歴史を包括的に扱う説明と展示施設を強化するための努力を継続し、△毎年追悼式を開催すると約束した。しかし、全世界を対象にしたこの約束は跡形もなく消え去った。

そのわずか4カ月後、地方自治体と民間レベルで開催された追悼式に、日本政府代表は「挨拶」をしに来た。そして「追悼辞」ではなく「挨拶」を述べた。その内容も7月のユネスコでの発表内容には遠く及ばないものだった。当時の発表では「過酷な環境で課された義務に違反した場合、懲役や収監、罰金が科されるなど、不当な扱いを受けた」という事実上の強制労働を意味する内容が含まれていたが、今回はそれが削除されていた。

生稲政務官の挨拶では、犠牲者は「戦争という特異な状況とはいえ、遠く異国の地で愛する家族に会えず、戦後も故郷に戻れなかった気の毒な労働者」と矮小化されていた。7月の発表当時に触れられた「危険な事故で死亡し、月平均28日間働く過酷な労働の中で逃げ出して捕まると刑務所に収監された朝鮮人」は、今回の発言では「佐渡鉱山の輝かしい歴史を築いた人々」に変えられていた。

今回の日本政府代表の挨拶には、7月当時に発表された苦痛を伴う状況を正確に反映した表現は一切なかった。謝罪や反省もなかった。ただ彼らの努力への敬意と亡くなった方々への哀悼のみが述べられた。

また、当時鉱山の採掘業務に動員されたのは朝鮮人だけではないが、不足した労働力を補うために動員された「無宿人」(逮捕された住所不明者やホームレスに準ずる表現)と、日本の国権侵奪によって強制動員された朝鮮人を同列に扱い、なぜ1500人近い朝鮮人が日本で苦しんだのかをわからなくするような表現で問題を薄めた。

「佐渡島の金山」の道遊坑
(写真=ソ・ギョンドク教授)「佐渡島の金山」の道遊坑

さらに挨拶の最後には、新潟県と韓国のハロウィン祭りを取り上げ、日韓文化交流へ話題を転じた。このような理解しがたい思考の流れは、発言者も、聞き手も、佐渡鉱山の歴史も、今回の追悼式の意義もまったく理解していない印象を与えるには十分だった。

もし、このような基本的事実すら知らずに追悼式に臨んだのなら「職務怠慢」であり、知っていてこのような発言をしたのなら「無能」だ。それでもないなら、意図的であったとしか考えられない。

現在の日韓間の対話の反省と改善の必要性

7月に日本政府代表が全世界に向けて約束した△日本政府による追悼式の開催、△朝鮮人労働者への誠実な記憶、△4カ月間の展示施設改善への努力は見当たらなかった。

これにより、韓国は日本の約束不履行を指摘せざるを得なくなり、今後、日本が他の世界文化遺産登録を希望した際に韓国の同意を得るのはさらに困難になるだろう。このような状況にもかかわらず、日本は問題の深刻さを理解していないように見える。

事態がここまで悪化したのは、日韓双方に反省が必要だ。韓国が追悼式に不参加となった理由が政務官の靖国神社参拝に焦点を当てられ、メディアは参拝の真偽をめぐる論争に終始し、本質が見失われた。

また、日本政府関係者の認識を見るに、日韓外交当局間の対話も表面的なレベルにとどまっていたように思われる。

追悼式関連業務の担当部署が変更され、日韓関係の敏感さを考慮して十分にコミュニケーションを取るべきだった外交部も内部での連携が十分でなかったと考えられる。政府レベルでのコミュニケーションが難しいのであれば、民間または民間レベルでの発信も十分であるべきだったが、これすらも十分に行われていなかった。

今回の事態を通じて、現在の日韓関係がどれだけ不安定な基盤の上に成り立っているかが改めて確認された。2023年以降の日韓関係改善の流れのなかで、多くの会議が再開され、多くの対話が行われているとはいえ、本当に重要な部分について率直に話し合われているのかは疑問である。もしかすると、良い雰囲気を壊したくないという思いから、困難で不愉快な話題を避け、明るく楽しい話題ばかりをしていたのではないだろうか。

歴史問題についてはいわなくてもわかる、あるいはどうせ同じ話になるだけという安易で無責任な考えを持っていたのではないか。さらに、韓国は日本に十分に伝えたのか。日本は十分に知ろうと努力したのか。そして、両国政府は国民に説明する責任を果たしたのか。

今からでも真摯な反省と省察、そしてより良い方向への改善が求められる。

傷だけが残った不完全な追悼式ではあったが、この事態を教訓として、次回の追悼式では犠牲者の魂を慰め、遺族の痛みを癒すために、両国政府の真心と誠意が込められた完全な追悼式が行われることを願う。

(記事提供=時事ジャーナル)

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