「患者が主役に」 死亡事故から10年、ある大学病院が進める改革

病院敷地内に2020年に設置された「誓いの碑」。反対側には、医療死亡事故が多発したことの反省と再発防止への決意を記したプレートが張られている=2024年11月13日、清水健二撮影

 10年前の2014年11月、肝臓や膵臓(すいぞう)の手術を受けた患者が相次ぎ死亡していたことが発覚した群馬大病院(前橋市)が、事故を教訓として先進的な医療安全対策に取り組んでいる。キーワードは「患者参加」と「共同意思決定」。そこからは患者と医療者の新しい関係性が見えてくる。

自分のカルテを病棟の端末で

 「当院では、患者さんがご自身のカルテを見ることができます」。群馬大病院に入院した患者全員に渡される冊子の冒頭に、こんな案内がある。

 カルテは患者の個人情報として請求すれば本人に開示されるが、群馬大病院はそれを一歩進め、19年度から入院患者が最新のカルテや検査記録、診断画像などを院内のパソコンで見られるようにした。国内の大学病院では初の対応だ。

 閲覧を希望する患者は、病院からIDとパスワードをもらい、病棟の各階に置かれた端末からアクセスする。ベッドサイドで使えるノートパソコンを借りてもいい。表示される情報は医療スタッフが見ているものと同じ。年度内に、退院した外来患者にも対象を広げる予定という。

 病院の近くに住み、複数の診療科を受診したことがある女性(68)は「患者に見せられるカルテを残しておいてくれるのは、安心材料になる」と歓迎する…

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