世界史を学ぶうえで,アメリカ合衆国の州のうち重要なものは,位置・主要都市・関連する事件などを把握しておく必要があります。
今回,アメリカの地方と州のマップを制作したので,それも使いながら世界史の学習において重要なアメリカの地方と州を紹介します。
なお,今回はアメリカの全体を扱いますが,特に重要な州は改めて別の記事で紹介しようと思っています。
全体
アメリカ合衆国の領域は,大きく分けて,①北東部・②南部・③中西部・④西部・⑤その他,という5つの地方(region)に区分することができる。さらに,その地方の内部は2~3の地区(division)に分けることもできる。
そして,それら地方あるいは地区のなかに,合計50の州が存在する。
まず,5つの地方(region)の区分を,地図を見ながら大まかに把握しておくとよい。(地方の内部の地区(division)については参考程度でよく,覚えなくてもかまわない。)
そのうえで,その地方のなかで特に重要な州を確認し,それから,必要に応じてその州に存在する都市などの地点を把握するとよいだろう。
大学受験や高校の世界史の上では,特に北東部と南部に重要な州が多く集まっているが,中西部・西部・その他でも特定の歴史的事件との絡みで重要な州がある。
そこで,北東部・南部を重点的に確認し,中西部・西部・その他は重要な州をピンポイントでおさえるとよいだろう。
なお,この現在の区分は,イギリスの13植民地時代の「北部(ニューイングランド)」・「中部」・「南部」という区分とは異なるので,注意しておく必要がある。
13植民地時代の「北部」・「中部」は現在の北東部に含まれており,「南部」は現在の南部の沿岸部となっている。
以下,地方ごとに特徴や重要な州を紹介していく。
北東部
北東部は,アメリカ合衆国の北東部,大西洋岸のうち北部に位置する地方である。この北東部はさらに,北東のニューイングランド,西南の中部大西洋岸の2つの地区に分けられる。
イギリス植民地時代の初期から形成されてアメリカの政治・社会・文化などをリードしてきた地方で,世界史の学習においても最重要となる地方である。
マサチューセッツ・ニューヨーク・ペンシルヴェニアなどがこの地方の代表的な州で,植民地時代・独立戦争期などのアメリカの初期に活躍した地域が多いが,現在でもアメリカの経済・文化の中心地となっている。
南部
南部は,アメリカ合衆国の南東部にあたる地方である。さらにこの南部は,東から順に南部大西洋岸,東南中部,西南中部の3地区に分けられる。なお,首都のワシントンD.C.はどの州にも属さない特別市であるが,位置としてはこの南部に存在している。
大西洋に面した南部大西洋岸の州は初期からアメリカの歴史において重要な役割を果たしたが,黒人奴隷を使用して奴隷制を擁護した地域であって現在もその影響が残っている。
大西洋岸のメリーランド・ヴァージニア・ジョージアは初期から重要な役割を果たし,フロリダ・テキサスも領土拡大の過程において重要である。また,黒人奴隷制を維持を主張して南北戦争で南側(アメリカ連合国)についた国は,全てこの南部に属している。
中西部
中西部は,アメリカ合衆国本土の中北部にあたる地域である。中西部はさらに,東側の東北中部と西側の西北中部の2つの地区に区分される。
高校世界史ではそれほど有名な州は多くないが,西部開拓が早くから展開された地域であり,それもあって奴隷制をめぐる南北対立に関係する州が多い。
ミズーリ・カンザス・ネブラスカは,ミズーリ協定・カンザス・ネブラスカ法などで,いずれも奴隷制をめぐる南北の対立の焦点となった地域である。
西部
西部は,文字通りアメリカの西部,太平洋側にあたる地域である。太平洋に近い西側の太平洋岸と,内陸寄りで山岳地帯の多い山岳部の2つの地区に分かれる。
アメリカ人が西部開拓の最後に到達した地域で,メキシコやアジアとの関わりも強い。高校世界史では有名な州は少ないが,わずかながら重要な州は存在する。
何といっても一番重要なのはカリフォルニアで,メキシコから獲得したこと,ゴールドラッシュが起こったこと,自由州・奴隷州をめぐる対立が起こったことなど,中国・日本などからの移民が到来したことなど,世界史と大きく関わり,現代でも映画やIT産業の世界的中心として有名である。このほか,ニューメキシコもカリフォルニアと同じくメキシコから獲得したことを知っておくとよい。
その他
アメリカ合衆国の本土以外の場所に存在する州としては,アラスカとハワイがある。現在のアメリカの行政上はこれらも西部の一部として扱われることが多いようだが,世界史の学習のうえでは他の地方とは異なる特別な州として見た方がよいだろう。
アラスカ・ハワイは,いずれもアメリカの領土拡大の文脈で重要である。また,もちろん,ハワイは太平洋戦争においても重要な舞台となった。