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2024.08.20 05:00

小社会 アラン・ドロン

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 1983年の秋、フランスから大物人気俳優が来日した。当時、中学生だったが、テレビの情報番組が盛り上がっていたのを覚えている。そう、映画「太陽がいっぱい」で知られるアラン・ドロンさん。

 人気の理由は演技力だけでなく、甘いマスクにもあった。来日の記者会見ではマスコミ関係者も興奮状態だったらしく、こんな質問をしている。「どうすればそのような魅力的な男性になれるのか」

 この来日では、ドロンさんの意外な一面も見ることができた。広島の平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花した。人類が「悲劇を繰り返すことのないよう、心から祈っている」。地元の中国新聞が当時、本人の談話を伝えている。

 子どもの頃は家庭環境に恵まれず、17歳で海兵隊に入隊。インドシナ紛争に出兵した。外国放浪の旅も体験した。映画評論家の故水野晴郎さんが、かつてテレビで解説していた。「太陽がいっぱい」の主人公の人物像は「アラン・ドロン自身の青春像とダブっている」。

 俳優として成功後も私生活では話題に事欠かない人だったが、本当は穏やかな世の中や暮らしに憧れていたのかもしれない。ドロンさんの訃報が伝わった。波瀾(はらん)万丈の88年だった。

 来日会見に話を戻す。魅力的になる方法について当人はさらりと言ってのけた。「それは努力と心の持ち方です」。やはり、どこまでも格好いいのが名優アラン・ドロンである。

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2024.11.27 17:11

【高知ユナイテッドの足跡1】伝統継ぎJFLに参戦~高知新聞紙面で振り返る

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12月1、7日にJ3入れ替え戦
 JFLの高知ユナイテッドSCが12月1日と7日、J3昇格を目指して入れ替え戦に挑みます。これまで高知Uを応援してきたサポーターはもちろん、昇格争いを機に声援を送り始めたファンと共に、チームの歴史を振り返りたいと思います。第1回は発足からJFLホーム初勝利までを追います。
関連記事1【高知ユナイテッドの足跡2】J1勢撃破して日本中を驚かす
関連記事2【高知ユナイテッドの足跡3=終】サポーターの声援が背中押す

(1)アイゴッソ高知と高知Uトラスターが統合
 高知Uは2016年、いずれもJリーグを目指していたアイゴッソ高知と高知Uトラスターが統合して発足した。

(2)土佐闘犬のまわし、黒潮の波
 エンブレムは鳴子を中心に据え、土佐闘犬のまわしをイメージさせる綱と、黒潮の波が取り囲むデザイン。中央には勢いよく跳びはねるカツオも描かれ、鳴子の下部分の曲線は足摺岬から室戸岬までの海岸線を表している。ロゴはローマ字。「UNITED」のIとTがつながっており、これは、チームの前身である高知アイゴッソの「I」と高知Uトラスターの「T」を組み合わせて表現、協力や合併の意味を込めた。

(3)2チームの伝統を引き継ぐ
 ユニホームは、アイゴッソの基調カラーだったえんじ色と、Uトラの緑のストライプ柄。「二つのチームの伝統を引き継ぐ」(宮地貴嗣代表=当時)という思いを込めた。アウェーは白とグレーで、GKは黄(ホーム)、青(アウェー)を採用。

(4)西村昭宏監督が退任
 2016年12月12日、高知市内で西村昭宏監督の退任と大谷武文ヘッドコーチの新監督就任会見。西村監督は…

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2024.11.30 05:00

小社会 本屋さんへの支援

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 今更ながら、町なかの本屋さんが減った。中高生の頃、学校帰りに立ち寄った片桐書店。弊社の旧社屋前にあってお世話になった冨士書房。いずれも店舗を閉めて10年余りになる。

 作家の池澤夏樹さんが「日本の名随筆 本屋」に、本という商品の特殊性を書いている。とにかく多品種少量販売。洗剤と違って、これがないからこっちで間に合わせる、というわけにもいかない。客は「大量の中から目指す一点を見つけ出すのが大変なのだ」。

 ただ、書店でも図書館でも、「目指す一点」の隣で良い本が待っている場合もある。筆者も寺田寅彦博士が正月の雑感を記した本を目当てに足を運んだのに、隣にあった全集の雑煮の随筆が気に入って当欄で紹介したことがある。隣の本との出合いも「本の森」の魅力だ。

 経済産業省はことし、書店の振興に向けたチームを立ち上げた。全国で書店のない市町村は28%近い。高知は44%。1店舗だけの「無書店予備軍」を合わせると7割に上る。地域の文化拠点が消えゆく危機感は強いようだ。

 とはいえ、インターネット通販の定着や地方の人口減も絡む。さらに文化庁の調査では、6割の人が月に1冊も読まないご時世。経営者には「書店が支援されたからといって読者が増えるわけではない」という見方もある。なかなか一筋縄ではいかないテーマだろう。

 国はどう具体策を探っていくか。「隣の本」ファンとして気になる。

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2024.11.30 05:00

【所信表明演説】国会軽視を改める機会に

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 重要政策で満足な説明や議論を省く国会軽視が続いてきた。しかし、衆院選大敗に伴う少数与党内閣ではそうした姿勢は通じない。国民の批判を受け止め、国会と真剣に向き合うことが基本だ。
 石破茂首相が所信表明演説を行った。首相は選挙結果を踏まえ、幅広い合意形成が図られるよう取り組む考えを示した。民主主義のあるべき姿を、多様な国民の声を反映した各党派が真摯(しんし)に政策を協議し、より良い成案を得ると位置付けた。
 10月の就任後初の所信表明演説では、国民の納得と共感を得ると訴えた。だが有権者の反応が冷ややかだったのは衆院選の結果で明らかだ。解散前に野党と論戦を交わす予算委員会を開催する必要性に触れながら、早期解散が有利という声に押されて実施せずに解散に踏み切った。本格論戦を避けた失望は大きい。
 もちろん、それだけではない。安倍政権からの1強政治の弊害に対して厳しい視線が向けられた。岸田政権下では国家安全保障戦略の見直しや防衛費の大幅増額、原発回帰が国民的議論を欠いたまま進んだ。自民党派閥裏金事件が発覚しても全容解明に取り組む姿勢は乏しく、「政治とカネ」問題を解消できないことが政治不信を膨らませた。
 首相は政治資金規正法再改正などについて、必要な法整備を含め年内に結論を示す必要があると述べた。政策活動費の廃止、政治資金に関する必要な監査を行う第三者機関の設置などを挙げる。立憲民主党などは企業・団体献金禁止を突き付ける。合意形成は簡単ではなく、中途半端にとどまれば信頼は高まらない。
 年収103万円を超えると所得税が生じる「年収の壁」は、2025年度税制改正で議論し引き上げると表明した。手取り増や深刻な働き手不足解消の一助になる期待がある。
 一方で国民民主党の要求を丸のみすれば税収の大幅減を招く。自治体に不安が広がるが、穴埋め策は明確にならない。来年夏の参院選を控え、地方の反発は避けたいのが本音で、首相が最重要課題と位置付ける地方創生にも影響しかねない。調整に困難を伴うことは必至だ。
 経済対策の裏付けとなる24年度補正予算案は緊急性に乏しい施策も盛り込まれた。税収は過去最高となる見通しだが財政状況は悪化する。丁寧な審議が求められる。
 外交・安全保障政策では、安保環境が厳しくなる中、抑止力・対処力を強化しつつ、各国との対話を重ねて望ましい環境をつくり出すと主張した。トランプ次期米大統領と率直に議論し、日米同盟をさらなる高みに引き上げるとする。国民への説明を優先すべきことだ。
 石破政権には与党の過半数割れに加え、首相の党内基盤の弱さがのしかかる。首相が望む「国民の後押し」をどう獲得するかが政権運営の鍵となる。
 対する野党も一枚岩になれないが、有権者の選択に応える責務がある。課題は多い。議論を深める姿勢が不可欠だ。

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