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新しい事業創出のヒントはスタートアップにあり! ~著者に聞く、今こそ知りたいスタートアップの世界~(全3記事)

オンラインゲームのオークションサイトで何もせず月収1,000万円超 『図解・ビジネスモデルで学ぶスタートアップ』著者の起業人生

最近では、これまで続けてきたことから脱却し、アントレプレナーシップ(起業家精神)を持って新しいビジネスを生み出す環境を創っていくことが重視されています。本イベントでは、『図解・ビジネスモデルで学ぶスタートアップ』の著者である池森裕毅氏が登壇。本記事では、同氏の起業家としての人生遍歴や、2種類の起業のスタイルについてお伝えします。

『図解・ビジネスモデルで学ぶスタートアップ』の著者が登壇

西舘聖哉氏(以下、西舘):最初は池森さんのご講演ということで、池森さん、よろしくお願いいたします。

池森裕毅氏(以下、池森):はい。よろしくお願いします。みなさん初めまして、池森でございます。

ではさっそく私の講演をさせていただきます。本日は「スタートアップとは」というテーマになっています。内容はけっこうシンプルで、最初に軽く10分~15分ぐらい私の自己紹介をさせてください。

その後に「そもそもスタートアップってなんですか」というスタートアップの定義についてお話します。最後に、私がいつも言っている「起業にはこういうマインドセットが必要なんだよ」というお話をしようかなと思っています。

さっそく私の自己紹介ですが、ペライチで軽くすませますね。私は池森と申します。今、株式会社tsamという会社の代表をやっています。あとStoked capitalという小さなベンチャーキャピタルも運営しています。ほかの肩書きとしては、独立行政法人の中小企業基盤整備機構のアドバイザーや、情報経営イノベーション専門職大学の客員教授もやっています。



私は1980年生まれで、大学を中退した後に起業しました。4社を立ち上げて、今、2社売却しているのかな。今はスタートアップの支援事業を行っています。というわけで、今日は少し私の生き方についてお話しようかなぁと思っています。

オンラインゲームで毎月30万円稼ぐ学生時代

池森:このコンテンツはあまり外に出すことはないんですが、実は私は千葉県柏市で生まれて、千葉県松戸市で育ちました。千葉県市川市にある中学校・高校の一貫校で育ちました。趣味はサッカーと読書です。ほら、学生時代に体育の時間だけ騒がしくて、あとは寝ているような学生はいませんでしたか。あれが、まさに僕です。

中学生の時、僕の机の位置がどこにあったかというと、一番前の教卓の前じゃないんです。教卓の隣にあるんですよ。もう教卓の隣にくっつけられて、「うるさいから、ここに座れ」と言われ、そこでずっと勉強させられていたような子どもでした。

そんな子どもだったんですが、東京理科大学に行きまして。僕が大学に入った頃の1999年~2000年に、アメリカでオンラインゲームができたんですよ。アメリカサーバーで遊んでいたら、オンラインゲームにはまってしまいまして。

大学には通わず1日20時間ひたすらオンラインゲームをする生活を送っていました。オンラインゲームで手に入れたアイテムやお金を、日本円で売却していたんです。オンラインゲームをやったことがある人はいますか。学生やニート、主婦は強いんですよ。時間があるから強い武器を持てるんですね。



でも社会人は強い武器を持てない。その代わり社会人は働いているから日本円を持っているじゃないですか。だから僕は社会人の友だちに、強い武器を売りまくっていたんです。そうやって小遣いを稼いで遊んでいました。結果3年間で(大学の)単位が11個しか取得できずに中退する状況になります。でも僕は転んでもタダじゃ起きない性格なので……。

ちなみに大学生の時、このオンラインゲームで毎月30万円ぐらい稼いでいたんです。そこで次に何をしたかというと「これをビジネスにしたらいいんじゃないの」と思って。オンラインゲームのアイテムとお金を売買できるオークションサイトを作りました。今で言うメルカリですね。

オークションサイトを作り、何もせず月に1,000万円以上稼ぐ

池森:メルカリみたいなものを作ったら会員数だけで10万人を超えて、広告収入だけで月に500万円ぐらい入るようになりました。仲介手数料が500万円とか800万円も入っていたので、なにもしなくても月に1,000万円以上稼ぐ、ほくほくな状況です。お金と時間に余裕ができたので、次にやったのは婚活です。



これが2011年なんで、31歳ぐらいですね。さすがに「もう遊び尽くしたので結婚しよう」と思ったんですが、当時なかなかいいシステムがなくて。微妙に使いどころが悪いサービスばかりで、いい結婚サービスがないなと思っていたんです。そこで2社目の起業です。



婚活サイトを作ろうと思って。「良いものがないなら、自分で作っちゃえ」という話で、婚活会社を作りました。ベンチャーキャピタルや個人投資家から出資を受けて、事業を開始しました。

この時点で2つの会社を経営していたんですが、さすがに2013年ぐらいに疲れてきたので、両社とも売却しました。2014年頃には売却が終わって、ある程度のお金が手に入ったので、六本木でゆっくりする生活を4年ぐらい続けました。


「30分500円」のコンサルから始まり、3社目を起業

池森:その間に海外をぶらぶら放浪して60ヶ国ぐらいバックパッカーで回ったり、小説を書いて新人賞に応募して最終まで残ったり。そんな生活もそろそろ飽きてきたので、趣味でコンサルを開始したんですよ。

インターネットで「30分500円でコンサルします」と告知したんです。当時2014年〜16年あたりでこんなことをやっている人は、ほかにいなかったんですね。またたくまにネットでバズりまして。「おもしろいやつがいる」とけっこう人気になりました。



人気になって依頼が殺到すると、金額も30分500円から1,000円、3,000円、5,000円と少しずつ上がってきまして。2~3年後の2017年には顧問の依頼も入ってきました。当時時給1万5,000円ぐらいでした。

そうこうするうちに顧問の売上が1,000万円から2,000万円を超えるようになったので、「これはまずい」と慌てて法人化し、3社目を起業しました。これが今の株式会社tsamでございます。



tsamは顧問業務が順調なので2019年に法人で設立して、コンサルで有名になりました。自治体に招かれ「メンターとして入ってくれ」と依頼を受けて、今、全部で25個ぐらいの自治体のプログラムをやっています。

「30代高卒大学教授」というパワーワード

池森:あと審査員も5、6個ぐらいのプログラムでやっています。審査員をやっているとけっこう評判になって、大学の客員教授に招かれて。そうなんです。僕は一時期「30代高卒大学教授」というパワーワードを持っていました。

その後、経済産業省近畿経済産業局に呼ばれ「ちょっと一緒に事業をやろうよ」と事業を始め、中小機構のアドバイザーになりました。国会議事堂の衆議院会議に呼ばれて、意見を言ったり。

一昨年ぐらいに、今度は投資ファンドを設立したんです。資金調達の相談が増えてきたので、「1個ぐらいVCを作っておこうかなぁ」と思って。



このVCは規模はそこまで大きくないんですが、現在2年間でだいたい2億円を投資しています。あと年間50件近くの講演と審査員を行いながら過ごしています。先週も今週もやっていますし、来週も3、4件入っているんで、月にだいたい4、5件はこなす状況です。あと書籍も2冊出版しています。

ちなみに婚活サービスでは、自分で自分の婚活サービスを使うわけにいかなかったので、結婚できなかったんですね。でも3年ぐらい前にとてもすてきな方と巡り会いまして、東京ステーションホテルで結婚式を挙げました。これが「私の人生」という最初のコンテンツになります。

起業には2種類のスタイルがある

池森:では本題は「スタートアップとは」に入ります。みなさん、今回は大企業やスタートアップとの協業をテーマにしております。まず基本の機能に立ち返っていただきたいんですが、スタートアップとはそもそもなんですかね。みなさんはどう定義します?

これを説明する時に、まずみなさんに知っておいてもらいたいのがこの図です。実はひとくちに起業と言っても2種類のスタイルがあるんです。1つ目が従来のビジネス、左側のスモールビジネスです。



2つ目がスタートアップ型ビジネスです。どう違うかというと、この図の横軸が時間の経過、縦軸が売上・利益なんですね。

スモールビジネスは一次関数になっています。でもスタートアップ型ビジネスは二次関数になっているじゃないですか。このように成長曲線が大きく違います。この二次関数がアルファベットのJに似ているので、われわれは「Jカーブ」と表現しています。このように成長曲線が大きく違う起業のスタイルがあることをご理解ください。

スモールビジネスは、必ずしも急成長やIPOを目指さない

池森:では、この左側の一般的なビジネスについてお話しましょう。

そもそもスモールビジネスとは何か。これは安定した収入を目指し、持続可能な規模で運営される企業で、急成長やIPOを必ずしも目指さない事業です。これは、あくまで私が定義するスモールビジネスの概要です。安定した収入を目指して持続可能な規模で運営されるものということになります。



例えばオリジナルコーヒーのEC販売は、よくありますよね。地元でオリジナルブレンドのコーヒーを売ったり、オンラインで自分のオリジナルブレンドを売ったりという。

あとはSNS運用代行ですね。Twitter(現X)やTikTok、YouTubeなどで「運用代行をしますよ」とか。アパレル販売もそうです。自分の服を売ったりブランドの服を売ったり、規模の大小は関係ありません。



それからメディア運営、人材派遣、開発・デザイン受託もそうです。これらはすべて基本的にスモールビジネスと呼ばれております。ちなみにスモールという言葉で勘違いされるんですが、スモールビジネスは成長曲線の話で、規模の大小はあまり関係ありません。個人的にはそう定義しています。

成長曲線の傾斜角度もあまり関係がなくて、とにかく一次関数の伸びを全体的にスモールビジネスと、われわれは定義しています。

スモールビジネスの特徴としては、個人や小規模なチームで運営されることが多い。地域密着型のサービスや商品を提供することが多い。利益率よりも安定した収入を重視する傾向がある。自己資金や少額の融資で運営されることが多い。それがスモールビジネスの特徴です。

スタートアップは、資金調達を繰り返して急成長を目指す企業

池森:ではこれとは逆に、スタートアップとは何かを説明しましょう。私が定義するスタートアップとは、先進的なテクノロジーを用いて事業を立ち上げ、資金調達を繰り返すことで短期的な成長を果たし、最終的にIPOや事業売却を目指す企業。これを私はスタートアップと定義しております。



先進的なテクノロジー、つまり新しいテクノロジーやイノベーションを使って、会社を立ち上げます。そして最も特徴的なことはエクイティファイナンス、ベンチャーキャピタルなどから資金調達を繰り返して急成長を目指すこと。そしてIPOやM&Aを最終的なゴールと据えているのが、スタートアップですね。

スタートアップの事業にはどんなものがあるか。例えばメルカリや今、流行りのタイミー、あとはココナラ、パーソナルビジネスですね。こういったものは急成長する可能性がありますので、スタートアップ型ビジネスと表現しております。

スタートアップ型ビジネスの特徴は、イノベーションや技術革新を重視する。短期間での成長と拡大を目指す。リスクテイクが多く、失敗のリスクも高いので、ハイリスクハイリターンです。資金調達を通じて迅速に市場シェアを拡大する。ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの資金調達が一般的。これらがスタートアップの特徴になります。



今の説明で、なんとなくスモールとスタートアップの違いはご理解いただけたのかなと思っております。

今回はざっくばらんに2種類の起業があることだけを覚えて、持ち帰っていただければと思います。まとめるとスモールビジネスとは、安定した収入で持続可能な運営を目指すもの。スタートアップは短期間で急成長を果たし、IPOや事業売却を目的としているものとなります。

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各地方の豪族的な企業とインパクトスタートアップの相性 ファミリーオフィスの跡継ぎにささる理由

社会的インパクトの最前線に触れ、参加者との共創を生み出すことを目指すイベント「IMPACT STARTUP SUMMIT 2024 」が初開催されました。本セッションでは「インパクトエコシステム」と題し、エコシステムの新たな潮流について議論します。本記事では、ファミリーオフィスとインパクトスタートアップの相性の良さについて語ります。

各地方の有力な企業とインパクトスタートアップの相性の良さ

孫泰蔵氏(以下、孫):実は僕もまったく同じ視点でお話ししようと思っていたんです。これは日本も他のアジアの国々も、実はヨーロッパもそうだとこの間確認したんですが、ファミリーオフィスと言われる人たちがいるんですね。

日本で言うと、地方のいわゆる豪族って言われる人たちが、その地域でいろんな事業をやっていらっしゃる。例えばバス会社やタクシー会社のような交通系や、ガソリンスタンドを経営されていたり、小売業をやっていらっしゃったり、製造業界の発祥(の企業)ですとか。

いろいろなものを複合的にその地域でやっていらっしゃる企業って、各地にあって。アジアの各国にも財閥って言われる人たちがいらっしゃるんですけど。実はそういったファミリーオフィスの人たちは、インパクトスタートアップのエコシステムと親和性がすごく高いですし、実際にやり取りをしていて非常に手応えを感じています。

どうしてかと言うと、ちょうど今、代替わりが起こっているんです。創業者はおじいさまとかおばあさまだったりすることが多くて、そこから今、2代目、3代目がちょうど継ごうとしているタイミングなんですよね。日本もアジアも全体的にそうなんですが、今、継ごうとしている3代目の人たちって、だいたい30代〜40代前半くらいなんですよ。

そういった人たちは、もちろん自分たちの事業をアップデートしなきゃいけない。従来のやり方では古くてついていけないから、アップデートしなきゃいけないのは当然あるんですけど。

それと同時に、ソーシャルインパクトや、環境のことや地域のこと、教育とかいわゆる社会的な意義をものすごく意識している世代なんですよね。その2つが両方あるんだけど、どうしていいかわからないところがあって。

実は私たちはインパクトスタートアップの人たちと彼らを(つなげるために)、一緒に投資をするとか、ソリューションとして紹介をすることを通じて、ネットワークをどんどん作っていくことをやっています。

「あなたたちはその地域の担い手でしょう?」「単純に一企業というよりは、もうその地域を代表して、社会をどう盛り立てていくか、どう良くしていくかという社会的義務みたいな責任感をお持ちですよね?」と。

「その時にインパクトスタートアップの持っている技術やアイデア、製品、サービスを使いながらやっていくと、雇用も増えるし、社会的意義や地域の課題を解決できることがいっぱいありますよ。そしてそこで自分たちも事業のイニシアチブを取れますよ」という話をすると、どこの国でもめちゃくちゃ刺さります。

「運用利回りを最優先しなくていい」ファミリーオフィスの優位性

橋本舜氏(以下、橋本):僕もファミリーオフィスの、自己資金で回しているファンドの方と話すんですけど、ファミリーオフィスって、結局ファウンダーズ・ファンドですよね。創業者の自己資金で投資できるファンド。人さまのお金じゃないから、運用利回りを最優先しなくていいと思っていて。

ここにいる起業家の人たちが、みなさんファミリーオフィスのファンドを作って、自分の意思で投資できることがどんどん増えてくると。それはすごく楽しみだなと思っています。

木原誠二氏(以下、木原):泰蔵さんの話で感じることは、地方創生が政府のテーマなんですね。この地方創生っていうのは、岸田政権であれ菅政権であれ安倍政権であれ、これから誕生するであろう政権であれ、共通のテーマなんです。

今までは、地方に予算を回す、税金を回す、国の機関を地方に持っていく、いろんなことをやっているんだけど、フライしないですね。なぜかっていうと、そこにやはりビジネスがないし、ある種のドリームもないし、それから社会貢献するっていう意志もないので。

地方創生は、これからはやはり企業城下町みたいなのを全国に作って、企業の連携で地方を元気にしていく時代だと私は思っています。そういうことを考えた時には、泰蔵さんがおっしゃるとおりで、各地方には有力な豪族的な企業がいる。こことインパクトスタートアップがしっかり連携をして、大きな企業連携体の中で地方を押し上げていくモデルがこれから必要になる。

じゃあ、「それは誰がつなぐのか?」というのを、泰蔵さんみたいな方がやっていただくのは非常にいいけれども、本来は金融機関とかがしっかりやらなきゃいけない。だけど、まだそこが十分意識ができていないので、エコシステムを考えた時は、金融機関の意識向上もこれから非常に重要かなと思っています。

地銀もエコシステムの重要なプレイヤーに

孫:おっしゃるとおりで。実は2023年の暮れに、「日本中の豪族の後継者の方々をお集めした会があるので、泰蔵さん、話をしてくれ」と言われて、行ったんですよ。みずほ銀行が主催で、いわゆるプライベートバンキング部だったんですけど。

特にプライベートバンキングといっても、そういう方々だけを集めた会合をやって、勉強会を継続的にやっていらっしゃるらしくて。それで僕がそういう話をしに行ったら、めちゃくちゃ刺さっていました。「ぜひもっと具体的な話を聞きたいし、具体的な会社を紹介してくれ」と言ってくださったんですよね。

彼らもまだ、継ぐといってもやはり実績を作らないと正式な後継者になれないみたいなところがあって。そういう意味で彼らを後押しすることにもなるんですよね。なので、「どんどん実績を作れるように君たちを応援するから、一緒につるんでいきましょう」と、僕は言ったんですけど。

おっしゃるとおり、地銀さんもいっぱいいらっしゃるから、金融機関がその橋渡しをうまくできるはずなので。そういうふうになるといいですよね。地銀もエコシステムの重要なプレイヤーになるべきだなと思います。

篠田:この話題を私が投げかけた時は、ちょっと思いもしなかったこと、中でも「地方の豪族のような企業さんとか、それを支える金融機関、あとその地域の自治体もエコシステムの中のすごく大事なプレイヤーだよ」というところが浮上してきました。いかがですか?

橋本:そうですね。我々の製造委託している日本トップ10の売上のパンメーカーの方々も、みなさん、地方の雄の方々ですね。次の社長になられるであろう方が、今40代くらい。

篠田:さっき岡田さんが言っていた、要はミレニアル世代からもっと若いくらいの世代。

橋本:まぁ、そうですね。僕からすると10歳くらい上なんですけど、そういう人たちがもう専務とかをやられていて、やはり意気投合してやっているケースがけっこうありますね。

篠田:そうか。じゃあそこは、橋本さんたちも実感があるところなんですか?

橋本:そうですね。特に製造業っていうのは、東京本社じゃない会社がほとんどだと思うので。例えば愛知だったり九州だったりするので、そういった意味では全国の方々とご一緒する機会は増えましたね。

セールスフォース創業者が鏡の前でやっている習慣

篠田:ありがとうございます。もっとお話をうかがっていきたいんですが、最後に4人それぞれから、「インパクトスタートアップのエコシステムが王道として定着し、さらにその先に行くのに、ご自身は何を仕掛けていきますか?」というところをおうかがいしてクロージングにしたいなと思います。順番はお任せします。

橋本:僕からいきます。エコシステムを設計していくこともすごく大事だと思っているんですけど、やはり山の頂上を示し続けることもすごく大事だと思っています。それを10年、20年、30年言い続けることは、僕でもできると思っているんですよね。

だから僕は、やはりミッションである、主食で栄養バランスが取れたり、品目のバランスが取れたら「健康はあたりまえになる」というのに近づくと、ひたすら言い続けることで、そういう化学反応ができてくる。

やはりそこの粘り強さみたいなものも必要だと思っているので、スタートアップだから5年、10年で終わりじゃなくて、そこはやり続けられればいいなと思いました。

篠田:ありがとうございます。メッセージを出し続けるのだというお話でした。次は岡田さん、お願いします。

岡田光信氏(以下、岡田):みなさん、マーク・ベニオフってご存じですか? Salesforceのファウンダーなんですけども、今時価総額20兆(円)とかいっていると思うんですけど、1代でそこまでいっているんです。

彼とダボス会議で会った時に、「毎朝何をやっているんですか?」と聞いたら、「鏡に向かって自分の会社のミッションをしゃべっている」と言っていました。「それって、毎日一緒じゃないですか?」と言ったら、「一緒だ」と。「でも、鏡を見て自分にしゃべっている時に、ちょっとでも自分の声にぶれがあるとわかる」と言うんですよね。

自分が1ミリずれると、社員は100キロずれるから、とにかく自分が完璧にこのミッションを信じているっていうのを、ちゃんと毎朝作る。場合によってはミッションを直すことをやっていると言っていて。僕は、ミッションを言葉にして自分に言って、それを信じて動くことが基本じゃないかと思っています。

篠田:それを聞かれて、その後ご自身の行動は何か変わりましたか?

岡田:実際にやってみて、自分で鏡に向かって5秒以内でしゃべるんですけど、もうめっちゃ恥ずかしいですよ。すごくドキドキしますから、やってみてください。モヤモヤしたものが、言葉にするとはっきりします。

政治家が一番力を発揮できるのは「税制」

篠田:とにかく言葉にするということですね。では次、木原さん、いいですか?

木原:泰蔵さんに最後をお任せしたいと思うんですけど、私は政治家というか政府にいるメンバーなので、政策的にみなさんをしっかりサポートする役割だと思います。ただ、その時に大切なのは、政府がなんでもできるわけじゃないってことを、しっかり我々自身が認識しておくことだと思っています。

というのは、明らかに日本の財政は厳しいし、余力がないし、課題発見はできても解決のソリューションを政府が出せるかというと、出せない。そういう自分たちの限界を感じながらみなさんをしっかりサポートしていくことが、王道が根付く一番重要なことかなと思っています。

2つ目は、やはり最初のカスタマーは政府であり、地方自治体であるべきで、「自分たちが最初にみなさんの顧客になる」という意志を持ち続けることだと思うので、それはこれから政府の中で徹底していきたいと思っています。

篠田:ありがとうございます。ちなみにもし、木原さん個人がインパクトスタートアップというテーマの中で、これをやってみたいとか仕掛けてみたいなってものがおありだったら、お話しいただけますか?

木原:やはり政治家が一番力を発揮できるところは、税制なんですよね。先ほど規制っていう話がありましたけど、規制はみなさんに作っていただけるかもしれないけど、税だけは政治、議会、そして選挙の中でしかできないので。「こういう税制にしてほしい」とか「ここが使い勝手悪い」というものがあったら、どんどん言っていただいて、それを1つでも2つでも前に進めたいと思います。

偶然会った喫茶店で投資や連携が決まるシリコンバレー

篠田:木原さん、ありがとうございます。では泰蔵さん、お願いします。

孫:今日ここにいらっしゃっているみなさんは、実際やっていらっしゃるか、非常にこういうことに関心が高い方だと思うので。

今日みなさんの共通のメッセージとして、今はまだオルタナティブとかマイノリティっていう自覚があるかもしれないんですけど、自分たちこそメインストリームなんだっていう自覚を持ってほしいと。

本当にみんなが言うように、自分たちが立てたアジェンダやミッション、ゴールは、そんなすぐに達成できるものじゃないと思うんですよ。だからもう自分の大事な人生、10年とか20年とかかけても惜しくないテーマを、ぜひ選んで邁進してほしいなと。僕が「王道か!」と言えるくらい王道を進んでほしいなと。

(会場笑)

孫:それが言いたかっただけなんですけど。僕としては、実際何に取り組むかってことで言いますと、今日本だけじゃなくてアジアで取り組んでいるんですが。先ほど言ったように、例えば投資家と起業家もそうですし、実際に作ったものを社会に実装してくれる仲間とか、政府とか、いろんな人たちがいるんですよ。

例えばシリコンバレーって超小さいんですよね。そういった人たちが小さなところに全員いるから、もうそのへんの喫茶店に入ったら「おぉ」と言って会えるんですけど、アジア全域だとなかなか会えない。

たまたま会えたら話が盛り上がって投資してもらったとか、提携が決まったとかあるかもしれないですけど、たまたますぎるので。機会損失がすごく大きいと僕は思っていて、新しい化学反応がガンガン生まれる仕組みを実はずっと考えてきています。ついに今、実装している途中なんです。

AIが起業家と投資家をマッチング

孫:それは何かというと、AIを使って起業家と投資家とかいろんな人たちをマッチングします。AIに自分たちが持っている情報やデータを入れると、AIエージェント同士が話し合ってくれて、「あなたの会社はこの会社と会うべきだ。この投資家と会うべきだ」とマッチングをしてくれる仕組みが、今もうベータ版までできていまして。

実際、日々使っているんですけど、めちゃくちゃ便利なんですよ。自分で言うのもなんだけど、「俺が使いたい!」と思うものができつつあるので、それを徐々に開放していこうと思っています。

孫:それがあることによって、同じ話をいろんな投資家に毎回説明しに行かなくてよくなりますし。応援する側は、「自分が応援したいのはこういう会社だ」というのがあれば、パッと見つかる仕組み。それができることによって、より多くのすばらしい出会いが生まれ、イノベーションが加速する。その仕組みを、プラットフォームを作っています。

このプラットフォームは無償で、オープンソースみたいなパブリックなコモンズとして提供していこうと思っているので。それを2024年はがんばろうと思っております。

篠田:ありがとうございます。みなさんも、私も含めて、今日お話しくださった橋本さん、泰蔵さん、木原さん、そして岡田さんに「私が今取り組んでいるミッションはこれです。ちょっと聞いてください」ということを、まずお伝えしたいなと思いました。

ぜひみなさんも交流する中で、お互いに言葉を研ぎ澄まし、視座を高め合って、一緒にインパクトスタートアップをより王道にしていけたらと思いました。パネリストのみなさんにぜひ盛大な拍手をお願いいたします。

(会場拍手)

一同:ありがとうございました。

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