自由な対話続け20年、学術フェス「カルタイ」 原点は権威への反発

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藤谷和広
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 会場にはアート作品が飾られ、ラップが流れる。既存の学会やシンポジウムの形式にとらわれず、さまざまな立場の人が自由に集い、対等に対話する「学術フェス」がある。「カルチュラル・タイフーン(カルタイ)」。専門分野の垣根を越えて、いまの社会のありようについて意見が交わされた。

 9月上旬、早稲田大学東京都新宿区)で、20回目となるカルタイが開かれた。今大会のテーマは「新しい戦(中)前とフェミニズム」。戦争とジェンダーを主な切り口に、映画、音楽、小説、マンガ、ファッション、SNSのほか、社会運動や労働問題など様々な分野のシンポジウムや発表が行われた。

 トランスジェンダーに関するシンポでは、「トランスジェンダー入門」(集英社新書)を著した高井ゆと里さんらが登壇し、当事者の言葉や文学作品を通じて、連帯と抵抗の歴史について語り合った。

 性的少数者への差別やいじめが深刻な社会問題となるなか、6月にLGBT理解増進法が成立した。だが、国会議員からは当事者への偏見を助長するような発言が相次ぎ、「全ての国民が安心して生活することができること」という留意事項が加えられた。こうした政治状況に、司会を務めた文学研究者の岩川ありささんは「徹底的にあらがっていきましょう」と訴え、「どうかみなさん、生きて下さい」と呼びかけた。

 「消される言葉/想起する表現」と題したシンポでは、美術家の飯山由貴さんによる映像作品《In-Mates》を上映した。戦前に東京の精神科病院に入院していた朝鮮人患者2人の診療記録に残された言葉を、在日コリアンでラッパーのFUNIさんの歌にのせて伝える内容だ。この作品は、東京都の外郭団体が主催した企画展で上映が中止されており、その経緯や、作品に込めた思いなどを2人が語った。上映後には、FUNIさんが実際にパフォーマンスを披露。聴衆は拍手と掛け声で応じ、教室はライブ会場のようになった。

 受付に女子学生、仕切るのは年配の男性教授――。カルタイは、そんな権威的な学会への反発から、文化を通じて社会を分析する学問分野「カルチュラル・スタディーズ(CS)」の中堅・若手研究者が中心となり、2003年に始まった。

 成城大教授の山本敦久さん(…

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この記事を書いた人
藤谷和広
くらし報道部|厚生労働省担当
専門・関心分野
災害、民主主義