今回は、ジャパニーズクラフトウイスキーから、サクラオ ブルワリーアンドディスティラリーの「シングルモルトジャパニーズウイスキー 戸河内」を飲んでみます。

「戸河内」のシングルモルト

DSC_1515_01今回のボトルを手がけるサクラオ ブルワリーアンドディスティラリー(旧:中国醸造)は、元々日本酒や焼酎を中心に製造、販売を行ってきた企業で、広島県廿日市市に本社があります。

日本酒においては、「一代」の銘柄を長らく用いていましたが、現在は「一代弥山」の銘柄となり、より上質な日本酒を手がけています。

2000年代に入って、本格的なジン、ウイスキーの製造に進出することとなり、2000年代後半には、スコットランドからバルクウイスキーを輸入し、安芸太田町戸河内にあった鉄道トンネル跡地を貯蔵庫として再利用、そこでウイスキーを熟成した「戸河内ウイスキー」を販売しました。


2017年に桜尾蒸溜所を建設、翌年には「桜尾」ブランドのジンを製造、販売。
そしてウイスキー用のポットスチルを導入し、ウイスキーの製造にも着手、2022年にシングルモルトウイスキーとして「桜尾」と「戸河内」をリリースしました。

桜尾と戸河内の違いは、熟成に使う樽と、蒸留後の熟成の場所です。
「桜尾」は4種類の樽の原酒を桜尾蒸溜所の近くの貯蔵庫で3年以上熟成、「戸河内」はバーボン樽原酒を戸河内貯蔵庫で3年以上熟成したモルトを使っています。


テイスティング

グラスからの香り、液色

グラスからは、パイナップル、オレンジ、ナシの香りが広がります。
液色はシャンパンゴールドです。

ストレート

アルコールの刺激の後、パイナップルとナシ、オレンジの香りが続きます。その後スモーキーな香りも得られます。

味わいは、アルコールからの辛みが強く、その後は酸味、軽い苦みが全体に広がります。

ロック

スモーキーな香りが更に強く広がります。その後、ラムレーズン、パイナップル、オレンジの香りと続きます。

味わいは、苦みが前に来るようになり、酸味が後からついてきます。甘さはかなり控えめです。

ハイボール

ナシの香りが先にやってきて、かすかにパイナップルの香りが続きます。
味わいは、酸味がメインとなり、軽い苦みが後からついてくる印象です。レモンを加えなくてもサッパリしている印象です。

バーボン樽原酒でも個性の目立つボトル

バーボン樽での熟成だと、比較的バニラのような甘い香りが出やすいですが、戸河内についてはトロピカルな印象もあるフルーティな香りと酸味の強い味わいが出ていて、原酒自体の個性が光っている印象です。

「桜尾」はブドウやりんごと言った比較的スタンダードな印象があったのとは対照的です。

比較的冷涼なトンネルを利用した貯蔵庫で熟成させたとはいえ、3年でも熟成が進んでいる感があり、これからが期待できるブランドになるでしょう。

700mL、アルコール度数43度、価格は7000円ほど。
大手メーカーのノンエイジクラスのシングルモルトも高止まりしている状況を考えると、相応の価格と言っても過言ではないでしょう。

<個人的評価>

  • 香り B: スモーキーさがしっかりしている。パイナップル、オレンジ、ナシの香りへ続く。
  • 味わい B: 酸味が目立つ。甘さはあまり感じられず、苦みもわずかながらに感じる。
  • 総評 B: トロピカルな香りが個性的。