表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
441/442

第432話 さらば将軍!

 俺はできる限り魔力を抑え、手のひらに“闇”を集中させた。

 これを使うのは久しぶりだな。

 街が無事であるといいんだが、ルキウス相手ではこれしかないだろう。


「ちょ、サトル。その構えは……まさか!」


 メサイアも気づいたようで、煎餅(せんべい)をポロリと地面に落としていた。

 更にベルも「こりゃマズイね」と巨大盾を取り出し、みんなを守る姿勢に。それでいい。

 火力を(ひか)えめにするとはいえ、このスキルは爆発的な力を持つ。



「なんだ……? なにをする気だ!」


「吹き飛べ……イベントホライゾン!!」



 右手から莫大な量の“闇”が放出され、それは瞬く間にルキウスに激突した。



「な、なんだこりゃああああああああああああ…………!!」



 全てが闇夜に染まるように深淵がルキウスを飲み込み――吹き飛ばす。


 元々は闇の勇者ユメの必殺スキルだが、俺も会得した。ただし、これ一発で魔力を全て持っていかれるのが玉に(きず)だ。


 けれど、ルキウスの気配は()き消えた。


 どうやらぶっ飛ばしたようだな。



「……や、やったのね!」

「ああ、メサイア。ヤツの気配はない」



 やった~! とリースとベルも交えて喜ぶが……誰か忘れている。



 あ……!



 フォルがどっか行ったままだ!

 探さないとなぁ……心配だ。



 ◆



 賢者の街・ギンヌンガガプは、将軍ルキウスを失い――兵たちも士気がどん底に。

 ほぼ投降というか、武器を捨ててしまった。

 貧民街の人たちは一気に駐屯地(ちゅうとんち)を制圧。


 もはや革命が起きてしまい、街は大混乱に。


 そして、俺たちは感謝されたのである。



「ありがとうございました、サトルさん」



 貧民街にいた、あのおっちゃんが代表して頭を下げていた。娘も無事だ。みんなもね。


「いや、いいんだよ。そもそも、食べ物もロクにないってのがおかしいんだよ。これからは、みんなで協力して良い街にするんだぞ」


「はいっ、本当にありがとうございます! あなたは神様みたいな人ですね! まるで神王アルクトゥルス様のようです……!」



 その通り、俺は『アルクトゥルス』なんだけど、ナイショにしておいた。正体をバラしても余計な混乱を招くというか、崇め奉られるというか。それはそれで居心地が悪いので遠慮(えんりょ)しておいた。



「よくやったね、理くん」



 珍しくベルから頭をナデナデされた。

 うむ……悪くないな!


「そうだ。この街の空いている土地に畑を作ってやろう」



 すっかり忘れていたが、俺には『農業スキル』がある。

 このスキルを活かして畑を耕してやろうと思ったのだ。

 さっそくサクっと畑を作った。

 ジャガイモの種をかなり()いてやった。

 これで食糧難は回避できるはず。



「なにからなにまで……本当に感謝します」

「おっちゃん。娘さんを大事にな」

「はい! またギンヌンガガプにいらしてください」


「おうよ! じゃ、これで『ケントゥリア』を登ってもいいんだよな?」

「もちろんです! 将軍がいなくなった以上は、問題なく通れます。ただし……」


 おっちゃんは険しい顔になっていた。


「ただし?」

「ケントゥリアは、とても危険です。一応、ダンジョンとなりますので……防寒装備はしっかりと。それと食料も」


 そうだな、山を舐めたらアカンと昔亡くなった爺ちゃんが言っていたっけな。

 まだ日本にいた頃に俺は唯一、富士登山だけはしたことがあった。シンドすぎて()りたけどね。


「分かったよ。じゃあ、この街で買い出ししていくよ」

「それがいいでしょう。この辺りのお店なら色々売っているはずです」


 おっちゃんと別れ、俺たちはお店へ向かった。

 フォルよ、もう少し待ってくれ!

 あと少ししたら探しに行ってやるからな。


 防寒着やら冬装備をそろえまくった。

 ラッキーなことに、このギンヌンガガプには貴族向けのアイテムショップがあった。高級アイテムばかりが取り揃えてあり、おかげで品質のよいアイテムを入手できた。



「見てみて、サトル。わたしの服~!」



 おぉ、メサイアは黒いマウンテンパーカーに身を包んでいた。暖かそうだな。リースは、ウサギのような刺繍(ししゅう)が入った緑のマフラーを追加。あれで十分暖かいらしい。


 ベルはそのままビキニアーマー。

 ――って、寒いだろうに!


 そういえば、山の(ふもと)にある拠点に滞在していた時も平然としていたな。



「ベル、お前はなにか防寒しなくていいんか?」

「いやぁ、わたしって寒暖差にニブイいんだよね。聖者だからかな?」


 俺に聞かれても困る。という俺も、そこまで暑いだとか寒いだとか気にならない方なんだけどね。神様属性だからだろうか。


 まあいい、アイテムは十分そろった。


 ギンヌンガガプを離れ、フォルを探しにいく!

ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いいねをするにはログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。
感想を書く場合はログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
作品の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。

↑ページトップへ