未圢の空

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〔275〕赀染衛門玫匏郚日蚘 


語句・語意・品詞分解・珟代語蚳。赀染衛門の歌は「ちょっずした折々の歌も、こちらが恥ずかしくなるほどの、立掟な詠みぶりでございたす。」ずか、玫匏郚はいう。

関連蚘事
→〔191〕和泉匏郚に枅少玍蚀玫匏郚日蚘 参照




1本文


䞹波の守の北の方をば、宮、殿のわたりには、匡衡衛門ずぞいひはべる。こずにやむごずなきほどならねど、たこずにゆゑゆゑしく、歌よみずお、よろづのこずに぀けお、よみ散らさねど、聞こえたるかぎりは、はかなきをりふしのこずも、それこそ恥づかしき口぀きにはべれ。

ややもせば、腰はなれぬばかり、折れかかりたる歌をよみいで、えもいはぬよしばみごずしおも、われかしこに思ひたる人、にくくもいずほしくも芚えはべるわざなり。

玫匏郚日蚘




2語句・語意・品詞分解


䞹波の守の北の方をば、宮、殿のわたりには、匡衡衛門ずぞいひはべる。



※䞹波の守たんばのかみ〔名詞〕䞹波の守。
ここでは、倧江匡衡おおえのたさひら 952-1012のこず。
※の〔栌助詞〕 の。
※北の方きたのかた〔名詞〕貎人の劻の敬称。
ここでは、赀染衛門あかぞめえもん 生没幎䞍詳のこず。
赀染衛門は、倧江匡衡の劻。

赀染衛門
平安朝時代の歌人。時甚ずきもちの女むすめ。
藀原道長の劻倫子に仕え衛門ず称す。
埌、倧江匡房に嫁す。
和歌を胜くし、和泉匏郚ず䜵称せらる。
出兞倧蟞兞 第䞀巻 平凡瀟線平凡瀟 1936 囜立囜䌚図曞通近代デゞタルコレクション むンタヌネット公開保護期間満了

※をば〔連語〕 を。 をば。
をば栌助詞「を を」係助詞「は」
「は」は匷意。
「ば」は、「は」の濁音化。



※宮みや〔名詞〕皇族の方々に察する尊敬語。
ここでは、䞭宮地子のこず。
※殿ずの〔名詞〕貎人に察する尊敬語。
ここでは、藀原道長ふじわらのみちなが 966-1027のこず。
※の〔栌助詞〕 の。
※わたり蟺り・あたり〔名詞〕蟺りあたり。
※には〔連語〕 では。
には断定の助動詞「なり である」の連甚圢「に で」係助詞「は は」



※匡衡衛門たさひらえもん〔名詞〕匡衡衛門。
赀染衛門のこず。
※ずぞ〔連語〕 ず。
ずぞ栌助詞「ず ず」匷意の係助詞「ぞ」
※いひ蚀ひ・いいハ行四段掻甚動詞「いふ蚀う」の連甚圢。
※はべる䟍るラ倉補助動詞「はべり たす」の連䜓圢。



䞹波の守の北の方をば、宮、殿のわたりには、匡衡衛門ずぞいひはべる。

䞹波の守䞹波の守おおえのたさひら倧江匡衡のの北の方北の方赀染衛門をばを、宮䞭宮さたや、殿殿ののわたりあたりにはでは、匡衡衛門匡衡衛門たさひらえもん赀染衛門ずぞずいひ蚀っおはべるいたす。

䞹波の守䞹波の守おおえのたさひら倧江匡衡のの北の方北の方赀染衛門を、䞭宮さたや、殿のあたりでは、匡衡衛門匡衡衛門たさひらえもん赀染衛門ず蚀っおいたす。






こずにやむごずなきほどならねど、



※こずに殊に・異に〔副詞〕こずさらに。特に。
※やむごずなき圢容詞ク掻甚「やむごずなし捚お眮けないの連䜓圢。
※ほど皋〔名詞〕皋ほど。
※なら断定の助動詞「なり である」の未然圢。
※ね打消しの助動詞「ず ない」の已然圢。
※ど〔接続助詞〕 けれども。 が。



こずにやむごずなきほどならねど、

こずにこずさらにやむごずなき捚お眮けないほどほどならではねないどが、

こずさらに捚お眮けないほどではないが、






たこずにゆゑゆゑしく、



※たこずに誠に・真に・実に〔副詞〕たこずに。ほんずうに。
※ゆゑゆゑしく故故しく圢容詞シク掻甚「ゆゑゆゑしわけありげで重々しい」の連甚圢。



たこずにゆゑゆゑしく、

たこずにたこずにゆゑゆゑしくわけありげで重々しく、

たこずにわけありげで重々しく、






歌よみずお、



※歌よみ歌詠み・歌読み・うたよみ〔名詞〕歌人。
※ずお〔栌助詞〕ずしお。



歌よみずお、

歌よみ歌人ずおずしお、

歌人ずしお、






よろづのこずに぀けお、



※よろづのこず䞇の事・よろずのこず〔名詞〕䞇事ばんじ。あらゆるこず。
※に〔栌助詞〕 に。
※぀け付けカ行四段掻甚動詞「぀く付ける・かかわる・関する・応ずる・察する」の連甚圢。
※お〔接続助詞〕・・・お。
※に぀けお〔連語〕 に関しお。 に察しお。



よろづのこずに぀けお、

よろづのこずあらゆるこずにに぀け関しおお、

あらゆるこずに関しお、






よみ散らさねど、



※よみ散らさ詠み散らさ・読み散らさ・よみちらさサ行四段掻甚動詞「よみちらす歌を濫りに䜜る・うたをみだりに぀くる」の未然圢。
※ね打消しの助動詞「ず ない」の已然圢。
※ど〔接続助詞〕 が。 けれども。



よみ散らさねど、

よみ散らさ歌を濫りに䜜りはしたせ歌をみだりに䜜るこずはしねんないどがけれども、

歌をみだりに䜜るこずはないけれども、






聞こえたるかぎりは、



※聞こえきこえダ行䞋二段掻甚動詞「きこゆ䞖に䌝わる・うわさされる」の連甚圢。
※たる存続・完了の助動詞「たり おいる・ た」の連䜓圢。
※かぎり限り〔名詞〕かぎり。範囲。
※は〔係助詞〕 は。
ここは、「 においおは」ずか、「 においおいうならば」ずかの意。



聞こえたるかぎりは、

聞こえ䞖に䌝わったるおいるかぎり範囲はにおいおは・においおいうならば、

䞖に䌝わっおいる範囲に぀いおいうならば、






はかなきをりふしのこずも、



※はかなき果なき・果敢なき・儚き圢容詞ク掻甚「はかなしちょっずしたこずである・仮初である」の連䜓圢。
※をりふし折節〔名詞〕折々。
※の〔栌助詞〕 の。
※こず蚀〔名詞〕歌。
※も〔係助詞〕 も。



はかなきをりふしのこずも、

はかなきちょっずしたをりふし折々ののこず歌もも、

ちょっずした折々の歌も、







※それ其れ〔代名詞〕それ。そのこず。
※こそ〔係助詞〕 こそ。 は。

係助詞こそは、
「倚くの䞭より、特にその物事を取り出しお慥たしか確かにいう語」
出兞倧日本國語蟭兞 束井簡治・䞊田萬幎 冚山房
ここでは、䞊にある語「それ」を匷める。



※恥づかしきはづかしき・はずかしき圢容詞シク掻甚「はづかしこちらが恥ずかしくなるほど立掟である」の連䜓圢。
※口぀き口付き・くち぀き〔名詞〕詠みぶり。
※に断定の助動詞「なり である」の連甚圢「に で」。
※はべれ䟍れラ倉補助動詞「はべり たす・ ございたす」の已然圢。
→係助詞「こそ」の結び。



ここたで↑は、赀染衛門のこずを抜かしおいる




ここから↓は、そうではない人のこずを抜かしおいる



ややもせば、腰はなれぬばかり、



※ややもせば動もせば〔副詞〕どうかするず。ややもすれば。
※腰こし〔名詞〕腰の句。歌の第䞉句。
※はなれ離れラ行䞋二段掻甚動詞「はなる離れる」の連甚圢。
※ぬ完了の助動詞「ぬ おしたう」の終止圢。
この「ぬ」は、匷意・確述・確認をあらわす。
※ばかり〔副助詞〕 ほど。



ややもせば、腰はなれぬばかり、

ややもせばどうかするず、腰《歌の䞭枢ずも蚀える》腰の所ではなれ離れぬおしたうばかりほど、

どうかするず、歌の䞭枢ずもいえる腰のずころで、離れおしたうほど、






折れかかりたる歌をよみいで、



※折れをれ・おれラ行䞋二段掻甚動詞「をる《䞊の句ず䞋の句が》うたく敎わなくなる・《䞊の句ず䞋の句が》うたく続かなくなる」の連甚圢。
䞊の句かみのく䞊の方の5・7・5の3句初句第二句腰の句
䞋の句しものく䞋の方の7・7の2句第四句第五句

※かかり掛かり・懞かりラ行四段掻甚補助動詞「かかる しかかる・ しそうになる・ しはじめる」の連甚圢。

※たる存続・完了の助動詞「たり おいる・ た」の連䜓圢。

※歌うた〔名詞〕歌。和歌。短歌。

※を〔栌助詞〕 を。

※よみいで詠み出で・読み出でダ行䞋二段掻甚動詞「よみいづ詠み出す・詠んで倖に出す」の連甚圢。



折れかかりたる歌をよみいで、

折れ䞊の句ず䞋の句がうたく続かなくなりかかりかかったるた歌歌ををよみいで詠んで出し、

䞊の句ず䞋の句がうたく続かなくなりかかった歌を詠んで出し、






えもいはぬよしばみごずしおも、



※えもいはぬえも蚀はぬ・えもいわぬ〔連語〕

えもいわぬ
副詞「え でき《ない》」匷意の係助詞「も」ハ行四段掻甚動詞「いふ蚀う」の未然圢「いは」打消しの助動詞「ず ない」の連䜓圢「ぬ」
蚀うこずができないほど ・いいようのないほど 

ここでは「蚀う䟡倀もない」「蚀葉で衚せないほどひどい」の意。


〔泚〕
えもいはぬにほひ
この「えも蚀はぬにほひ」の蚳は、
1蚀いようのないほどすばらしい匂い
2蚀いようのないほどひどい臭い
のように、
よい、わるい2様に甚いられる。


※よしばみごず由ばみ事〔名詞〕気取った振る舞い。
※しサ倉動詞「すする」の連甚圢。
※おも〔連語〕 お。
おも接続助詞「お お」匷意の係助詞「も も」



えもいはぬよしばみごずしおも、

えもいはぬ蚀いようのないほどひどいよしばみごず気取った振る舞いをししおもお、

蚀いようのないほどひどい気取った振る舞いをしお、






われかしこに思ひたる人、



※われかしこに我賢に〔副詞〕自分こそ賢いずいうように。
→ナリ掻甚圢容動詞の連甚圢ずもいえる。
※思ひおもひ・おもいハ行四段掻甚動詞「おもふ思う」の連甚圢。
※たる存続・完了の助動詞「たり おいる・ た」の連䜓圢。
※人ひず〔名詞〕人。



われかしこに思ひたる人、

われかしこに自分こそ賢いずいうように思ひ思ったるおいる人人は、

自分こそ賢いずいうように思っおいる人は、






にくくもいずほしくも芚えはべるわざなり。



※にくく憎く圢容詞ク掻甚「にくし憎い」の連甚圢。
※も〔係助詞〕 も。
※いずほしく圢容詞シク掻甚「いずほしかわいそうである・気の毒である」の連甚圢。
※も〔係助詞〕 も。
※芚えおがえダ行䞋二段掻甚動詞「おがゆ思われる・感じられる」の連甚圢。
※はべる䟍るラ倉補助動詞「はべり たす」の連䜓圢。
※わざ業・事〔名詞〕次第しだい。わけ。おもむき。
※なり断定の助動詞「なり である」の終止圢。



にくくもいずほしくも芚えはべるわざなり。

にくく憎くももいずほしく気の毒にもも芚え思われはべるたすわざ次第なりでありたす。

憎くも気の毒にも思われたすしだいでありたす。




3珟代語蚳


䞹波の守の北の方をば、宮、殿のわたりには、匡衡衛門ずぞいひはべる。こずにやむごずなきほどならねど、たこずにゆゑゆゑしく、歌よみずお、よろづのこずに぀けお、よみ散らさねど、聞こえたるかぎりは、はかなきをりふしのこずも、それこそ恥づかしき口぀きにはべれ。

ややもせば、腰はなれぬばかり、折れかかりたる歌をよみいで、えもいはぬよしばみごずしおも、われかしこに思ひたる人、にくくもいずほしくも芚えはべるわざなり。
玫匏郚日蚘



䞹波の守䞹波の守おおえのたさひら倧江匡衡のの北の方北の方赀染衛門をばを、宮䞭宮さたや、殿殿ののわたりあたりにはでは、匡衡衛門匡衡衛門たさひらえもん赀染衛門ずぞずいひ蚀っおはべるいたす。

こずにこずさらにやむごずなき捚お眮けないほどほどならではねないどが、たこずにたこずにゆゑゆゑしくわけありげで重々しく、歌よみ歌人ずおずしお、よろづのこずあらゆるこずにに぀け関しおお、よみ散らさ歌を濫りに䜜りはしたせ歌をみだりに䜜るこずはしねんないどがけれども、

聞こえ䞖に䌝わったるおいるかぎり範囲はにおいおは・においおいうならば、はかなきちょっずしたをりふし折々ののこず歌もも、それこそそれこそ恥づかしきこちらが恥ずかしくなるほど立掟な口぀き詠みぶりにではべれございたす。


ここたで↑は、赀染衛門のこずを抜かしおいる

ここから↓は、そうではない人のこずを抜かしおいる


ややもせばどうかするず、腰《歌の䞭枢ずも蚀える》腰の所ではなれ離れぬおしたうばかりほど、折れ䞊の句ず䞋の句がうたく続かなくなりかかりかかったるた歌歌ををよみいで詠んで出し、

えもいはぬ蚀いようのないほどひどいよしばみごず気取った振る舞いをししおもお、われかしこに自分こそ賢いずいうように思ひ思ったるおいる人人は、にくく憎くももいずほしく気の毒にもも芚え思われはべるたすわざ次第なりでありたす。



䞹波の守䞹波の守おおえのたさひら倧江匡衡のの北の方北の方赀染衛門を、䞭宮さたや、殿のあたりでは、匡衡衛門匡衡衛門たさひらえもん赀染衛門ず蚀っおいたす。

こずさらに捚お眮けないほどではないが、たこずにわけありげで重々しく、歌人ずしお、あらゆるこずに関しお、歌をみだりに䜜るこずはないけれども、䞖に䌝わっおいる範囲に぀いおいうならば、ちょっずした折々の歌も、それこそこちらが恥ずかしくなるほど立掟な詠みぶりでございたす。


ここたで↑は、赀染衛門のこずを抜かしおいる

ここから↓は、そうではない人のこずを抜かしおいる


どうかするず、歌の䞭枢ずも蚀える腰のずころで、離れおしたうほど、䞊の句ず䞋の句がうたく続かなくなりかかった歌を詠んで出し、

蚀いようのないほどひどい、気取った振る舞いをしお、自分こそ賢いずいうように思っおいる人は、憎くも気の毒にも思われたすしだいでありたす。



関連蚘事
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