＊題画出典：ドラゴンボール完全版21巻

前回の記事

前提

• ドラゴンボール大全集やその他設定資料、アニメ版、劇場版、ゲーム作品、超などの続編作品、鳥山先生の談話等は無視し、原作漫画版の描写のみを正とする。（ただし、作中に判断材料が無い場合は参考に用いる）

基準

• 全く手も足も出ず瞬殺される場合は1.8倍以上の差があるものとする。

• ある程度戦えてはいるが勝ち目が薄いと思われる場合は1.4倍前後の差があるものとする。

引き続き、フリーザ戦中盤の戦闘力について考察していきたい。

第2形態フリーザの戦闘力

ベジータに挑発されたフリーザは第2形態へ変身する。
変身したフリーザは自身について以下のように言及している。

なお、このセリフは劇中で戦闘力が言及される最後のシーンでもある。
この「100万以上」が具体的にいくつなのかはわからない。ただ「確実か」というニュアンスからは、100万をそう大きく超えてはいないような印象を受ける。

そしてこの100万以上が第2形態の全力なのか、それとも気を入れていない今の状態のことなのかもわからないのだが、フリーザの有名な「私の戦闘力は53万です」のシーンは力を抑えた状態での発言だったため、「全力を出せば100万以上」と考えることもできそうだ。

また、この変身直後のフリーザを見たベジータは非常に狼狽していた。

ベジータはザーボンの事例から変身による戦闘力の上昇幅を概ね推測していたはずなのだが、変身直後の時点で既にその想定を上回っていたと考えられる。

ただし、ベジータが事前にフリーザの戦闘力（53万）を把握していたかというとちょっと疑問だ。
前回、ベジータは25万程度と想定しているが、25万＋悟飯とクリリンの戦力で53万の相手と戦うのはかなり厳しい。その上変身するとなるともう絶望的なはずなのだが、ベジータは変身してもなんとかなると考えていた。
つまり、ベジータはフリーザの正しい戦闘力を知らず、かなり甘く考えていたのだと思われる。

これらのことを踏まえた結論として、第2形態のフリーザは気を入れる前の状態で90万程度、最大で145万程度だったと推測したい。

気を入れる前の90万については、ベジータと力比べをしたフリーザの30万（前回考察参照）を基準に、ベジータは変身で2倍になると考えていたが、想定を超えて3倍（90万）にまでなってしまって狼狽したと推測。
最大値については、変身後から2度の気の開放を行うことから、初期段階（90万）からある程度の幅があり、かつ100万をものすごく超えない範囲として、145万と推測する。

怒り悟飯の戦闘力

クリリンがやられたことにより悟飯は逆上、フリーザを一方的に攻撃する。

キック1発、アッパー1発、ボディブローを連続で複数発、さらにフリーザを蹴り飛ばしたところにエネルギー波で連続攻撃を加えた。

ベジータもこの時の悟飯には驚愕している。

しかし、フリーザには多少効いたものの、明確なダメージは与えられなかった。

この時のフリーザは前述の推測値で90万になる。
この「多少痛いが明確なダメージには繋がらなかった」、という描写はリクームとベジータの戦いに近いだろう。以前の考察でリクームとベジータは1.5倍差と推測しているが、それを当てはめると悟飯の戦闘力は60万になる。

ただフリーザはリクームよりさらにダメージが小さいように見えるため、もっと差は大きいとし、1.7倍まで広げると悟飯の戦闘力は53万になる。

53万、奇しくも第1形態フリーザと同じ値になった。
この値を正とするならば、第1形態の時に悟飯が怒っていれば対等以上の勝負になったはずである。勝てるというベジータの見込みもあながち間違いではなかったのかもしれない。

復活後クリリンの戦闘力

クリリンはデンデの回復によって復活、気円斬で奇襲をかけ、尻尾を切断する大戦果を上げる。

しかしこの時のクリリンの気が大きく上がっていたかというと、そうとも言えない。クリリンは地球人なので死の淵からの復活で力が上がるわけではないし、悟飯の怒りのようなファクターも無い。気が大幅に上がるような裏付けが無いのである。

この気円斬は不意打ちであることだし、クリリンの気が上がったからではなく、フリーザが尻尾まで力を入れていなかったために切断できた、という描写なのではないだろうか？
また、この後もフリーザは連続気円斬を避け続けるのだが、気の読めないフリーザが瞬時に威力を判断できたとは考えにくいことを考慮すると、避けたこともクリリンの気が上がっていた裏付けにはならないだろう。

以上のことを踏まえて、クリリンの戦闘力は23000と想定したい。
クリリンも戦いの経験の中で気のコントロール手法がアップデートされ、前回考察（悟空ギニュー戦）の18000からさらに伸びたと推測するが、やはり特別な能力の無い地球人であるし、劇的な伸びでは無いのではないか。

ここはかなり解釈が分かれるポイントでもある。アニメ版では天津飯たちがギニュー特戦隊を軽く片付けるなど、地球人でも劇的に強くなっていた。
しかしギニュー特戦隊は本来、突然変異で生まれた戦闘エリートを宇宙中から集めた集団である。ただの地球人が容易に超えられるとも考えにくいのだ。
ここではアニメ版はパラレルワールドであり、あくまで別の世界の話だと解釈しておきたい。

ネイル同化ピッコロの戦闘力

ネイルと同化後、ピッコロは第2形態フリーザと対峙、強敵と見たフリーザはさらに気を上げて本気を出す。
本気後の戦闘描写を見てみよう。

フリーザは突進して肘打ちを食らわせ、頭を殴りつける。

ピッコロは追撃を躱して空中に逃げるが、フリーザは追い越し、ハンマーパンチで地面に叩きつけた。

ピッコロの体は震えており、一定のダメージはあったと思われる。

しかしピッコロは重い装備を身に着けたままで戦っており、「自分も本気では無かった」と宣言する。

この「本気のピッコロ」は第2形態フリーザと戦わないため、フリーザとの差はわからない。ピッコロがそれ以前にどの程度力を抑えていたのかが推測の焦点になるだろう。

一番のポイントは重い装備だが、このターバンとマントは同化前から着ており、同化前の戦闘力でも着こなせる程度の重さだったと考えられる。
この時のピッコロは急いでおり、わざわざ重くし直すとは考えにくい。とするとピッコロに重い装備の影響は殆ど無かったのではないか？

そうするとピッコロの「本気」とは、やはり単純に力を抑えていた分がどのくらいだったかになるのだが、事実としては、装備を脱ぐ前のピッコロは、本気のフリーザにはそこそこ一方的にやられており、ダメージも受けていたということである。この描写を踏まえると、ピッコロは第2形態フリーザに及んでいなかったようにも思える。

以上のことから、ここでの結論としては、ピッコロの戦闘力はフリーザよりわずかに下の135万と想定したい。

これも議論が分かれるところである。ピッコロがフリーザより上だったとしてもさしたる矛盾は無い。
ただやはり重い装備の影響が軽微だっただろうことを考慮すると、本気同士ならピッコロがほんの少しだけ下だった説のほうがわずかに説得力があるようにも思えるのである。

第3形態フリーザの戦闘力

フリーザは第3形態に変身、ピッコロと再び対峙する。

「ちょっと拝見」と襲いかかるフリーザから逃げるが、あっというまに追いつかれてしまう。
その後は目にも止まらぬ速さの「ひゃあ（通称デスビーム）」を連続で打ち込まれ、一方的になぶられる状態となった。

この時のフリーザは遊んでいるような態度だが、ピッコロはまるで手も足も出なかった。

ただピッコロは相当数の気功波を受けても死んでおらず、かなり威力（＝戦闘力）は抑えられていたと思われる。
勝てる見込みは無いが相当数の攻撃に耐えたと考えると、この時の手加減フリーザの戦闘力は、ピッコロの1.4倍の190万程度が妥当だろうか。

そしてフリーザが全力を出す描写は無いため、第3形態の上限値は全くわからない。しかしこの遊んでいるような態度からすると、「手も足も出ず瞬殺される基準」の1.8倍を上回る差があるのは間違いなく、2倍程度の差が妥当だろうか。
そうすると、全力の第3形態フリーザの戦闘力は270万となる。

復活後悟飯の戦闘力

窮地に陥ったピッコロを救ったのは悟飯だった。
悟飯はフリーザに蹴りかかった後、フルパワーの気功波を放つ。

これにはフリーザもかなり苦戦をする。

最終的には無傷で弾き返すのだが、「あれほどの戦闘力」と評価するなどかなり強力な技だった。

先ほど怒りの悟飯は53万と推測したが、その後に一度瀕死から復活しており、さらに上だったと考えられる。

また、この時の悟飯には1点気になる部分がある。この場面の悟飯、そこまで怒っていないのだ。

「やめろーっ！！！！」と必死で飛び出してはいるが、

その後の「おまえなんか死んじゃえー！」「フルパワーだ！」は、割と正気を保った状態で攻撃していた。

その前に第2形態に怒った際はこんな感じである。

鬼の形相（しかし鳥山先生の絵の迫力は素晴らしい）で怒り、言葉にならない言葉を発している。そしてその後、正気に戻る描写も存在した。

それと比較するとこの時は冷静な印象があり、怒ってはいるが、理性を失うほどの怒りでは無かったと言えるだろう。
そのため、この時の悟飯の強さは怒りよりもベースが強くなったことの影響が大きいはずである。

前回考察で悟飯の戦闘力は30000と想定しているが、それが怒りで53万までアップしたとすると上昇幅は17倍強になる。そして今回の怒りはこの時ほどではなかったとすると、上昇幅は10倍くらいに留まるだろうか。

また、フリーザは多少苦労しつつも無傷でエネルギー弾を跳ね返していた。似た描写としてはナッパに放った悟飯の魔閃光が挙げられるが、この時のナッパと悟飯の差は本考察基準で2.2倍だった。
その時のナッパよりフリーザのほうが苦戦している印象もあるため、少し比率を調整して1.9倍差とすると、悟飯の戦闘力は140万となる。
そして今回の怒りの上昇幅が10倍と仮定した場合、悟飯の怒り無し状態の戦闘力は14万になる。

なお、この時ボロボロのピッコロは優しく悟飯を褒めているが、そこに驚きや期待の感情は含まれていなかった。
ピッコロの慈愛が感じられる名シーンだが、悟飯の力が希望が持てそうなくらいには達しなかったことの裏付けにもなるだろう。

まとめ

この頃の戦闘力は大全集では記述が無い。
ゲームの値では、SFCの超サイヤ伝説では第2形態フリーザは100万、第3形態で155万に設定されている。また、ピッコロは通常の同化では最大100万程度だが、オリジナル展開でデンデと融合することができ、その場合は190万までアップする。このピッコロだと最長老カード（戦闘力1.5倍）を使うことで（厳しい戦いだが）ソロで強引に最終形態フリーザに勝つことも可能である。

余談

• 第2形態フリーザは自身の戦闘力値を正確に把握していないようだった。恐らく、普段変身をすることが無いためにスカウターで測る機会が無かったのか、もしくは技術的に測れるスカウターが無いかのいずれかだろう。また、そもそも53万の時点で新型スカウターが爆発する数値のため、惑星フリーザには53万以上に対応する携帯型で無いスカウターがあるのだと思われる。（アニメでは据え置き型のものが実際に登場している）

• フリーザの戦闘ジャケットは実は外殻で、フリーザ軍の戦闘服はそれを模して作られていたという裏設定が後に明かされている。ということは、フリーザはパンイチ黒ブルマで戦っていたわけではなく、黒ブルマは皮膚だったのだ。（でもザーボンはやっぱりニーソブルマなんだよなぁ）

• 悟飯が怒って第3形態フリーザにエネルギー弾を放つシーンは空中から下に向けて放っている。この時の悟飯の戦闘力を考えると、フリーザが受け止めていなければナメック星は危なかったかもしれない。

次回、最終形態フリーザ戦に続く