何故現代の17号・18号は未来より強かったのか?【ドラゴンボール考察】
劇中、超サイヤ人ベジータたちを圧倒した人造人間17号と18号。
トランクスの未来を滅ぼした災厄である彼らだが、現代の彼らを見たトランクスは以下のように発言していた。
・・・・・・・・・・・
あいつら・・・ま・・・またオレの知っている人造人間とはす・・・少し違ってるんです・・・・・・・・・
あ・・・あれほどとんでもない強さじゃなかった・・・・・
オ・・・オレでもそこそこは戦えるぐらいの・・・・・・・
じ・・・人造人間はあそこまでケタちがいのパワーじゃなかった・・・・・・
トランクスによると、未来世界の人造人間より現代の人造人間のほうが相当に強いらしいのである。
そして彼らは強さだけでなく人格も変わっている。
未来の人造人間は街を徹底的に破壊し、ゲーム感覚で人を殺すことを楽しむような人格だった。しかし現代の人造人間にはそのような凶悪さは無い。劇中で行った悪行は車を奪ったり服の代金を踏み倒す程度であり、トランクスの未来とは在り方ががらりと変わっているのである。
それらの変化はタイムトラベルの影響と考えられるが、何故そうなったのかの理由は劇中で描写されていない。
そこにはきっとタイムトラベルとの因果関係があったはずで、今回はこの17号と18号が変わった理由について考察していきたいと思う。
未来と現代の相違点
17号、18号が目覚めるまでに発生した未来からの干渉は以下のようなものになる。
セルが卵の状態で来ており、孵化、幼体になっている
フリーザ親子が悟空ではなくトランクスによって倒されている
悟空に心臓病の薬が渡されている
悟空たちに3年後に危機が訪れることを伝えている
そしてそれらによって引き起こされた2次的な相違点が以下である。(17号、18号に関すること以外)
ドクター・ゲロが自身を改造し、20号になっている
19号が存在する
16号が存在する
悟空の心臓病の発病時期が遅れている
修行によりベジータたちが劇的に強くなっている
彼らが変わった要因はこの中にあると考えられるだろう。
このうち、17号、18号が作られた後に起こった事象、つまり19号と20号の存在はあまり関係が無いはずである。またゲロが認知していなかった悟空の心臓病や修行も関係があるとは考えにくい。
とすると残ったのは17号と18号が作られる前の事象かつ、ゲロと直接関係のある出来事の16号の存在ということになる。
17号と18号に施された調整
ドクター・ゲロが17号と18号を起動する以前、彼らには再調整が行われていたことが示唆されていた。
なおっておればよいのだが・・・・・・・・・
正直いって安心したぞ
おまえたち ふたりは機能の大部分を永久エネルギー炉と強大パワーに振りむけすぎたためコントロールがうまくいかず 以前はわたしの命令もきかぬありさまだった
上記のやりとりから、再調整の内容は「ドクター・ゲロの言うことを聞くようにした」というものだと考えられる。そしてそれは言い換えれば「性格を穏やかにする調整」ということになるはずだ。
結局彼らは言うことを聞かずに調整は失敗に思えるのだが、実は「穏やかにする」という意味では一定の成果があったのではないか?
そしてこの「穏やかさ」は16号との共通点である。ドクター・ゲロは16号の開発を行う中で、(意図したものではないにしても)穏やかな性格に関わるノウハウをある程度身につけていた、そしてそれが17号と18号の再調整に活きたのではないか?
つまり、17号と18号に行われた再調整は、穏やかな性格の16号が存在していたから可能だった、という考えは筋が通ると言えそうだ。
そしてさらに16号はパワーも圧倒的だったことから、性格と同様、16号の開発ノウハウがあったことにより、現代の17号と18号のパワーも強くなった、という考え方ができるはずである。
結論として、現代の17号、18号が強くて穏やかなのは、「16号の開発ノウハウによるもの」である可能性が高いのではないだろうか。
何故現代には16号がいたのか?
ではその16号が現代にだけ存在していたのは何故だろうか?
未来では目覚めなかっただけの可能性も捨てきれないが、17号、18号の根本的な性格(自信家で好奇心旺盛)が変わらないことを考えると、未来でも見つけていれば目覚めさせていたはずで、廃棄もしくは完成しなかったと考えたほうが妥当だろう。
この16号が完成しなかった理由として最も可能性が高そうなのは、ゲロの技術力不足だろう。その技術力を補うような何かが、未来からの干渉で得られたのではないか?
そうだとすると、最も可能性がありそうなのは、フリーザ親子の存在だと思われる。
フリーザは明らかに地球よりハイテクノロジーな宇宙船に乗ってやってきていた。ゲロが持っていない技術を持っているはずだ。
そのフリーザの宇宙船はトランクスに破壊されているのだが、しっかり跡形も無く消したというほどではなく、大きめの欠片が残っていそうな破壊の仕方になっていた。
このトランクスの消し方が正史よりも雑な消し方になっており、宇宙船の一部をゲロが入手できた、という流れは十分ありえそうだ。(スパイボットもこの場にいるし)
また悟空の乗ってきた宇宙船についても劇中で処分している描写は無かった。
トランクスのやり取り後、その場にブルマ、クリリン、ヤムチャ、プーアルを残して全員飛び立っており、彼らが処分しなかったのであれば、この場に残されたままだった可能性もある。これも正史では戦闘時に破壊されていたとすれば、トランクスが来たことによる相違点になるだろう。
なお、同様のことはセルにも言えるのだが、タイムマシンは荒廃しており、人の手が入った形跡は無さそうだった。
劇中の描写的にも、ゲロがタイムマシンの存在を認知していたとは考えにくく、それよりはフリーザの技術のほうが手に入れやすかったはずである。
結論として、トランクスが来たことにより、フリーザの宇宙船、もしくは悟空の宇宙船の処分方法が変わった結果、ドクター・ゲロに未知のテクノロジーがもたらされて16号が完成した、というストーリーは辻褄が合うのではないだろうか。
まとめ
現代の17号と18号が強く、凶悪な性格でなくなったのは16号の開発ノウハウが寄与している可能性がある
16号が技術面の理由で未完成だったとすると、未来からの干渉によりゲロにテクノロジーがもたらされた結果、現代では完成した可能性がある
トランクスが来たことでフリーザの宇宙船や悟空の宇宙船に対する対処が変わり、結果、ゲロにテクノロジーが渡った可能性がある
ちなみに、劇中でトランクスはセルに対して以下のように発言していたのだが、このトランクスの所感と今回の結論は違う結果になってしまった。
れ・・・歴史がずいぶん か・・・変わってしまったのは・・・・・・
・・・・・・まさかこいつのせいでは・・・・・・・・!?
もちろん、セルが来たことによって一見関係ない因果が回り回り、ゲロと人造人間たちに影響が出てしまったという可能性もあるはずである(むしろ鳥山先生はそれをイメージして描いていたと思われる)。
ただあくまで因果関係をロジカルに考えた場合、セルよりもトランクスのほうが影響していた可能性は高いと言えそうだ。
余談
この考察を書く際、本当は16号の裏設定とこじつけられないかを考えていたのだがちょっと難しかった。
裏設定とは以下の鳥山先生の談話によるものになる。
16号のモデルになったのはその昔若くして死んだゲロの息子です。
レッドリボン軍の上級兵士でしたが敵の銃弾に倒れてしまいました。我が子という特別な思いがあり、強力なパワーと恐ろしい爆破装置を与えたのですが、できれば戦闘で壊したくないという意識が穏やかな性格にしてしまい、失敗作になってしまったのです。
16号がゲロの息子なのであれば、例えばこんな説も考えられるだろうか。
「セルが現代に来たために何らかのトラブルが発生し、その結果ゲロの息子が死亡、その際、偶然悟空の姿を見かけたゲロは悟空のせいと思い込み、かつての恨みが再燃、恨みをたぎらせながら息子をモデルとした16号を完成に導いた。だから16号は穏やかであっても悟空を殺すことを強く意識している」
これはなかなか面白いかもと思ったのだが、ゲロの息子が死んだのは”その昔若くして”である。そうするとセルが来た4年前とは辻褄が合わないため、この説は没になった。
考えてみれば、悟空がレッドリボン軍を滅ぼしたのは実に人造人間登場の17年も前である。ゲロは果たして17年も恨みを持ち続けるほどレッドリボン軍に忠誠心があったのかだろうか?
ちょっとそこは連載当時から違和感があったのだが、もし息子の死に間接的にでも悟空が関わっていたとするならば、この強い恨みも納得できるかもしれない。
そんなこじつけ想像ができるのもまたドラゴンボールの楽しいところである。
※もしこの裏設定と現代の16号の存在を関連付ける面白い考え方があれば是非コメントください
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