大全集無視の戦闘力考察⑫~超サイヤ人と100%フリーザ~【ドラゴンボール考察】
*題画出典:ドラゴンボール完全版22巻
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前提
ドラゴンボール大全集やその他設定資料、アニメ版、劇場版、ゲーム作品、超などの続編作品、鳥山先生の談話等は無視し、原作漫画版の描写のみを正とする。(ただし、作中に判断材料が無い場合は参考に用いる)
基準
全く手も足も出ず瞬殺される場合は1.8倍以上の差があるものとする。
ある程度戦えてはいるが勝ち目が薄いと思われる場合は1.4倍前後の差があるものとする。
数値の考察に入る前にひとつ整理したいことがある。それは気(戦闘力)とダメージ・消耗の関係性についてである。
劇中では悟空は界王拳のしっぺ返し、フリーザは元気玉によって消耗していた。
特に悟空は「パワー(気)がずいぶんなくなっちまった」と言うほど消耗していたのだが、それは戦闘力にどの程度影響していたのだろうか?まずはそれを考えていきたい。
気(戦闘力)とダメージの関係性
まず確実に言えるのは、気を大量に放出すると気(戦闘力)は下がるということである。
例として、悟飯の魔閃光の場面では、放出後に戦闘力がガクッと減ったことが確認されていた。
戦闘力がガクンとへった・・・・・・
どうやらいまので 力をつかいはたしてしまったらしいな・・・
瞬間移動かめはめ波の場面でもセルは消耗について以下のように言及している。
忠告しておくがおなじ手は二度と通用せんぞ
ムダな攻撃で体力を減らしてつまらん戦いにだけはするな
これらによると、大技、特に気功波系の大技を使うと体力が減り、それによって気(戦闘力)も落ちるということは間違いないだろう。
では次にダメージについてはどうだろうか?
ギニュー特戦隊との戦いの際、瀕死の悟飯は以下のように言及されていた。
くたばる寸前だ もう戦闘力は残っていない
あたりまえだ 首の骨が折れたんだぜ
また、フリーザに手首をねじ切られたネイルも以下のように言及されていた。
ですが元にもどってもおなじことですよ
それに体力までもは回復できないようですね
戦闘力が さっきよりおちてます・・・
これらによると、大きなダメージを受けて体力が削られると気(戦闘力)が減るのも間違い無いと言えるだろう。
しかし、ダメージや消耗で常に気が減るかというとそうとも言いきれない。気の状態がダメージの量に準じない場面もあるのだ。
例えば、天下一武道会でピッコロは相当なダメージを負ったが、それでも天津飯たちが戦える状況にはならなかった。
この5年後の値ではあるが、スカウター計測でピッコロは408、天津飯は250となっている。ピッコロの体力が半分なら天津飯は十分戦えるレベルになりそうなのだが、実際はそうならなかった。ピッコロは傷ついても大きく気は落としていなかったと言えるだろう。
他にも劇中を通して、「強者にダメージを与えたことで弱体化し、弱者でも戦えるようになった」という描写はほぼ無い。
(※地球でのベジータはダメージ以上にパワーボールによる消耗が大きかったはず)
(※悟空とセルジュニアはそうと言えなくも無いが、悟空は直前に相当数の気功波を撃って消耗していた)
それらを考慮すると、気(戦闘力)が劇的に下がるのは甚大なダメージを負った時だけであって、甚大でないダメージではそこまで減らないと言えるだろう。
さらに、気は減っても稀に復活することがある。
例えば悟飯の親子かめはめ波のシーンでは、「半分以下になった気」でセルを破っていた。
だ だけどいまのボクは・・・
片方の腕しかつかえないし気だっても・・・もう半分以下に・・・
この時のセルは半分の力で倒せる相手では無く、そのままではとても敵わなかった。悟空の叱咤によって消耗した悟飯の気が復活した(もしくはさらなる潜在能力を絞り出した)と考えて良いだろう。
そうそうあることでは無いものの、感情で気は増減するのだ。
ここまでのことをまとめると、ドラゴンボール世界の「気とダメージ」の法則は以下のようになるのではと思う。
「気」は気功波などで放出すると体力が減り、相応に力(戦闘力)も下がる
ダメージでも気は減るが、甚大なダメージでなければ影響はそこまで大きくない
「気」とはすなわち「気力」でもあり、激しい感情によって復活する(絞り出す)ことが可能
個人的には、気には「スタミナ兼筋力」のイメージを持っている。例えば現実世界でも体力7割のボクサーはまだ10割のパンチが打てるが、体力2割になるとさすがに10割のパンチは打てないはずだ。気もそのようなイメージなのではないだろうか。
フリーザの戦闘力
さて、消耗とダメージの整理がある程度できたところで、本題となるフリーザと悟空の戦闘力を推測していきたい。
まずは基準となるフリーザについて。前回の考察でフリーザ50%は470万、70%は660万と想定している。
フリーザは元々悟空と50%の力で戦っていたが、力の差が明白だったことを考慮すると、そのままで戦っていたとは考えにくいだろう。
フリーザは100%の力を出す前、以下のように発言していたが、
この時の力が70%ということは、これ以前は70%未満だったはずである。そうするとフリーザは65%くらいの力を出して戦っていたと考えられるだろうか。
そして問題はフリーザがここまで受けたダメージをどう捉えるかである。
この時のフリーザは元気玉をまともに受け、「今のは死ぬかと思った」と発言し、実際にかなり傷だらけになっていた。
しかしその後の戦闘では、息切れやパワーダウンなど明確にダメージの影響がある様子でも無かった。
フリーザはその前の20倍界王拳かめはめ波のシーンでも「今のは危なかった」と発言しているのだが、その時も言葉に反して実際のダメージはさほど受けていなかった。言葉ほどダメージを受けていないシーンが2つ続いているのである。
この描写からすると、恐らくフリーザは防御の技術に長けており、強大な攻撃でもうまく逃がす術を会得していたのではないか?そのため、元気玉も甚大なダメージにならずに耐えきれたのである。(※死ぬかと思ったのはそこまで強大な攻撃を受けた経験がなかったからかもしれない)
つまり、前述の「ダメージは甚大でなければ気への影響は大きくない」という推測に基づけば、この時のフリーザはそこまで劇的に気を減らしてはいないと考えられるだろう。
ただし一方で、本人もダメージを受けたことは認めているなど、影響が全くゼロというのも考えにくい。
ダメージはくらってもきさまらごときかたづけるのはわけはないぞ!!!
フリーザに死の恐怖を与えたほどの元気玉である。劇的では無いもののある程度は気が減るほどのダメージはあったとすると、15%ほどの消耗が妥当だろうか。
フリーザの消耗が15%ほど、かつ65%程度の力で戦っていたとすると、超サイヤ人悟空と戦った当初のフリーザの戦闘力は520万となる。
超サイヤ人悟空の戦闘力
次はこの520万のフリーザを圧倒した超サイヤ人の悟空について、戦闘描写を見てみよう。
初手でフリーザの腕を絞り上げた悟空はパンチ1発と両腕ハンマーで地面に叩きつける。
フリーザは反撃し、エネルギー波を連続で放つが、
悟空は微動だにしない。(瞬間的に避けて戻っていた可能性もある)
悟空は衝撃波でフリーザを吹き飛ばし、格闘を仕掛ける。肘打ち、パンチ、頭突きを連続で見舞いつつ、フリーザの反撃はことごとく防御。
フリーザは怒り、「ピッ(通称:デスビーム)」を放つが、こちらも全く当たらない。
そして「あたりさえすればきさまなど」という発言を受け、悟空はわざと避けずに直撃を食らうものの、多少血が出る程度のダメージでしかなかった。
ちなみにこのデスビームが避けられた際、フリーザは相当に驚愕、当たって微ダメージだった時は絶句して震えてまでいる。
その前のエネルギー波(結構デカい)でノーダメージだった時はまだ余裕のある態度だったのだが、それと比較すると相当な狼狽っぷりである。
恐らくデスビームは正真正銘の必殺技で、本来は防がれるようなチンケな威力では無いのだろう。(魔貫光殺砲のように圧縮している?)
これらの描写から、悟空がフリーザを圧倒的に上回っているのは確実だろう。しかしフリーザもかなりの攻撃に耐えており、簡単に倒せるかというとそれも難しかったように思える。
勝ち目は無いが簡単でもない範囲とすると、フリーザと悟空は「勝ち目が薄い基準の1.4倍」を少し上回る1.5倍差程度が妥当だろうか。
フリーザ520万の1.5倍差とすると、超サイヤ人悟空の戦闘力は780万となる。
そしてフリーザと同様に、この時の悟空のダメージも考慮しておくべきだろう。
変身前の悟空は激しい気の放出に加えて身体的なダメージも加わり、かなりフラフラの状態だった。
ただし、この時はダメージよりも20倍界王拳や元気玉による気の消耗が濃い印象がある。(ちなみにベジータ戦と異なり、しっぺ返しの肉体的な痛みは描かれなかった)
そして超サイヤ人変身後はそういった消耗の描写は一切現れなくなる。気の消耗は、超サイヤ人になった際の激しい感情によって復活したと考えて良いだろう。
そうなると、攻撃によって負ったダメージの影響のみが焦点になってくるのだが、悟空はどの程度ダメージを受けていたのか?
具体的に劇中での描写を数えてみると、悟空は本気になった後に合計10発もの攻撃をくらっている。悟空とフリーザの力の差も考えるとかなりのダメージは受けているだろう。
しかし、欠損や骨折、激しい出血、体が動かせないなどの描写は無かった。悟空がフラフラになったのはあくまで20倍界王拳を使った後からである。そのため、ダメージ自体は致命的とまではいかなかったのではないか。
そのように、”かなりのダメージを受けたが致命的まではいかない”状況とすると、元気玉を食らったフリーザとほぼと言えそうである。
以上のことから、ここでは悟空もフリーザと同様、MAX値から15%程度の戦闘力が減少していたと推測したい。
先程の戦闘力想定780万にその15%減少分を上乗せすると、もし万全であれば超サイヤ人悟空の戦闘力は920万だったという計算になる。
フリーザ100%の戦闘力
追い詰められたフリーザは星を壊そうとするが威力を抑えすぎて失敗。星が爆発するまで100%の力で戦うことを決意する。
先程65%のフリーザは520万と推測しているが、それを100%に換算すると800万となる。対する超サイヤ人悟空は780万と推測しているため、悟空をほんのわずかに上回る数値になった。
実際の戦闘描写としても、100%フリーザは一時的には悟空と互角以上に戦えていた。
悟空は悟飯たちが脱出する時間稼ぎのため、あえて攻撃を受けていた面もあるのだが、少なくとも以下のシーンは「本気対本気」だったはずである。
表情に余裕は無く、血管を浮かべながら「くたばれフリーザ!!!!」と叫ぶなど本気で殺しにかかっていた。
そして悟空はこの攻防に敗れている。
悟空はここで初めて息切れをしており、かなりのダメージがあった様子だった。
このシーンからすると、やはり本気同士であれば互角、もしくはフリーザのほうがほんの僅かだけ上だったのではないだろうか。
しかしフリーザはその後すぐに気が減り始め、醜態を曝け出した上で完敗した。悟空に匹敵する戦いができたのはほんの一瞬だけだった。
悟空はフリーザにトドメを刺した際、なんとも形容し難い複雑な表情を浮かべていた。悟空は何を思っていたのだろうか。
この時の悟空は他者を圧倒的に引き離した強者である。ベジータも、ピッコロも、超サイヤ人となった悟空と同じ目線で競い合うことはできない。圧倒的強者とは同時に孤独でもある。
そんな中で、悟空は自分と競い合い、孤独を分かち合える唯一の存在としてフリーザを見ていたのではないか?
極悪人であり、復讐相手であり、交わることがない存在と理解しながらそれでもなお、悟空はどこかフリーザに強者への敬意のようなものを持っていた。
しかしこの瞬間、フリーザには強者の矜持など無く、競い合う価値の無い愚物であることがわかってしまった。自分の思いが伝わることはなかった。
その失望、哀れみ、悔しさ、後悔、そういった感情がこの1枚に込められているようにも感じるのである。
まとめ
超サイヤ人悟空 780万
超サイヤ人悟空(万全の状態) 920万
フリーザ(65%) 520万
フリーザ(100%) 800万
フリーザ(100%&万全の状態) 940万
参考:大全集等の公式値
超サイヤ人悟空 1億5000万以上
フリーザ(100%) 1億2000万
余談
今でこそフリーザの一人称は「私」というイメージだが、実は形態によって一人称が異なっている。第1形態は「私」、第2形態は「オレ」、第3形態は「わたくし」、最終形態は「ボク」が主で怒ると「オレ」である。更に言うと丁寧語を使っているのは第1形態と第3形態だけであり、最終形態は少年っぽいタメ語で常時話している。現在の続編やゲーム作品では最終形態でも一貫して「私」と丁寧語が使われるのだが、実は原作はそうではないのだ。
超サイヤ人の変身による戦闘力の強化は公式設定で50倍とされている。本稿では原作漫画内で言及されない公式設定はあえて使わないようにしているのだが、それに辻褄が合うように解釈すると、20倍界王拳はあくまで「気の増幅力が20倍」なのであって「戦闘力が20倍」というわけではないということになるだろう。そしてそれに沿って本稿の超サイヤ人920万が50倍相当だとすると700万の倍率は39倍になる。つまり20倍界王拳は戦闘力20倍ではなく、実際は39倍だったのかもしれない。※なお、本考察では瞬間的に気を上げる界王拳によって、倍率数以上に気を高めていたという考え方をしている。詳しくはこちら↓
更に余談として、上記の「20倍界王拳の実数は39倍説」を採用の上、本考察でのナメック星到着時の最大戦闘力170万は界王拳実数18.5倍の状態と仮定すると、界王拳未使用の到着時悟空の戦闘力は約9万という計算になる。なんとこの9万という数字、到着時悟空の戦闘力公式値と同じ値なのだ・・!公式を無視してさんざんこねくり回したのに、ここに来て公式値と計算が合ってしまったのである。やはり筆者は偉大なる鳥山先生の手のひらで踊らされているのかもしれない・・。
次回、メカフリーザとトランクス編へ続く
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