第四の原因は、日本の大卒者の就職率が韓国より高く、大企業と中小企業の賃金や待遇水準の格差が韓国より小さいことである。厚生労働省と文部科学省が発表した「令和5年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)」によると、日本の大卒者の就職率は98.1%に達しており、韓国の69.6%(2022年)を大きく上回っている。一方、韓国経営者総協会が2021年に発表した調査結果を参考にすると従業員数10~99人企業と比較した大企業の大卒初任給は、韓国が1.52倍で、日本の1.13倍より高く、韓国で大企業と中小企業の賃金差が大きいことが分かった。
第五の原因は、日本では韓国より大学進学率が低い代わりに専門学校進学率が高く、ミスマッチが韓国より少ない点である。2023年現在、日本の専門学校数は2,676校で、約55万8千人の学生が在籍している。専門学校を卒業した若者は、大企業に入社するのではなく、自分の専門性を活かして労働市場に参加しようとする傾向が強いため、韓国よりもミスマッチが少なく、高い就職率につながっている。
第六の原因は、女性活躍推進の対象企業が韓国より多く、女性の労働市場参加がより活発であることが挙げられる。日本政府は2016年4月から「女性活躍推進法」を施行し、従業員101人以上の事業主に対して、女性の採用比率や勤続年数の男女差、労働時間の状況などを公表することを義務付けている。これに対し、韓国の積極的雇用改善措置は500人以上の民間企業及び公共機関に限定されている。
以上の原因以外にも、韓国は高い私教育費(授業料や教材費等に関して個人が負担している家計支出)により多子化を敬遠する傾向が強い点、首都圏集中率が日本より高く若者の間で競争が激しいこと、少子化関連財源を確保するための議論が十分に行われておらず、少子化財源が限られている点、政権交代により制度が継続的に実施されていない点などが挙げられる。
今後、韓国が日本との出生率格差を縮小するためには、何よりも若者世代が安定した仕事を得られるような対策が必要だ。そのためには、大学中心の教育政策を改善し、ミスマッチを解消することが求められる。また、何をするにしても大学を卒業しなければならないという意識や、大卒者を優遇する風潮も変える必要がある。大学に進学しなくても、自分の分野で努力すれば認められる社会を築くべきであり、そのためには国民全体の意識改革が急務だ。韓国政府は、子育て世帯に対する経済的支援などの対策に加え、国民の意識を改善するための多様な対策を講じる必要があると考えられる。