■■■世界の謎を解くのに最適だった妖精島を壊滅させた時点で、新体制による『ベルセルク』は詰んだ、完結させるのは一応不可能では無いが、大変な遠回りになった…等々と当ブログでは書いていたものですが、その件に付いて、最大の元ネタであろう『青の騎士ベルゼルガ物語』の方向から詳しめに見た話は書いていなかったので、ちょいと触れておきます。

■都合により、当記事には『青の騎士』の致命的なネタバレが書かれていますので、苦手な方は御注意下さい。


■■■他の記事でも書いているのでここでは詳細を省きますが、『ベルセルク』(読み切り版1988年~)は、SF小説『青の騎士』(1987年完結)の基本設定を中世風ファンタジーに翻案して描かれていたのですが、魔女の辺りで『青の騎士』のネタを使い尽くしてしまったので、長年のグダグダが始まっちゃったんですね。

■『青の騎士』本編は文庫本全四巻と短いですから、御興味のある方、『ベルセルク』の行く末のヒントを知りたい方は、宜しく御願い致します。
 復刻の度に変わっている表紙の違いや、副読本等に関してはこちらで。

『ベルセルク』最大の元ネタであろう、『青の騎士ベルゼルガ物語』関連書籍の差異紹介等。
2024年09月12日
http://blog.livedoor.jp/gorovion/archives/10261604.html


■■■では以下、ネタバレありとします。
 情報が不用意に目に入らぬ様、ちと間を空けまして…。















■■■『青の騎士』最終決戦前の構成はこんな感じでした。
(未読者への紹介用に、幾らかの再構成を行っています)

▼マシンにして超存在であるレグジオネータの策謀により、人類がほぼ滅亡。

▼生き残りの人類を、機械兵士が駆逐し続ける。

▼機械兵士でも容易には攻め込み難い土地・ワルドが人類最後の砦となり、生き残りの人類や、別行動だった主人公・ケインらも次々と集まってくる。
(画像は『青の騎士』別冊Ⅱより)
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▼異民族もワルドに合流し、主役らと戦闘技術を共有。

▼ケインと志を同じくする集団の手によって建造された、最強最後の人型兵器ベルゼルガ・テスタロッサもワルドに合流。
 テスタロッサは機械兵士を圧倒するが、その莫大な出力によって搭乗者死亡。

▼人類側、その時の攻め手を撃退。

▼戦いが終わってひと息ついた所で、若き日にレグジオネータに搭乗した事でその正体と目的を知り、ずっと戦う術を探していたレトラという老人が、主要人物らを前に語り始める。

▼レグジオネータは、別の銀河系より追放され、この星に漂着した、異文明の破壊と簒奪を目的とする侵略兵器であった。
 優秀な原住民を配下に加えて協力させ、既存の文明を滅ぼし、その上に、自らのテクノロジーを与えるのにふさわしい新たな人類達を産み落とそうというのである。
 何故、レグジオネータがそんな機能を持たされたのかは判らない。
 だがそれは、恐らくはレグジオネータを建造した者の妄執であろうと、レトラは言った。

▼開発関係者が、テスタロッサに投入された技術はレグジオネータ由来では無い事を解説。
 また、テスタロッサと同じ技術を使っているが、搭乗者に著しい負担をかけない人型兵器の量産にも入っている。

▼ワルドには、他の銀河系がレグジオネータを追放する為に作った装置“キューブ”が眠っていた。

▼15歳の少女が命を懸けて“キューブ”の位置を特定し、発見する。

▼ケインはテスタロッサを託される。
 テスタロッサには、かつてのケインの機体が使っていた、本物のパイルバンカーが装備されていた。

▼“キューブ”と本物のパイルバンカーを反応させる事で、遂に人類側が、レグジオネータに対抗可能な手段を手に入れる。

▼最終決戦へ…。


■■■閲覧者諸賢は既に御気付きでしょうが、『青の騎士』のワルドで行われた構成は、『ベルセルク』の妖精島に、ほぼそのまんま応用出来るのですよ。


■■■つまり…。

▼ガッツ達、使徒でも容易には攻め込み難い土地・妖精島に到着。
 レトラ代わりの髑髏の騎士が妖精島を案内し、この島のどこかに秘密がある事を示唆する。

▼グリフィスが妖精島に単身で姿を現わす。

(以下は当方による想定)
▼ラストに繋がる様、ガッツやキャスカと十分に会話させた後に、グリフィス撃破。
 これまでの伏線通り、ドラゴンころしがゴッド・ハンドにもある程度まで有効なのを再確認。
 グリフィスは撤退するか、或いは理屈を捏ねて居座り、この後始まる髑髏の騎士の話をガッツらと一緒に聞く。

▼使徒や別のゴッド・ハンドが妖精島に侵攻してくるが、ガッツとキャスカは共に戦場に置かれた事で徐々に元の関係を取り戻し、共闘と会話を成し、防衛に成功。

▼戦いが終わってひと息ついた所で、ガイゼリック王だった時代にボイドと接触してその正体と目的を知り、千年間ずっと戦う術を探していた髑髏の騎士が、主要人物らを前に語り始める。

▼ボイドは、別の異世界から追放され、この星に漂着した、世界を幻造世界に書き換えて簒奪する事を目的とした侵略兵器であった。
 優秀な原住民を配下に加えて協力させ、既存の世界を滅ぼし、そこを自らの望む生物で満たそうというのである。
 何故、ボイドがそんな機能を持たされたのかは判らない。
 だがそれは、恐らくはボイドを創造した者の妄執であろうと、髑髏の騎士は言った。
(ボイドだけ特別だというのは、『画集ベルセルク』より)

▼鍛冶関係者が、狂戦士の甲冑に投入された技術はボイド由来では無い事を解説。
 また、狂戦士の甲冑と同じ技術を使っているが、装着者に著しい負担をかけない魔法鎧の量産にも入っている。

▼妖精島には、他の異世界がボイドを追放する為に作ったシステム“魔法の根源”が眠っていた。

▼シールケが命を懸けて“魔法の根源”の位置を特定し、発見する。

▼この頃までに幻造世界化によって人類の生息可能域は大変に減少しており、貴族の船と海の魔物の協力で、生き残りの人類を妖精島へとピストン輸送。
 クシャーン系の登場人物達とも合流。

▼“魔法の根源”とドラゴンころしを反応させる事で、遂に人類側が、ゴッド・ハンドに対抗可能な手段を手に入れる。

▼最終決戦へ…。

■……という感じですかね。
 三浦建太郎は妖精島にグリフィスが現れた所で亡くなられてしまったのですが、『大ベルセルク展』のビデオメッセージ?(当方未確認。不覚)で今後は髑髏の騎士を掘り下げると言っていたそうですし、2016年発行の『ベルセルクオフィシャルガイドブック』で既に自身の体調や残りの寿命を不安視し、下に引くインタビューでは「これから畳もうかなという予定ではあるけど(笑)。これからは広げずに畳もうとは思ってる」と言っている位なので、可能な限り早く完結させる意思があったと思われますから、物語を上手く作れていた頃の様に『青の騎士』の構成を換骨奪胎して、『ベルセルク』を〆にかかるつもりだったのではないかと。

『セスタス』技来静也先生×『ベルセルク』三浦建太郎先生 同級生対談|ロングラン作品を描く二人、両作品の気になるラストのイメージとは
2021-04-14
https://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1618282886&p=2
技来三浦同級生対談アニメイトタイムズ-2


■■■「広げずに畳もうとは思ってる」と明言しているのだから、『ベルセルク』新体制が描いた、妖精島を壊滅させた上に世界の謎を説明出来るキャラ達を音信不通にして超絶遠回りにしたり、これまでの伏線を全部無視してゴッド・ハンドを斬れなかったり、ガッツが急に病むキャラになったり(実はこれ監修の森恒二固有の手癖)、「喪失わない」誓いを破ってまでキャスカが再誘拐されたり等々という、遅延にしかならない構成を幾つも予定していたとは考えられないのですけどね。

■しかもそれらは、これまでの流れを断ち切る程の値打ちがある“面白”に繋がっていないという。

■精神と武器との乖離と再生は、『刃牙』『シグルイ』に先行の表現があるけど、『ベルセルク』新体制のアレは、後出しなのに本当に下手でした。
 理解もしていない他作品の要素をマネして大失敗するのは、新人や売れない作家がやるやつですぜ。

■キャスカが最終決戦前に誘拐されたら、読者に“人格的復帰”“ガッツとの関係回復”を印象付けるエピソードが入らなくなっちゃうでしょ。

■そしてそういう遅延行為ばっかやる割には、恐らくはクシャーン側から世界の謎を解く鍵となる予定だったであろう、“バーキラカの隠れ里”が無かった事になっているみたいなのですよ…。
 もう少し様子を見ないと最終的な判断は出来ませんが、あんだけわざとらしく名有り人物達が向かった地を無視するだなんて、生前の作者に詳細なプロットを聞いていたとはとても思えませんが……。


■■■妖精島で狂戦士の甲冑と関係する鍛冶職人を出し、少々ながらも髑髏の騎士の過去を描き、全く別のゴッド・ハンドさえも出した事からも、三浦建太郎は主役らが妖精島に居る間に、もっと様々な謎の解説をする予定であったと見るべきでは。
 それらの話の続きを、他のどの土地でやれるというのだろう。

■42巻及び43巻収録予定部分を眺めるに、どうやら新体制は、“ガッツらがイマイチ成果が無いまま別の場所へ移動する事の繰り返し”が『ベルセルク』の全てだと思い込んでいるフシがあって、しかもこれからもそれを延々続けるらしいので、そんな作品がまともな速度と内容で完結する見込みはありません。詰み。


■■■妖精島で世界の謎を解いておけば、後は残りの敵を片付け、最終決戦を行い、ラストを締めくくるだけだったのですが、何故か『ベルセルク』新体制は、三浦建太郎の「広げずに畳もう」という遺志を無視してまで妖精島を壊滅させ、新体制の力だけで、妖精島よりもユニークな世界の謎を解くのにふさわしい新たなる舞台を創造するのが必須となる展開を選んだ訳ですよ。

■新体制による連載が大いに遅延していて、半年に一回程度しか載らないのも、続きを思い付けないのに加え、本当に詰むポイントまでの時間稼ぎをしているからなんじゃあないですかね。


■■■妖精島を壊滅させず、キャスカ再誘拐もしなかった場合、ガッツらのクシャーンの大都市への移動等々といった無駄も発生させなくてよくなりますので、最速で最終決戦へと突入後、ボイドを魔法ごと次元の向こうに追放し、グリフィスを子供から引き剝がし、鷹の団はじめ魔に囚われていた魂も開放され、もう魔法が無くなった世界で、ガッツとキャスカと子供の三人が人間の土地に帰ってゆくというハッピーエンド…という展開が、数年以内に描かれていたのかもしれませんな。
(展開を『青の騎士』から流用しつつ普通気味のラストを想定)

■人類側が妖精島で“蝕”を解析し、疑似反転再現して人間に戻した使徒を狩ったり、ガッツが髑髏の騎士の馬?を譲り受けて単身ゴッド・ハンドの潜む空間に斬り込んでゆけば、敵を倒す手間や作画カロリーが省けて、もう少し短縮出来る筈。

■…いや、もうその最速路線は無理なのデスけどね。詰み。


■■■やっぱ監修や担当編集者、元担当で今は上層部に居る島田明らをクビにして、再開時の公式発表も撤回し、話を作れる奴やネームを切れる奴をスタッフに入れて、42巻から描き直すしか無いんじゃないのガハハ。

■監修だけクビにしても、上がまたバカな事を言い出したら詰み状態が継続するので、まともな続きを求めるのならば、現在の関係者全員を追放するしか無いでしょ。

■今の白泉社側『ベルセルク』関係者って、長年致命的な欠陥を放置した上に、再開時のあんな公式発表が通ると判断してしまう様な連中なのだもの。
 その立場に居させたら、何度だって同じ大失策を現場に押し付けてくるに決まってるじゃん。
 2020年代半ばになってさえ、2016年頃の『ベルセルク』再興計画と同じ大失敗を繰り返してるんだからさ。

■…いや、白泉社の面子が大いに潰れ、組織全体が揺らぐ様な変革は無理なのは判っている上で、わざとこんな事を書いているのデスけどね。詰み。


■■■というか白泉社って、会社の運命をあんな連中に賭けたんか。そりゃ詰むよ。


■■■まあ、設定やあらすじ的な事よりも、久方ぶりにガッツとキャスカとグリフィスが揃ったのに碌に会話をさせられなかった事の方が、一兆倍位ダメで詰んでいるんですけど。


■■■ごちゃごちゃ書いてますが、『ベルセルク』新体制が妖精島を壊滅させたのは、『進撃の巨人』で世界の謎を解く前に例の地下室を破壊したのと同じ事、とでも書けば済む気もします。

■『進撃の巨人』側のネタバレをしたくないので詳しくは申しませんが、もしもそんな事をしていたら、創作なので代わりは(無理矢理にでも)用意出来るにしろ、様々な事柄が最初からやり直しになる上、作中で同ネタ二回目となって冗長となり、全てが瓦解してしまうでしょ。
 『ベルセルク』新体制が現在やっているのは、そういう事デスよ?


■■■『ベルセルク』新体制版がここから挽回する方法ですか?
 377話(2024年10月発表)前後でガッツらが居るクシャーンの大都市を壊滅させ、カメラを切り替えて世界中の人間が死に絶えてゆく様を見せ、「逆転の可能性は死都にある」と髑髏の騎士以外の重要人物に言わせ(元ゴッド・ハンドとか。髑髏の騎士だと「じゃあもっと前に言えよ」となる)、主役ら皆で死都に潜り、髑髏の騎士の独白と“魔法の根源”探しを行えば、何とか『青の騎士』の構成に戻れなくはないです。

■クシャーンの生き残りがシラットらだけになれば、それも『青の騎士』の敷いた路線。

■しかしながら、もしも最初から“魔法の根源”が死都にあるという構想だったとするなら、妖精島で髑髏の騎士にそう言わせて、作中人物にも読者にも明確な目標を与えてから一直線に死都へ向かわせればよいのであって、謎解きや伏線張り前に妖精島壊滅→ガッツら船で脱出→ガッツらクシャーンの捕虜に→ガッツらクシャーンの大都市へ移送…という新体制が行った意味不明の手間は、完全に無駄で不要だった事になってしまいますな。

■クシャーンの大都市壊滅や、人類がほぼ滅亡する様子を絵でねちっこく描きたければ、妖精島にシラットや一般人が合流した時に、その事を喋らせればいいだけですし。

■死都で世界の謎を解くとしたら、安全では無い場所で髑髏の騎士が長々とした独白を述べるという間抜けなシーンを続けつつ、横では“魔法の根源”の解析も行う事になったり、自身の過去語りに加えて狂戦士の甲冑の解説まで髑髏の騎士が一人でやる事になって、「全部知っているなら、コイツが最初にちゃんと話すだけで色々解決していたのでは」感が強くなったりもしてしまうでしょうね。


■■■…さて、以降は、記事のタイトルからするとオマケみたいなもんですが。


■■■監修や編集部が主張している、「生前に重要な部分の台詞やラストまで聞いていた」云々の美言ですけどね?

『ベルセルク』再開のお知らせ
2022.06.07
https://www.hakusensha.co.jp/information/63802/

 前回記事他でも書きましたが、それ三浦建太郎が生前のインタビューで何度も言っていた「『ベルセルク』の続きは詳しく考えていない」と矛盾しますし、実際に掲載された『ベルセルク』の続きはあんな始末な上、掲載頻度は半年に一回にまで落ちているしなので、2024年終盤現在、監修や編集部の言っている事は全く証明が伴っておりません。

■そもそも無条件で、そんなバカみたいな美談を鵜吞みにしたり、作者の周囲に居ただけの連中を無限に信頼する理由も義務も、読者側には無いです。

■というか、三浦建太郎の周囲に居た人らってさ。
 成果物を見るに、あのクソ長いグダグダを全く止められなかった役立たずであり、面白かった所が潰れていくのを座して見ていたボンヤリ野郎であり、ガニシュカの能力とその倒し方が『ジョジョの奇妙な冒険』の某スタンド能力のパチモンだったのを見過ごした程に、作家的才能も商業的才能も持ち合わせず、仕事仲間として情理を尽くした議論も出来ず、友人ならではの諫言も出来無い、有用さを持ち合わせない取り巻きでしかなかったと判断出来るのですけどね。
 何か信頼に値する理由、あります?

■『ベルセルク』がデジタル作画を導入して以降、三浦建太郎が原稿を拡大して描いていたからか、描き文字による台詞が小さくなり過ぎて、紙でも電子版でも大変読み辛い状態になっていた事すらも、指摘出来無い連中なのですよ?
 そんな程度の事も言えないのに、物語上の重要な展開の打ち合わせをしているもんですかね?

■一例として改めて書き出しておきますが、シールケって、大火力でガッツの特徴や爽快感を潰し、最初から魔法に長じていてガッツが自力で魔法の謎を解く機会を潰し、ガッツが剣だけで魔法と戦う路線の可能性を潰し、横からネタバレコメントで攻略方法を教えてガッツが自分で工夫して勝利する機会を潰し、勝手に介入してガッツが自力で狂戦士の甲冑を制御下に置くという試練を潰し、子供キャラをやってガッツが子供っぽさを出す機会を潰し、ヒロインヅラしてキャスカの印象を弱め、碌な葛藤も無く依存を受け入れてファルネーゼとガッツが関係を深めるのを阻害し、これまでパックが担当していたリアクション芸役を奪い(それが原因で栗パック悪目立ちを誘発)、無用に作品イメージを安っぽく変え、それでいて本人はビタ一文も面白く無いという、全漫画史上でも珍しい位の、最低最悪の作品ブレイカーキャラでしょ。
 クソゲーのバランス調整失敗キャラじゃあねーんだから…。
 こんなのを長年放置したのが、監修や編集部。
 肩書に惑わされず実力のみを見るに、一切の信頼に値せずですよ。


■■■監修や編集部の言う事を鵜呑みにするなら、当記事前述の通り、少なくとも2016年頃から自身の最後を意識していた三浦建太郎が、よりにもよって「シールケはヒーラー」とか言っちゃう様な奴の脳内にだけ、ラストまでのプロットを保存していた事になるのですけれども。
 そんな事あります?

世界中の読者やスタッフ、みんなで「ゴール」を迎えたい 『ベルセルク』監修・森恒二先生インタビュー【後編】
2024.10.25
https://magmix.jp/post/251492/2
監修・森恒二インタビュー後編-02

■この記事の違和感の理由には、監修は三浦建太郎と親友であり、何十年も直接打ち合わせをしていたとする割に、肝心な部分は赤の他人が勝手な想像で言ってるのと同じレベルの内容しか出てこないという事もありますがね。

■ええ、勿論私は、作品を私物化したい監修や、連載を終わらせず儲け続けたい編集部が、他で保存されていたラストまでのプロットを破棄したのだろうかとか、他の証言者に圧力をかけて意に沿わない展開を語らせない様にしているのだろうかとか、そんな事までは全く疑っておりません。

■はい、閲覧者諸賢の内心の自由にまでは踏み込めませんが。


■■■監修や編集部の言う美談がどこまで本当か嘘かは知りませんが、三浦建太郎の生前の言葉と全く整合性を取れなかった時点で、資料収集力・解析能力・嘘を吐き通す漫画的才能を最低限すら持ち合わせていないと断定してよろしい。詰み。

■本編もインタビューも読まずに描かれ、絵が似ているというだけでまだ何とかなっている『ベルセルク』新体制版も、いつかはライト層にまで本当の実力を見抜かれ始める。詰み。


■■■補遺。


■■■一般的には、世界の謎を解く前には主人公達への巨大な試練が課され、その突破の報酬として重要な情報が開示されるものですが、『青の騎士』の場合は文庫本全四冊なので急ぐ必要があり、各所に散らばっていた主役級達が集合した所で、キーパーソンが自分から世界の謎を喋るという構成を採っていました。

■『ベルセルク』は、基本設定も構成も散々『青の騎士』ほぼそのまんまでやってきたので、まともに終わるつもりなら、もう今更『青の騎士』同様の“終盤”以外は選択出来無いんじゃあないですかね。
 これまでの積み立てというものがあるのだから、いきなり別の展開にするのは不可能ですよ。


■■■何度も書いていますが、『青の騎士』最終決戦前の構成は、髑髏の騎士、魔女、狂戦士の甲冑が揃った辺りからでも流用可能でした。
 …その頃に最終決戦に入れていれば、今頃は……。

■個人的に、その時に終われなかったのは、編集部からの連載続行命令が出たからなのではと疑っています。


■■■最近の記事では書いていませんでしたが、黒ガッツの(描こうと目指していた)性格は、ケインそのまんまでした。
 『ベルセルク』がヒットし、三浦建太郎の生活が安定したせいか、ある時期からのガッツは狂気や野生が維持出来なくなって、基本的に気のいい普通のあんちゃんになってしまいましたが。

■“狂戦士”はあくまで『青の騎士』からの借り物であり、三浦建太郎本人の内面から出てくるテーマでは無かったのもあって、長年のグダグダが発生したのでしょう。


■■■『画集ベルセルク』(1997)に掲載された三浦建太郎インタビューの最後には、ガッツの物語は早めに終わり、別の物語が始まるかの様な事が書かれています。
 『青の騎士』でケインの物語は終わり、レグジオネータの正体と建造した者に関しては、事実上の続編『兇兵器ヴァン・ヴィール』で描かれていましたので、ボイドの正体やその創造主に関しては、新作で行う腹積もりがあったのかもしれません。

■『兇兵器ヴァン・ヴィール』は一巻が出たのみで未完のまま作者が引退してしまいましたので、本歌取りをして完結させたかったとも取れます。

■『ベルセルク』41巻には別のゴッド・ハンドのビジョンがありましたが、『兇兵器ヴァン・ヴィール』ではレグジオネータことヴァン・ヴィールが複数機存在していたのが判明する事から、ボイドも複数存在していて、其々が別の宇宙を侵略し続けているという想定だったのでは。


■■■月刊ニュータイプ2021年6月号掲載のインタビューでは、三浦建太郎が突如、大変に不自然な内容を口走っていましたが、アレ『青の騎士』の、とあるシーンへの当て付けだったのだと思われますぞ。
 …うんうん、何十年経っても怨念が晴れないのは判るけどさ。
 でもね。
 それやんないと終われないんだから、仕方が無いでしょうがァ!!!
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■この件は解説だけでは値打ちが生まれませんので、意味を知りたい方は、『青の騎士』本編と同誌インタビューを御併読下さい。