2 マカティと日本大使館

「なにこれ?」
 ショッピングセンターに入ったとたん、マリは目を丸くした。ブランドショップが集まる回廊を抜けると中央が広場になっていて、そのまわりに椰子の木が植えられたオープンテラスの洒落たレストランやカフェが並んでいる。どの店も活気があり、スーツ姿で早くもワインのボトルを傾けているグループもいた。
「なんか六本木みたい」(P148)

マカティの高級ショッピングモール、グロリエッタのカフェ

 最初はパンでも買って部屋で食べようと思っていたのだが、テーブルの上にノートパソコンを置いて、ワイングラス片手に仕事をしている若い女性を見かけて気が変わった。マリは同じ店に入ると、広場を見渡せる席に座った。真ん中に白いチャペルがあって、そこでミサが行なわれているらしく、ひとびとが集まって讃美歌を歌っている。(P148)

グロリエッタのチャペル

 人通りは少ないものの、いつまでも突っ立っていると怪しまれると思い、憲一はまた歩き出した。突き当りの大通りを右に曲がると日本大使館がある。高い壁の一角がセキュリティゲートで、その前にポロシャツ姿の日本人が何人かたむろして、携帯電話で大声で話している。
 憲一はそれを見ると、踵を返した。同じ日本人が何度も前を通ると、やはり不審に思われるのではないかと思ったのだ。(P153)

マニラ、パサイの日本大使館前

「ふだんはこんなところ来ないんですけどねえ。桂木さんは特別なお客さんだから」
 鴨川が案内したのは高級ショッピングモール、グロリエッタのレストラン街だった。あたりを見回して、憲一は驚きの声をあげた。「とてもフィリピンとは思えませんね。私がいた頃は、こんなところはありませんでしたよ」
「アヤラ財閥が社運を賭けて開発した街ですからね。最近ではロックウェルやボニファシオのグローバルシティも追い上げてますが、マニラではやっぱりここがいちばんです」(P171)

マカティの高級ショッピングモール、グリーンベルト

マカティの高級ショッピングモール、グロリエッタのレストラン

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