8 ボニファシオ
タクシーを拾うと、鉄道の高架を越えてボニファシオに向かった。アメリカ植民地時代の米軍駐屯地で、太平洋戦争で戦没した1万7000人以上の兵士が眠る米軍記念墓地がある。その一部がグローバルシティという高級エリアになっている。その南側にバラックのような家が建ち並ぶ貧困地域があり、その一角にマリアが通っていた小さな教会があった。(P190)

米軍記念墓地からグローバルシティを眺める
ドアを開けてみる。長椅子が5列ほど並んだ先に小さな祭壇があり、十字架にかけられたキリストの像が置かれている。1990年12月25日の午後、ここに立って永遠の愛を誓った。
なにかの気配を感じて後ろを振り向いた。あのときの神父が見ているような気がしたのだが、そんなはずもなく、そこには25年のむなしい歳月が漂っているだけだった。(P191)

フィリピンのカトリック教会