折田楓。秘密のなさそうな人生。
誰しも「知られたくないこと」がある。たいていは何百何千もある。それがゆえにプライバシー感覚が育つし、自分を隠したり、他人に根掘り葉掘りは尋ねない。それが良い悪いではなく、人間存在はそれだけデリケートである。口が固いのは立派という話でもなく、われわれの後ろめたさゆえであり、犯罪にも必要である。現在話題の折田楓さんは、あまりにも自己を晒しすぎているが、フランス留学とか、慶応大学卒とか、エルメスのバーキンを見せびらかすところからして、(不明だが)実家がお金持ちなのかもしれない。泥水をすすったことがないので、「知られたくない」という汚辱の感覚がないのである。こんなのは勝手な想像でしかないし、折田楓さんの人生について何も知らない(知りたくない)が、あれだけオープンにできるのは、自己顕示欲というだけでなく、隠すべき瑕疵のない人生、見せびらかすことに手慣れた人生なのである。それが今回こうやって公職選挙法違反という疑惑を招いてしまった。大々的に言わない限りわからないようなことを堂々と自白したのである。たぶん立候補するのであれば、誰でも選挙プランナー的な人にお金は払っているだろうが、通常なら有耶無耶にできるのであろう。種蒔き→育成→収穫という物言いからして、過去の無神経な言動がありありと浮かび上がってくるようである。今までは陽の当たる人生だっただろうが、これでようやく、人目を避ける人間の気持ちが少しはわかるのかもしれない。囚人服を着てようやくわかるのは手遅れでもあるが、出所してからの後半生もある。